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一章【辺境騎士団ゴロライ分隊】
【設定資料:第一章】舞台設定
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【おことわり】
今日と明日の更新内容は小説本文ではありません。ちょっとした解説が必要な舞台設定と、ゴロライ分隊を中心に主な登場人物の紹介です。
とはいえ分隊員の大半はただのモブなので、名前を覚えてもらう必要は特にないのですが。まあ人数がそれなりに多いので、コイツ誰?ってなった時に手っ取り早く参照できるかな、とは思います。
では、まずは舞台設定の資料集をどうぞ。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
【舞台設定】
・ゴロライ
人口二千人に満たない程度の小さな町。主な住民は近隣のゴロライ山での木こりか猟師、もしくは近くを流れるデウィ川の漁師たちとその家族。
元はカムリリアとアングリアとの係争地で荒れ果てていて町もなかった。戦乱が終わり建築需要の高まりを受けて木こりたちが名もなき山の南麓に勝手に住み始めたのが町の興りで、そのために国家の公式な地図に載っておらず町の名前もない。“ゴロライ”は辺境という意味のカムリリア語で、住民が勝手に呼んでいるだけの俗称。
地図に載っておらず町の正式名称もないため、カムリリアからもアングリアからも“ワケあり”の人間がどんどん流れ込んでくる。そのため治安もあまり良くはなく、住民同士でも互いの素性を知らない(明かさない)ことが多い。中には偽名で暮らしている者もいると思われる。
・チェスターバーグ
カムリリアとアングリアとを結ぶ街道上にあるカムリリア最後の街で、人口約五万人程度。元はアングリア側の対カムリリア前線基地として築かれた街のため名前がアングリア風になっているが、現在はカムリリアの勢力圏として確定している。
カムリリアの旧五王国のひとつファドク王国の領地で、元はファドクの辺境騎士団本部が置かれており、そのままカムリリアの北部辺境騎士団として存続している。ゴロライの分隊は北部辺境騎士団が置いていて、ゴロライの町およびアングリアとの国境警備のほか“ゴロライ山”に棲息する獣や魔獣などの被害から町を守る役割も果たしている。
・王都グリンドゥール
名前だけの登場。かつてカムリリアの独立運動を指揮した“最後のカムリリア大公”こと英雄グリンドゥールが本拠地を置いた小さな町で、グリンドゥールを慕う者たちやアングリア支配に抵抗する人々が集まり大きな都市になった。
現在はカムリリアの政治的・文化的な中心都市であり、カムリリア総督府やカムリリア議会、裁判所などが置かれている。地理的にはカムリリアの中西部、海岸から少し離れた場所にあり、北を旧グウィネズ公国、東を旧ポウィス王国、南を旧デヘイバース王国に接している。カムリリア各地に領地を持つ貴族たちのうち、有力な貴族はほとんどがこの王都に公邸を構えている(貴族たちはその他に領地に本邸がある)。
カムリリアの全体図(上が北)。
地図製作:ChatGPT
※カレドニア(CALEDONIA)は作中ではもっとずっと北の方になります。
黒い点:王都グリンドゥール
青い点:チェスターバーグ
赤い点:ゴロライ
【カムリリア旧五王国】
かつてカムリリア(当時の名称は“カムリ”)の地に割拠し覇を競った五つの国々。グウィネズ公国がもう少しで統一するというところでアングリアの大軍勢に攻め込まれ、グウィネズ公国に抵抗するポウィスやグウェントなどの蜂起も相次いで戦線が崩壊して征服された。
作中では約五百年前に滅ぼされた国々であり、現在は統一カムリリアとしてアルヴァイオン大公国の“国邦”のひとつにまとめられているが、今なお旧五王国のアイデンティティが色濃く残っているのが実情、という設定。
・旧グウィネズ公国 Gwynedd
カムリリア西北部。伝統的な価値観を至上としアングリアからの文化的支配を頑なに拒む地域。かつてカムリリア全土を統一する寸前までいったことから、現在でも「カムリリアの盟主」を自称する。アングリアの文化や経済を受け入れたグウェントや、アングリアの文化を受け入れつつ伝統との共存を図るポウィスが嫌い。
