68 / 75
68話 安里翔
しおりを挟む
「そうかい。翔ちゃんはあっちの世界に足を踏み入れてしまったんだね。」
ばあちゃんは俺がヴァリア城に居た事に関して、顔色一つ変えずに淡々と言った。
「ばあちゃんはどうして俺が現実離れした、魔法やモンスターが存在する世界に飛ばされたのか、何かその理由を知ってるのか?」
ばあちゃんは俺から視線を離した。
その瞳は過去の日々を思い出している様に思えた。
「翔ちゃんの居た世界と、この世界とでは、私が持つ知識にも多少ずれがあるかもれない。
だけど、今の翔ちゃん達の疑問のヒントになると思うからペンダントに纏わる話を続けましょう。
その日、まだ幼かった私は母の誕生日にブーケを贈ろうと思って、絶対に子供だけで入っちゃいけないって言われてた、町の外れにある森に、一人でお花を摘みに行ったの。
初めは森の入り口付近だけで探してたんだけど、綺麗なお花が見つからなくて、探すのに夢中になって、気が付くと、入り口が見えなくなる所まで来てしまってたの。
森の中にはモンスターが住んでるから、絶対に子供だけでは入っちゃけないって父さんから口を酸っぱくして言われてた。
今までは、父さんと一緒の時しか森の中には入らなかった。
だけど、この日父さんは、お城に呼ばれてたから、入り口の近くなら一人でも大丈夫だと思って森へ行ったの。
森を進んで行くと、奥の方から、何かの呻き声が聞こえて、私は目の前に咲いてたお花を一凛だけ摘んで一目散に来た道を走った。
すると、目の前に、道を塞ぐ様にして、大きく口を開けた三つ首の黒い大きな獣が現れたの。
恐怖から私は声を出す事さえ出来なかった。
私の存在に気付いたその獣は、大地が揺れる様な呻き声を上げ、私を目掛けて大きな四つ足で迫って来た。
呻き声で、腰を抜かしてた私は尻餅をついて立ち上がる事が出来なかった。
もうダメだと思った私は思わず目を閉じた。
数秒後、何故か獣の足音が消えた。
私はゆっくりと目を開けると、地面に三つの首が転がってた。
そして視線を上げると、そこにはローブを纏った美しい女性が、光を放つ刃を持って立って居た。
彼女は私の頭を撫でて、優しく微笑んでくれた。
私は神々しく、余りにも美し過ぎるその女性の顔を直視する事が出来なかった。
それは、この世に女神が存在するとすれば、きっと彼女では無いのかと思う程だった。
私は助けてくれてありがとうって言おうと思った。
だけど、息を呑む程の美しさの前に、言葉を失っていた。
私が彼女を直視出来ず、視線を下げていたのは、首から下げていたペンダントが気になったからだと勘違いしたのか、そのペンダントについて話し始めたの。
『このペンダントはね、私の大切な人が肌身離さず身に着けている物を模して作ったの。
少しでも彼に近付きたくて、いつの日か私の思いを受け止めて欲しくて、これを作れる職人が現れるのを待ってたら百年以上も経っちゃった。
オリジナルのペンダントは、彼がずっと思いを寄せる人とペアで作ったんだと知った時から、いつまで経っても現れないその女にに成り代わって、私が彼の隣に立つんだって思いでこれを作ったの。
何をしても動かない彼の心を動かす為の苦肉の策だった。
だけど、結局、彼の心が私に向く事は一度も無かった。
紛い物のペンダントを身に着けた、紛い物の人間・・・。』
私は何の事だか分からず、ポカンとしながら彼女の話を聞いていた。
『あら、ごめんなさい。久し振りに人に会っものだから、ついつい余計な事喋っちゃった。
あなたが私の愚痴を聞いてくれて、少し気も晴れたし、このペンダント、気になるんだったらあなたに上げるわ。』
そう言って、彼女は大切なペンダントを私の首に掛けてくれた。
『失恋の怨念の籠ったペンダントだから、これを身に着けてたらきっと他の魔物達は恐ろしくて寄って来ないわ。』
『お姉ちゃん。助けてくれてありがとう。それにペンダントまでくれて。』
『私が何となくこの森に来たのもきっと、偶然じゃなくて、何者かにそう仕向けられたからかもしれない。
