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19.私の自由の拠点(カフェ)が完成しました!
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ついにカフェが完成しました!
「やったあああああああああああ!」
期待していた女子学生生活が想定外の波乱に満ちていた私にとっては、久しぶりの朗報で思わず快哉《かいさい》を叫んでしまう!
ともかく、カフェのオーナーとして一つのお店を持つことが出来たのだ。
「自由に生きる第一歩だわ!」
もちろん、お店の経営は大変だけど、これは自分が生前やりたかったことでもあるのだ。1回目の人生では婚約を受け入れてしまったせいで妃教育など本当に色々な義務が生じて、とてもカフェの経営や自由な人生の謳歌など夢のまた夢だった。でも、今回は死亡フラグ回避というネガティブな動機とはいえ、こうして自分の好きに振る舞うことが出来た。それがとても嬉しくて心地良い!
それにこれで王太子との婚約を断って公爵令嬢の地位を失っても、問題なく自分で生活を維持することくらいはできる!
さて、お店ですが、内装にはガラスを出来るだけ多く使って、外を見やすい作りにしてある。ウッドデッキで外で軽食を召し上がってもらうことも可能だ。とは言え、通行人から丸見えのようだと落ち着かないので、植栽を適切に配置することで、中のお客様からは開放感はありつつも、寛げる空間にしたつもりである。内装には木材を使用しているが、余り凝ったデザインにすることなく、無骨さを残すことで、自然のぬくもりを感じられるようにしてあって、テーブルや椅子などの備品、そしてカトラリーは最新の流行をおさえたものだ。この辺りは業者を統一したことによって、無理のない、統一感のある洗練されたものになったと自負している。
というわけで、喫茶「エトワール」は無事工事を終えて開店したのでした! 頼むよ、スタッフたち! ていうか、私も最初は出来るだけホールに立つけどね!
スタッフはとりあえず募集して三人を雇用することにした。どの子も良い子である。
また、私が公爵令嬢であることは秘密にしてある! だって、そうしないと委縮しちゃうかもしれないもんね。貴族の中には凄く傲慢な人もいるからしょうがないんだけど、それだとスタッフからの正直な意見とか指摘をもらえないから改善ができなくて困るのだ!
だから、現場に立つのも大事なのよねー。いつも出るのが大事ってわけじゃないけどね! でも、自分の目で見て、感覚っていうのかな? それは掴んでおくのがお仕事のコツよね。
というわけで、雇った三人に挨拶をした。
「私がオーナーのアイリーンです。みんな、よろしくね! 困ったことがあったりしたら言って頂戴!」
「はい、宜しくお願いします。オーナー」
メガネをかけた真面目そうな女の子、ミシェルが頭を下げて挨拶をしてくれた。素直で可愛い!
「それにしても、オーナー様はすごくお若いのですね。その歳でこんなお店を持つなんて、すごいですね」
もう一人の子はベラ。髪の毛をベリーショートにした、ちょっと男勝りな感じの子だ。気が強そうでいいわね。結構客商売って色々あるから。頼りになりそう! あと、凛々しくて可愛い!
「はわわ。ドジをしないように頑張らないと!」
最後の一人はキャロルと言って、少し小柄な子。何だか子猫みたいな小動物感を漂わせた可愛らしい子だ。髪の毛をツインテールにしていて、ずっとはわはわしている。うーん、この子も可愛い!
と、私が全員に可愛いなぁと思って、ご機嫌で眺めていると、ミシェルが訝し気に言った。
「あの、どうしてじろじろ見られているんでしょうか? 恰好、おかしいですか?」
おっと、しまった。私は彼女たちが可愛かったので、つい見とれていたのだ。まぁ、正直に言おう。
「いやー、みんな可愛いから見とれてたのよ。その制服姿、よく似合ってるわ。サイズもぴったり。うふふ」
「えーっと、それを言うんでしたら……。いえ、これは言うべきじゃないか……」
ん?
何やら言いにくそうに、ベラが頭を掻きながら言いよどんでいた。どうしたのかしら?
はっ! これはあれね! 現場の意見というやつよね!
