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46話 Cecil
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「二人とも、お待たせしてごめんなさい。」
七海さんが息を切らせながら戻って来た。
七海さんはおじいさんの遺品である原稿の入った古い鞄を、木のテーブルの上に乗せた。
執筆中におじいさんが逝去された為、物語は未完のままで、所々無くなっているページもあると話した。
その内容に関しては、おじいさんらしくない作品だったので、七海さん自身、どうしてこの様な作品を残したか長年疑問に思ってたそうだ。
ANOTHER WORLD STORIESへと繋がる物語とは一体どの様な物語なのだろうか。
七海さんが、ダイヤル式の鞄を開けて原稿を取り出した。
「!!!」
そこに書かれてあるタイトルが目に飛び込み、僕は激しい悪寒を覚えた。
"勇者アレンの冒険"
「どうして・・・。これは何かの偶然なのか・・・?」
「急に顔色悪くなってどうしたの?それに手もこんなに震えちゃって。」
七海さんと陽菜さんの不安気な表情が伝わって来たが、僕は一体何がどうなっているのか訳が分からず一人、混乱していた。
勇者アレンは僕の父さんの名だ。
タイトルが書かれた次のページを捲るのが恐かったが、僕は勇気を出して、次のページへと進んだ。
"アレンは幼少期から、父との厳しい剣術修行の日々を送っていた。そして、18歳を迎える頃には立派な剣士へと成長していた。"
父さんは子供の頃から、じいちゃんの厳しい剣の修行を受けてたんだ。
"18歳の誕生日を迎えた日、アレンは生まれ育った故郷の島を離れ、広い大陸へと羽ばたいて行った。
閉鎖的な故郷から、ずっと抜け出したいと思っていたアレンにとって、大陸は昔からの憧れであった。
しかし、港から一歩踏み出すと、これまで夢見た地は悪夢の地へと変わった。
長年の魔王軍との戦いにより、人々の心は荒んでいた。
この地では、かつて秩序と呼ばれていた物など、見る影も無かった。
暴力と略奪が蔓延り、誰も他人を顧みない。
この光景を目の当たりにし、島以外の世界を知らなかった純粋無垢なアレンの心は打ち砕かれた。"
昔じいちゃんが言ってた。若い頃の父さんは、大陸で人の役に立つ事をしたいって、青臭い理想を掲げて出てったって。
"そんな時、アレンは一人の少女、サラと出会った。
他人から奪われる前に、相手を殺してでも奪う事が当たり前となっていた世界に於いて、彼女だけは違っていた。
ボロ布だけを身に纏い、履物すら無い。恐らくボロ布以外、持っていた物はすべて、それを必要としている者に与えたのだろう。
彼女は癒しの魔法の力を使い、無償で病気や怪我を負った人達を救っていた。
そんな彼女に一目でアレンは心奪われた。
そして、サラもまた、正義感が強く、優しさに満ち溢れたアレンに好意を持つ様になって行った。"
物語に登場する少女の名前、サラは母さんの名だ。
母さんは父さんとの出会いは大陸の路地裏で、憲兵から理不尽に暴力を受けている人を庇おうとした時、颯爽と現れて助けてくれたって言っていた。
もしかして父さんは、母さんの事をその前から知っていて、ずっと見守っていたのだろうか。
"そしてアレンは、自らが遣るべき事を理解した。
この地の秩序を取り戻す。
その為には、町を取り囲む魔物の群れを排除し、物資が通る道を確保しなければならない。
アレンは一人、魔物の群れと戦い、見事に勝利を収めた。
人々はアレンを英雄と称え、その勇士はこの町だけに止まらず、大陸全土へと伝わった。"
それから父さんは、他の多くの町や村も救い、人々から勇者と呼ばれる様になったんだ。
"数年後、アレンとサラは立派な男の子を授かった。
二人はこの子には、かつての町の人達の様に、他人を疑い、陥れる事を良しとする様な人間にはなって欲しくないと思っていた。
虐げられるか弱き者にも手を差し伸べらる勇気と、優しさを持つ子に育って欲しいと願っていた。
二人はこれからこの子が見て行く世界を、優しさに満ちた素晴らしい場所にしたいと言う思いがあった。
そして二人は、平和な世界を取り戻す為に、まだ幼い息子を祖父に託し、魔王討伐へと旅立つ決心を固めた。
旅立ちの日、二人の元に一人の男が遣って来た。
その男は、平和な世界を取す為に、力を尽くしたい、魔王討伐に同行させて欲しいと言った。
二人は志を同じくするこの男を大いに歓迎した。
