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69話 安里翔
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ばあちゃんにそんな過去があった何て想像もしていなかった。
それにしても、どうやって別の世界からこっちの世界に来たのだろうか。
同じ方法を辿れば俺も元の世界に戻れるだろうか。
俺はその疑問をばあちゃんに投げ掛けた。
「なあ、ばあちゃんどうやってこっちの世界に来たんだ?」
「翔ちゃん、それはだね・・・。」
ややあって、ばあちゃんはこの世界に来るに至った経緯を話し始めた。
「ローブの女性と別れたその夜、寝床に入ってると、突然、外から恐怖の入り混じった叫び声が聞こえて来たの。
眠気の残っていた私は、目を擦りながら、窓の外を見ると、そこには、魔物の群れが村の人達を襲ってる姿が飛び込んで来たの。
私は慌てて、隣で眠ってた父さんと母さんを起こした。
二人も直ぐに外の異変を感じて、窓越しに状況を確認した。
母さんは外で起こっている光景に叫び声を上げたけど、父さんは至って冷静だった。
父さんは私と母さんに向かって、このまま家の中に居るのは危険だ。直ぐに外に逃げる準備をする様にと言って、家の中に眠っていた家宝の剣を手にしたの。
準備が終わる頃には、母さんも覚悟を決めた様で、私の手を強く握った。
父さんは私達二人の事は何があっても絶対に守るからと、そう言って怯える私を安心させようとしてくれた。
家から飛び出したた私達は無我夢中で走った。
父さんは私達の先頭に立って、立ち塞がる魔物達の群れを、目にも留まらぬ速さで斬り落として道を作ってくれた。
いつも優しい父さんが、魔物の返り血を浴びながら剣を振るう姿は、心の中で、こんな事思っちゃいけないと分かってても、私に目には恐く写ってた。
普段は農具を扱ってて、剣の心得なんて全く無いと思ってたけど、父さんは明らかに戦い慣れてる様に見えた。
そんな姿を見ながら、ふと思ったの。もしかしたら父さん達はいつかこんな日が来る事を心の何処かで予感してたんじゃないかって。
村の中心部から離れるに連れ、魔物の数は明らか減り、村外の森に入る頃には、その姿もめっきり見る事はなかった。
だけど、決して油断は出来なかった。
森の中には恐ろしいモンスターが沢山居るのを知ってたから。
隣町まで行くにはこの森を進むしか無い。
私達は周囲を警戒しながら先を急いだ。
それは、森の中腹辺りまで進んだ時だった。
道端に胸を押さえながら苦しそうに倒れ込んでる老婆を見つけたの。
父さんは慌てて彼女に駆け寄った。
次の瞬間、森中に響く程の大きな声で父さんが叫んだの。
『二人とも早く逃げろ!』
見ると父さんの背中をを何かが貫いていた。
私達の方を振り向いた父さんの口からは血が流れてた。
母さんはその姿を見て歯を食いしばった。そして、私の手を強く握って舗装されていない脇の叢の中を走った。
走ってる最中に手に雨粒が落ちた様に感じた。だけど、それは母さんの目から零れ落ちた涙だった。
父さんの事が気になって、一瞬後ろを振り向いた私は恐怖に駆られた。
すると、横たわる父さんの前に居た老婆は、見る見る内に魔物の姿へと変わって行った。
恐くなって目を離した次の瞬間。
さっきまで、後方に居た筈の父を手に掛けた魔物が、私達の目の前に立っていた。
その時、母さんは握っていた手を放して、その手を私の頭に乗せて言った。
『母さんが時間を稼ぐから、あなたはその隙に逃げなさい。』
そして、前へ一歩踏み出し、魔物と私の間に入った。
戸惑う私に笑顔を向けて、今度は優しい口調で懇願する様に言った。
『お願いだから逃げて。』
その瞬間、私は涙で前が見えなくなった。
母さんは自分の命を犠牲にしてまで、私を守ろうとしてくれている。
そして私は溢れる涙を止める事が出来ず、何度も何度もその涙を拭いながら、決して振り返る事無く走った。
振り返らなかったのは、恐かったって理由よりも、母さんが魔物の手に掛かる姿を見たくはなかったから。
だけど、私の耳には、はっきりと聞こえていた。一つの命の尽きるその音が。
息も上がり、フラフラになりながらも、私はひたすら走った。
いよいよ体力も限界を迎え、足が縺れて倒れてしまった。
その時になって初めて、幾許か冷静になって、周囲を見渡す事が出来た。
近くに洞窟があるのが見えた。
最早や、体力も尽きていた私は、そこに身を隠す事を考えた。
不意に背後の様子が気になり、洞窟の前で一度後ろを振り返った。
次の瞬間、私は目を見張った。
魔物が私の直ぐ近くまで距離を詰めていたのよ。
その瞬間、全身の力が抜けて、絶望が体中を駆け巡った。
死の恐怖に駆られた私は、いつの間にか無意識の内に、ローブの女性から貰ったペンダントを握り締めていたの。
お姉さんの噓つき。
ペンダントは私達を守ってなんかくれない。
そんな事を考えていた次の瞬間。ペンダントから眩い光が放たれたの。
そして、私の頭の中に幻聴とも思える様な声が聞こえた。
"死にたく無ければ此方へ来なさい!"