鋭い私は気づいた。
まさに現場に出ているのはこういう意見をちゃんと汲み上げるため。制服に何か問題があるのかもしれない。うまく聞きださないと。
「いいのよ、ベラ。何でもいいから言ってちょうだい。それがこのお店のためになるんだから!」
「あー、お店のためになるかなぁ……」
なるほど。確かに一従業員の立場では判断できないことだろう。それを判断するのが私の役目だ。
「いいのよ。どんなことでも怒ったりしないから。さぁ、言ってちょうだい」
「あ、はい。じゃあ……」
ベラは思い切って、といった様子で口を開く。
「あの、制服なんですが」
「うんうん」
「私たちに似合っているとおっしゃってくださいましたが……」
「うんうんうんうん!」
おお、やはり制服に問題点がっ……⁉
「一番お似合いなのは、アイリーン様かと思います」
「うんうんうんうんうん…………へ?」
なんて?
「いえ、ですから。本当にアイリーン様……。オーナーが一番お似合いだと思います」
そう少し頬を染めながらいう。ベラは結構ボーイッシュなイメージだから、その子がモジモジしていると超絶可愛い! だから、
「いやいや! 絶対、ベラの方が可愛いわよ!」
そう反論するけど、
「い、いえ! 私もそう思ってました。オーナー、素敵です! とても似合っています! 気品もあわせもっていて、その上可愛いし、反則です! は、はわわ!」
なんと、小柄なキャロルも口を開いて、追撃してきた。
「いや、いやいやいやいやいや。絶対あなたたちの方が可愛いと思うけど……」
「自覚がないのですね……」
「オーナーが一番可愛いですよ。お似合いです」
「はわわ。本当にそうです。一緒に働けて嬉しいです♪」
ミシェルが真面目に、ベラが率直に、キャロルがはわはわしながら、そう言ってくるのだった。
「そ、そんなことないから! 絶対に! からかうの禁止! これはオーナー命令です!」
「からかってるわけじゃないんだけどなぁ」
「やり手なのに天然なのかしら?」
「そこも可愛いかもですね~」
まだ三人は何か言っているが、私は無視することにした。と、とにかく三人の従業員とは、うまくやっていけそうなので良しとしよう、うん。とにかくどの子も可愛いことは分かったのだからOK、OK。
さあ、とにかくもうすぐ開店だ。
私の文字通り、第2の人生が幕を開ける!
(続きます)
「やったあああああああああああ!」
期待していた女子学生生活が想定外の波乱に満ちていた私にとっては、久しぶりの朗報で思わず快哉《かいさい》を叫んでしまう!
ともかく、カフェのオーナーとして一つのお店を持つことが出来たのだ。
「自由に生きる第一歩だわ!」
もちろん、お店の経営は大変だけど、これは自分が生前やりたかったことでもあるのだ。1回目の人生では婚約を受け入れてしまったせいで妃教育など本当に色々な義務が生じて、とてもカフェの経営や自由な人生の謳歌など夢のまた夢だった。でも、今回は死亡フラグ回避というネガティブな動機とはいえ、こうして自分の好きに振る舞うことが出来た。それがとても嬉しくて心地良い!
それにこれで王太子との婚約を断って公爵令嬢の地位を失っても、問題なく自分で生活を維持することくらいはできる!
さて、お店ですが、内装にはガラスを出来るだけ多く使って、外を見やすい作りにしてある。ウッドデッキで外で軽食を召し上がってもらうことも可能だ。とは言え、通行人から丸見えのようだと落ち着かないので、植栽を適切に配置することで、中のお客様からは開放感はありつつも、寛げる空間にしたつもりである。内装には木材を使用しているが、余り凝ったデザインにすることなく、無骨さを残すことで、自然のぬくもりを感じられるようにしてあって、テーブルや椅子などの備品、そしてカトラリーは最新の流行をおさえたものだ。この辺りは業者を統一したことによって、無理のない、統一感のある洗練されたものになったと自負している。
というわけで、喫茶「エトワール」は無事工事を終えて開店したのでした! 頼むよ、スタッフたち! ていうか、私も最初は出来るだけホールに立つけどね!
スタッフはとりあえず募集して三人を雇用することにした。どの子も良い子である。
また、私が公爵令嬢であることは秘密にしてある! だって、そうしないと委縮しちゃうかもしれないもんね。貴族の中には凄く傲慢な人もいるからしょうがないんだけど、それだとスタッフからの正直な意見とか指摘をもらえないから改善ができなくて困るのだ!