二人の歓迎を受けたこの男は、自らをこう名乗った。
『イワン』と・・・"
七海さんが息を切らせながら戻って来た。
七海さんはおじいさんの遺品である原稿の入った古い鞄を、木のテーブルの上に乗せた。
執筆中におじいさんが逝去された為、物語は未完のままで、所々無くなっているページもあると話した。
その内容に関しては、おじいさんらしくない作品だったので、七海さん自身、どうしてこの様な作品を残したか長年疑問に思ってたそうだ。
ANOTHER WORLD STORIESへと繋がる物語とは一体どの様な物語なのだろうか。
七海さんが、ダイヤル式の鞄を開けて原稿を取り出した。
「!!!」
そこに書かれてあるタイトルが目に飛び込み、僕は激しい悪寒を覚えた。
"勇者アレンの冒険"
「どうして・・・。これは何かの偶然なのか・・・?」
「急に顔色悪くなってどうしたの?それに手もこんなに震えちゃって。」
七海さんと陽菜さんの不安気な表情が伝わって来たが、僕は一体何がどうなっているのか訳が分からず一人、混乱していた。
勇者アレンは僕の父さんの名だ。
タイトルが書かれた次のページを捲るのが恐かったが、僕は勇気を出して、次のページへと進んだ。
"アレンは幼少期から、父との厳しい剣術修行の日々を送っていた。そして、18歳を迎える頃には立派な剣士へと成長していた。"
父さんは子供の頃から、じいちゃんの厳しい剣の修行を受けてたんだ。
"18歳の誕生日を迎えた日、アレンは生まれ育った故郷の島を離れ、広い大陸へと羽ばたいて行った。
閉鎖的な故郷から、ずっと抜け出したいと思っていたアレンにとって、大陸は昔からの憧れであった。
しかし、港から一歩踏み出すと、これまで夢見た地は悪夢の地へと変わった。
長年の魔王軍との戦いにより、人々の心は荒んでいた。
この地では、かつて秩序と呼ばれていた物など、見る影も無かった。
暴力と略奪が蔓延り、誰も他人を顧みない。
この光景を目の当たりにし、島以外の世界を知らなかった純粋無垢なアレンの心は打ち砕かれた。"
昔じいちゃんが言ってた。若い頃の父さんは、大陸で人の役に立つ事をしたいって、青臭い理想を掲げて出てったって。
"そんな時、アレンは一人の少女、サラと出会った。
他人から奪われる前に、相手を殺してでも奪う事が当たり前となっていた世界に於いて、彼女だけは違っていた。
ボロ布だけを身に纏い、履物すら無い。恐らくボロ布以外、持っていた物はすべて、それを必要としている者に与えたのだろう。
彼女は癒しの魔法の力を使い、無償で病気や怪我を負った人達を救っていた。
そんな彼女に一目でアレンは心奪われた。
そして、サラもまた、正義感が強く、優しさに満ち溢れたアレンに好意を持つ様になって行った。"
物語に登場する少女の名前、サラは母さんの名だ。
母さんは父さんとの出会いは大陸の路地裏で、憲兵から理不尽に暴力を受けている人を庇おうとした時、颯爽と現れて助けてくれたって言っていた。
もしかして父さんは、母さんの事をその前から知っていて、ずっと見守っていたのだろうか。
"そしてアレンは、自らが遣るべき事を理解した。
この地の秩序を取り戻す。
その為には、町を取り囲む魔物の群れを排除し、物資が通る道を確保しなければならない。
アレンは一人、魔物の群れと戦い、見事に勝利を収めた。
人々はアレンを英雄と称え、その勇士はこの町だけに止まらず、大陸全土へと伝わった。"
それから父さんは、他の多くの町や村も救い、人々から勇者と呼ばれる様になったんだ。
"数年後、アレンとサラは立派な男の子を授かった。
二人はこの子には、かつての町の人達の様に、他人を疑い、陥れる事を良しとする様な人間にはなって欲しくないと思っていた。
虐げられるか弱き者にも手を差し伸べらる勇気と、優しさを持つ子に育って欲しいと願っていた。
二人はこれからこの子が見て行く世界を、優しさに満ちた素晴らしい場所にしたいと言う思いがあった。
そして二人は、平和な世界を取り戻す為に、まだ幼い息子を祖父に託し、魔王討伐へと旅立つ決心を固めた。
旅立ちの日、二人の元に一人の男が遣って来た。
その男は、平和な世界を取す為に、力を尽くしたい、魔王討伐に同行させて欲しいと言った。
二人は志を同じくするこの男を大いに歓迎した。
二人の歓迎を受けたこの男は、自らをこう名乗った。
『イワン』と・・・"
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