すると、洞窟の中から楕円形の光の空間が現れ、そこから光る手の様な物が伸びて来た。
選択の余地は無かった。私は言われるがままに、その光を掴んだ。
楕円形の光の中に引き寄せられた私は、気が付くと、辺り一面が眩い光の空間の中に居たの。
そこはまるで、さっきまで居た世界から隔離されてる様に感じられた。
だからこそ、勿論、魔物の姿も無かった。
さっきよりも状況がマシになったのだと思った私は、そっと胸を撫で下ろした。
そして、掴んだ光に導かれるがままに、際限の無い光の中を歩いた。
その道すがら、光は私にこう言ったの。
"我は其方を敵の目から隠す為に、一つの世界を作り上げた"
"其方はその世界の管理者となり、来るべき時に備えるのだ"
そう言い終えると、周囲の光が強まり、私は思わず目を塞いだ。
そして、数秒後、光が弱まるのを感じて目を開けると、そこには私の居た世界とは違う、見た事の無い景色が広がっていたのよ。」
それにしても、どうやって別の世界からこっちの世界に来たのだろうか。
同じ方法を辿れば俺も元の世界に戻れるだろうか。
俺はその疑問をばあちゃんに投げ掛けた。
「なあ、ばあちゃんどうやってこっちの世界に来たんだ?」
「翔ちゃん、それはだね・・・。」
ややあって、ばあちゃんはこの世界に来るに至った経緯を話し始めた。
「ローブの女性と別れたその夜、寝床に入ってると、突然、外から恐怖の入り混じった叫び声が聞こえて来たの。
眠気の残っていた私は、目を擦りながら、窓の外を見ると、そこには、魔物の群れが村の人達を襲ってる姿が飛び込んで来たの。
私は慌てて、隣で眠ってた父さんと母さんを起こした。
二人も直ぐに外の異変を感じて、窓越しに状況を確認した。
母さんは外で起こっている光景に叫び声を上げたけど、父さんは至って冷静だった。
父さんは私と母さんに向かって、このまま家の中に居るのは危険だ。直ぐに外に逃げる準備をする様にと言って、家の中に眠っていた家宝の剣を手にしたの。
準備が終わる頃には、母さんも覚悟を決めた様で、私の手を強く握った。
父さんは私達二人の事は何があっても絶対に守るからと、そう言って怯える私を安心させようとしてくれた。
家から飛び出したた私達は無我夢中で走った。
父さんは私達の先頭に立って、立ち塞がる魔物達の群れを、目にも留まらぬ速さで斬り落として道を作ってくれた。
いつも優しい父さんが、魔物の返り血を浴びながら剣を振るう姿は、心の中で、こんな事思っちゃいけないと分かってても、私に目には恐く写ってた。
普段は農具を扱ってて、剣の心得なんて全く無いと思ってたけど、父さんは明らかに戦い慣れてる様に見えた。
そんな姿を見ながら、ふと思ったの。もしかしたら父さん達はいつかこんな日が来る事を心の何処かで予感してたんじゃないかって。
村の中心部から離れるに連れ、魔物の数は明らか減り、村外の森に入る頃には、その姿もめっきり見る事はなかった。
だけど、決して油断は出来なかった。
森の中には恐ろしいモンスターが沢山居るのを知ってたから。
隣町まで行くにはこの森を進むしか無い。
私達は周囲を警戒しながら先を急いだ。
それは、森の中腹辺りまで進んだ時だった。
道端に胸を押さえながら苦しそうに倒れ込んでる老婆を見つけたの。
父さんは慌てて彼女に駆け寄った。
次の瞬間、森中に響く程の大きな声で父さんが叫んだの。
『二人とも早く逃げろ!』
見ると父さんの背中をを何かが貫いていた。
私達の方を振り向いた父さんの口からは血が流れてた。
母さんはその姿を見て歯を食いしばった。そして、私の手を強く握って舗装されていない脇の叢の中を走った。
走ってる最中に手に雨粒が落ちた様に感じた。だけど、それは母さんの目から零れ落ちた涙だった。
父さんの事が気になって、一瞬後ろを振り向いた私は恐怖に駆られた。
すると、横たわる父さんの前に居た老婆は、見る見る内に魔物の姿へと変わって行った。
恐くなって目を離した次の瞬間。
さっきまで、後方に居た筈の父を手に掛けた魔物が、私達の目の前に立っていた。
その時、母さんは握っていた手を放して、その手を私の頭に乗せて言った。
『母さんが時間を稼ぐから、あなたはその隙に逃げなさい。』
そして、前へ一歩踏み出し、魔物と私の間に入った。
戸惑う私に笑顔を向けて、今度は優しい口調で懇願する様に言った。
『お願いだから逃げて。』
その瞬間、私は涙で前が見えなくなった。
母さんは自分の命を犠牲にしてまで、私を守ろうとしてくれている。
そして私は溢れる涙を止める事が出来ず、何度も何度もその涙を拭いながら、決して振り返る事無く走った。
振り返らなかったのは、恐かったって理由よりも、母さんが魔物の手に掛かる姿を見たくはなかったから。
だけど、私の耳には、はっきりと聞こえていた。一つの命の尽きるその音が。
息も上がり、フラフラになりながらも、私はひたすら走った。
いよいよ体力も限界を迎え、足が縺れて倒れてしまった。
その時になって初めて、幾許か冷静になって、周囲を見渡す事が出来た。
近くに洞窟があるのが見えた。
最早や、体力も尽きていた私は、そこに身を隠す事を考えた。
不意に背後の様子が気になり、洞窟の前で一度後ろを振り返った。
次の瞬間、私は目を見張った。
魔物が私の直ぐ近くまで距離を詰めていたのよ。
その瞬間、全身の力が抜けて、絶望が体中を駆け巡った。
死の恐怖に駆られた私は、いつの間にか無意識の内に、ローブの女性から貰ったペンダントを握り締めていたの。
お姉さんの噓つき。
ペンダントは私達を守ってなんかくれない。
そんな事を考えていた次の瞬間。ペンダントから眩い光が放たれたの。
そして、私の頭の中に幻聴とも思える様な声が聞こえた。
"死にたく無ければ此方へ来なさい!"
すると、洞窟の中から楕円形の光の空間が現れ、そこから光る手の様な物が伸びて来た。
選択の余地は無かった。私は言われるがままに、その光を掴んだ。
楕円形の光の中に引き寄せられた私は、気が付くと、辺り一面が眩い光の空間の中に居たの。
そこはまるで、さっきまで居た世界から隔離されてる様に感じられた。
だからこそ、勿論、魔物の姿も無かった。
さっきよりも状況がマシになったのだと思った私は、そっと胸を撫で下ろした。
そして、掴んだ光に導かれるがままに、際限の無い光の中を歩いた。
その道すがら、光は私にこう言ったの。
"我は其方を敵の目から隠す為に、一つの世界を作り上げた"
"其方はその世界の管理者となり、来るべき時に備えるのだ"
そう言い終えると、周囲の光が強まり、私は思わず目を塞いだ。
そして、数秒後、光が弱まるのを感じて目を開けると、そこには私の居た世界とは違う、見た事の無い景色が広がっていたのよ。」
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