・旧ポウィス王国 Powys
現在のカムリリアで最大の面積を誇る中東部の地域。領域の最西端に王都グリンドゥールがあるが、領域の大半は山地と山林、渓谷で占められている。英雄グリンドゥールの母方がポウィスの王族筋のためグリンドゥールを自国の英雄と称して、彼をポウィスではなく自国の王だと認定しているグウィネズと長年論争している。
・旧グウェント王国 Gwent
カムリリア南東部。アングリアの侵攻の際に真っ先に降伏し、その尖兵としてグウィネズの侵略に真っ向から立ち向かった地域で、そのせいもありグウィネズとの仲は常に険悪。アングリアの最新トレンドをいち早く取り入れるとともに、カムリリアの伝統的な文化を軽視する風潮が強いため、そこもグウィネズに嫌われる一因となっている。
カムリリアの商業的中心地であるカイルディズはグウェントの中心都市。
・旧ファドク王国 Fadog
カムリリア北東部。かつてはポウィス王国の一部であり、グウィネズにも征服されたことがある。そのため両国から影響を受けていて、伝統重視が強い文化的背景がある一方で、アングリアと国境を接するがゆえにアングリア文化との融合も見られるハイブリッドな地域。越境してきて仕事したり住み着いたりするアングリア人も多い。
作中の主な舞台であるゴロライの町や、近隣のチェスターバーグはファドクでも北東部に位置する。
・旧デヘイバース王国 Deheubarth
かつてあった小国が連合・統合し成立した国で、そのためか地域的特徴が各地でバラバラの、まとまりのない地域。カムリリアの西部から南西部を占める。
デヘイバースの北部に位置するケレディギオン州(旧ケレディギオン王国)は良質な海港を持ち、外洋航路経由でアングリアの文物を積極的に受け入れる先進的地域。一方で内陸部は少数部族が多く残り、部族ごとや集落ごとに独自の「地域法(部族法)」を頑なに守っている閉鎖的な土地として知られている。部族社会にはグウィネズにすら残っていない古い慣習が多く残り、そのためちょっとした異界の雰囲気すらあるという。
今日と明日の更新内容は小説本文ではありません。ちょっとした解説が必要な舞台設定と、ゴロライ分隊を中心に主な登場人物の紹介です。
とはいえ分隊員の大半はただのモブなので、名前を覚えてもらう必要は特にないのですが。まあ人数がそれなりに多いので、コイツ誰?ってなった時に手っ取り早く参照できるかな、とは思います。
では、まずは舞台設定の資料集をどうぞ。
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【舞台設定】
・ゴロライ
人口二千人に満たない程度の小さな町。主な住民は近隣のゴロライ山での木こりか猟師、もしくは近くを流れるデウィ川の漁師たちとその家族。
元はカムリリアとアングリアとの係争地で荒れ果てていて町もなかった。戦乱が終わり建築需要の高まりを受けて木こりたちが名もなき山の南麓に勝手に住み始めたのが町の興りで、そのために国家の公式な地図に載っておらず町の名前もない。“ゴロライ”は辺境という意味のカムリリア語で、住民が勝手に呼んでいるだけの俗称。
地図に載っておらず町の正式名称もないため、カムリリアからもアングリアからも“ワケあり”の人間がどんどん流れ込んでくる。そのため治安もあまり良くはなく、住民同士でも互いの素性を知らない(明かさない)ことが多い。中には偽名で暮らしている者もいると思われる。
・チェスターバーグ
カムリリアとアングリアとを結ぶ街道上にあるカムリリア最後の街で、人口約五万人程度。元はアングリア側の対カムリリア前線基地として築かれた街のため名前がアングリア風になっているが、現在はカムリリアの勢力圏として確定している。
カムリリアの旧五王国のひとつファドク王国の領地で、元はファドクの辺境騎士団本部が置かれており、そのままカムリリアの北部辺境騎士団として存続している。ゴロライの分隊は北部辺境騎士団が置いていて、ゴロライの町およびアングリアとの国境警備のほか“ゴロライ山”に棲息する獣や魔獣などの被害から町を守る役割も果たしている。