例えそうだとしても、あなたとお話出来て楽しかったわ。まぁ、あなたからしたら、一方的に話し掛けられて迷惑だったかもしれないけど。
長く生きてると、たまに感じる事があるの。いつか、あなたとは、また違った形で会う事になるだろうって。』
そうして、彼女は私を村の入り口まで送ってくれたの。
恩人である彼女にお礼がしたくて、家まで一緒に行こうとしたんだけど、入り口を抜けた瞬間、彼女はぽつりと何かを呟いたの。
だけど、私は彼女が何を呟いたのか、よく聞き取れなかった。
"人間が愛おしくて、命まで助けちゃうなんて・・・私、どうかしちゃったみたい・・・
奴等がこの事を知ったら、私も消されちゃうのかな・・・"
気が付くと、いつの間にか彼女は居なくなってた。
そうして結局、今に至るまで、私と彼女が再会を果たす日は訪れてないの。」
ばあちゃんは俺がヴァリア城に居た事に関して、顔色一つ変えずに淡々と言った。
「ばあちゃんはどうして俺が現実離れした、魔法やモンスターが存在する世界に飛ばされたのか、何かその理由を知ってるのか?」
ばあちゃんは俺から視線を離した。
その瞳は過去の日々を思い出している様に思えた。
「翔ちゃんの居た世界と、この世界とでは、私が持つ知識にも多少ずれがあるかもれない。
だけど、今の翔ちゃん達の疑問のヒントになると思うからペンダントに纏わる話を続けましょう。
その日、まだ幼かった私は母の誕生日にブーケを贈ろうと思って、絶対に子供だけで入っちゃいけないって言われてた、町の外れにある森に、一人でお花を摘みに行ったの。
初めは森の入り口付近だけで探してたんだけど、綺麗なお花が見つからなくて、探すのに夢中になって、気が付くと、入り口が見えなくなる所まで来てしまってたの。
森の中にはモンスターが住んでるから、絶対に子供だけでは入っちゃけないって父さんから口を酸っぱくして言われてた。
今までは、父さんと一緒の時しか森の中には入らなかった。
だけど、この日父さんは、お城に呼ばれてたから、入り口の近くなら一人でも大丈夫だと思って森へ行ったの。
森を進んで行くと、奥の方から、何かの呻き声が聞こえて、私は目の前に咲いてたお花を一凛だけ摘んで一目散に来た道を走った。
すると、目の前に、道を塞ぐ様にして、大きく口を開けた三つ首の黒い大きな獣が現れたの。
恐怖から私は声を出す事さえ出来なかった。
私の存在に気付いたその獣は、大地が揺れる様な呻き声を上げ、私を目掛けて大きな四つ足で迫って来た。
呻き声で、腰を抜かしてた私は尻餅をついて立ち上がる事が出来なかった。
もうダメだと思った私は思わず目を閉じた。
数秒後、何故か獣の足音が消えた。
私はゆっくりと目を開けると、地面に三つの首が転がってた。
そして視線を上げると、そこにはローブを纏った美しい女性が、光を放つ刃を持って立って居た。
彼女は私の頭を撫でて、優しく微笑んでくれた。
私は神々しく、余りにも美し過ぎるその女性の顔を直視する事が出来なかった。
それは、この世に女神が存在するとすれば、きっと彼女では無いのかと思う程だった。
私は助けてくれてありがとうって言おうと思った。
だけど、息を呑む程の美しさの前に、言葉を失っていた。
私が彼女を直視出来ず、視線を下げていたのは、首から下げていたペンダントが気になったからだと勘違いしたのか、そのペンダントについて話し始めたの。
『このペンダントはね、私の大切な人が肌身離さず身に着けている物を模して作ったの。
少しでも彼に近付きたくて、いつの日か私の思いを受け止めて欲しくて、これを作れる職人が現れるのを待ってたら百年以上も経っちゃった。
オリジナルのペンダントは、彼がずっと思いを寄せる人とペアで作ったんだと知った時から、いつまで経っても現れないその女にに成り代わって、私が彼の隣に立つんだって思いでこれを作ったの。
何をしても動かない彼の心を動かす為の苦肉の策だった。
だけど、結局、彼の心が私に向く事は一度も無かった。
紛い物のペンダントを身に着けた、紛い物の人間・・・。』
私は何の事だか分からず、ポカンとしながら彼女の話を聞いていた。