だから、現場に立つのも大事なのよねー。いつも出るのが大事ってわけじゃないけどね! でも、自分の目で見て、感覚っていうのかな? それは掴んでおくのがお仕事のコツよね。
というわけで、雇った三人に挨拶をした。
「私がオーナーのアイリーンです。みんな、よろしくね! 困ったことがあったりしたら言って頂戴!」
「はい、宜しくお願いします。オーナー」
メガネをかけた真面目そうな女の子、ミシェルが頭を下げて挨拶をしてくれた。素直で可愛い!
「それにしても、オーナー様はすごくお若いのですね。その歳でこんなお店を持つなんて、すごいですね」
もう一人の子はベラ。髪の毛をベリーショートにした、ちょっと男勝りな感じの子だ。気が強そうでいいわね。結構客商売って色々あるから。頼りになりそう! あと、凛々しくて可愛い!
「はわわ。ドジをしないように頑張らないと!」
最後の一人はキャロルと言って、少し小柄な子。何だか子猫みたいな小動物感を漂わせた可愛らしい子だ。髪の毛をツインテールにしていて、ずっとはわはわしている。うーん、この子も可愛い!
と、私が全員に可愛いなぁと思って、ご機嫌で眺めていると、ミシェルが訝し気に言った。
「あの、どうしてじろじろ見られているんでしょうか? 恰好、おかしいですか?」
おっと、しまった。私は彼女たちが可愛かったので、つい見とれていたのだ。まぁ、正直に言おう。
「いやー、みんな可愛いから見とれてたのよ。その制服姿、よく似合ってるわ。サイズもぴったり。うふふ」
「えーっと、それを言うんでしたら……。いえ、これは言うべきじゃないか……」
ん?
何やら言いにくそうに、ベラが頭を掻きながら言いよどんでいた。どうしたのかしら?
はっ! これはあれね! 現場の意見というやつよね!
鋭い私は気づいた。
まさに現場に出ているのはこういう意見をちゃんと汲み上げるため。制服に何か問題があるのかもしれない。うまく聞きださないと。
「いいのよ、ベラ。何でもいいから言ってちょうだい。それがこのお店のためになるんだから!」
「あー、お店のためになるかなぁ……」
なるほど。確かに一従業員の立場では判断できないことだろう。それを判断するのが私の役目だ。
「いいのよ。どんなことでも怒ったりしないから。さぁ、言ってちょうだい」
「あ、はい。じゃあ……」
ベラは思い切って、といった様子で口を開く。
「あの、制服なんですが」
「うんうん」
「私たちに似合っているとおっしゃってくださいましたが……」
「うんうんうんうん!」
おお、やはり制服に問題点がっ……⁉
「一番お似合いなのは、アイリーン様かと思います」
「うんうんうんうんうん…………へ?」
なんて?
「いえ、ですから。本当にアイリーン様……。オーナーが一番お似合いだと思います」
そう少し頬を染めながらいう。ベラは結構ボーイッシュなイメージだから、その子がモジモジしていると超絶可愛い! だから、
「いやいや! 絶対、ベラの方が可愛いわよ!」
そう反論するけど、
「い、いえ! 私もそう思ってました。オーナー、素敵です! とても似合っています! 気品もあわせもっていて、その上可愛いし、反則です! は、はわわ!」
なんと、小柄なキャロルも口を開いて、追撃してきた。
「いや、いやいやいやいやいや。絶対あなたたちの方が可愛いと思うけど……」
「自覚がないのですね……」
「オーナーが一番可愛いですよ。お似合いです」
「はわわ。本当にそうです。一緒に働けて嬉しいです♪」
ミシェルが真面目に、ベラが率直に、キャロルがはわはわしながら、そう言ってくるのだった。
「そ、そんなことないから! 絶対に! からかうの禁止! これはオーナー命令です!」
「からかってるわけじゃないんだけどなぁ」
「やり手なのに天然なのかしら?」
「そこも可愛いかもですね~」
まだ三人は何か言っているが、私は無視することにした。と、とにかく三人の従業員とは、うまくやっていけそうなので良しとしよう、うん。とにかくどの子も可愛いことは分かったのだからOK、OK。
さあ、とにかくもうすぐ開店だ。
私の文字通り、第2の人生が幕を開ける!
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