・王都グリンドゥール
名前だけの登場。かつてカムリリアの独立運動を指揮した“最後のカムリリア大公”こと英雄グリンドゥールが本拠地を置いた小さな町で、グリンドゥールを慕う者たちやアングリア支配に抵抗する人々が集まり大きな都市になった。
現在はカムリリアの政治的・文化的な中心都市であり、カムリリア総督府やカムリリア議会、裁判所などが置かれている。地理的にはカムリリアの中西部、海岸から少し離れた場所にあり、北を旧グウィネズ公国、東を旧ポウィス王国、南を旧デヘイバース王国に接している。カムリリア各地に領地を持つ貴族たちのうち、有力な貴族はほとんどがこの王都に公邸を構えている(貴族たちはその他に領地に本邸がある)。
カムリリアの全体図(上が北)。
地図製作:ChatGPT
※カレドニア(CALEDONIA)は作中ではもっとずっと北の方になります。
黒い点:王都グリンドゥール
青い点:チェスターバーグ
赤い点:ゴロライ
【カムリリア旧五王国】
かつてカムリリア(当時の名称は“カムリ”)の地に割拠し覇を競った五つの国々。グウィネズ公国がもう少しで統一するというところでアングリアの大軍勢に攻め込まれ、グウィネズ公国に抵抗するポウィスやグウェントなどの蜂起も相次いで戦線が崩壊して征服された。
作中では約五百年前に滅ぼされた国々であり、現在は統一カムリリアとしてアルヴァイオン大公国の“国邦”のひとつにまとめられているが、今なお旧五王国のアイデンティティが色濃く残っているのが実情、という設定。
・旧グウィネズ公国 Gwynedd
カムリリア西北部。伝統的な価値観を至上としアングリアからの文化的支配を頑なに拒む地域。かつてカムリリア全土を統一する寸前までいったことから、現在でも「カムリリアの盟主」を自称する。アングリアの文化や経済を受け入れたグウェントや、アングリアの文化を受け入れつつ伝統との共存を図るポウィスが嫌い。
・旧ポウィス王国 Powys
現在のカムリリアで最大の面積を誇る中東部の地域。領域の最西端に王都グリンドゥールがあるが、領域の大半は山地と山林、渓谷で占められている。英雄グリンドゥールの母方がポウィスの王族筋のためグリンドゥールを自国の英雄と称して、彼をポウィスではなく自国の王だと認定しているグウィネズと長年論争している。
・旧グウェント王国 Gwent
カムリリア南東部。アングリアの侵攻の際に真っ先に降伏し、その尖兵としてグウィネズの侵略に真っ向から立ち向かった地域で、そのせいもありグウィネズとの仲は常に険悪。アングリアの最新トレンドをいち早く取り入れるとともに、カムリリアの伝統的な文化を軽視する風潮が強いため、そこもグウィネズに嫌われる一因となっている。
カムリリアの商業的中心地であるカイルディズはグウェントの中心都市。
・旧ファドク王国 Fadog
カムリリア北東部。かつてはポウィス王国の一部であり、グウィネズにも征服されたことがある。そのため両国から影響を受けていて、伝統重視が強い文化的背景がある一方で、アングリアと国境を接するがゆえにアングリア文化との融合も見られるハイブリッドな地域。越境してきて仕事したり住み着いたりするアングリア人も多い。
作中の主な舞台であるゴロライの町や、近隣のチェスターバーグはファドクでも北東部に位置する。
・旧デヘイバース王国 Deheubarth
かつてあった小国が連合・統合し成立した国で、そのためか地域的特徴が各地でバラバラの、まとまりのない地域。カムリリアの西部から南西部を占める。
デヘイバースの北部に位置するケレディギオン州(旧ケレディギオン王国)は良質な海港を持ち、外洋航路経由でアングリアの文物を積極的に受け入れる先進的地域。一方で内陸部は少数部族が多く残り、部族ごとや集落ごとに独自の「地域法(部族法)」を頑なに守っている閉鎖的な土地として知られている。部族社会にはグウィネズにすら残っていない古い慣習が多く残り、そのためちょっとした異界の雰囲気すらあるという。
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