『あら、ごめんなさい。久し振りに人に会っものだから、ついつい余計な事喋っちゃった。
あなたが私の愚痴を聞いてくれて、少し気も晴れたし、このペンダント、気になるんだったらあなたに上げるわ。』
そう言って、彼女は大切なペンダントを私の首に掛けてくれた。
『失恋の怨念の籠ったペンダントだから、これを身に着けてたらきっと他の魔物達は恐ろしくて寄って来ないわ。』
『お姉ちゃん。助けてくれてありがとう。それにペンダントまでくれて。』
『私が何となくこの森に来たのもきっと、偶然じゃなくて、何者かにそう仕向けられたからかもしれない。
例えそうだとしても、あなたとお話出来て楽しかったわ。まぁ、あなたからしたら、一方的に話し掛けられて迷惑だったかもしれないけど。
長く生きてると、たまに感じる事があるの。いつか、あなたとは、また違った形で会う事になるだろうって。』
そうして、彼女は私を村の入り口まで送ってくれたの。
恩人である彼女にお礼がしたくて、家まで一緒に行こうとしたんだけど、入り口を抜けた瞬間、彼女はぽつりと何かを呟いたの。
だけど、私は彼女が何を呟いたのか、よく聞き取れなかった。
"人間が愛おしくて、命まで助けちゃうなんて・・・私、どうかしちゃったみたい・・・
奴等がこの事を知ったら、私も消されちゃうのかな・・・"
気が付くと、いつの間にか彼女は居なくなってた。
そうして結局、今に至るまで、私と彼女が再会を果たす日は訪れてないの。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
魔力ゼロの俺だけが、呪いの装備を『代償なし』で使い放題 ~命を削る魔剣も、俺が持てば『ただのよく切れる剣』~
仙道
ファンタジー
現代日本で天才研究者だった相模登(さがみ のぼる)は、ある日突然、異世界へ転移した。 そこは『スキル』と『魔力』が全てを決める世界。
しかし登には、ステータス画面もなければ、魔力も、スキルも一切存在しなかった。
ただの一般人として迷宮に放り出された彼は、瀕死の女騎士と出会う。彼女の前には、使う者の命を瞬時に吸い尽くす『呪いの魔剣』が落ちていた。
武器はそれしかない。女騎士は絶望していたが、登は平然と魔剣を握りしめる。 「なぜ……生きていられるの?」 登には、剣が対価として要求する魔力は存在しない。故に、魔剣はデメリットなしの『ただのよく切れる剣』として機能した。
これは、世界で唯一「対価」を支払う必要がない登が、呪われた武具を次々と使いこなし、その副作用に苦しむ女騎士やエルフ、聖女を救い出し、無自覚に溺愛されていく物語。
レオナルド先生創世記
ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!
200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち
半道海豚
SF
本稿は、生きていくために、文明の痕跡さえない200万年後の未来に旅立ったヒトたちの奮闘を描いています。
最近は温暖化による環境の悪化が話題になっています。温暖化が進行すれば、多くの生物種が絶滅するでしょう。実際、新生代第四紀完新世(現在の地質年代)は生物の大量絶滅の真っ最中だとされています。生物の大量絶滅は地球史上何度も起きていますが、特に大規模なものが“ビッグファイブ”と呼ばれています。5番目が皆さんよくご存じの恐竜絶滅です。そして、現在が6番目で絶賛進行中。しかも理由はヒトの存在。それも産業革命以後とかではなく、何万年も前から。
本稿は、2015年に書き始めましたが、温暖化よりはスーパープルームのほうが衝撃的だろうと考えて北米でのマントル噴出を破局的環境破壊の惹起としました。
第1章と第2章は未来での生き残りをかけた挑戦、第3章以降は競争排除則(ガウゼの法則)がテーマに加わります。第6章以降は大量絶滅は収束したのかがテーマになっています。
どうぞ、お楽しみください。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる