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おまけ
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権田君は密かに考えていた。
誰が見ても両想いの二人なのにじれったいことこの上ない。
少し距離を縮める手伝いをするべきなのか。それはいらぬお節介なのか。
嫉妬の矛先が自分向かうのは回避したいと思いながらも、川島さんをからかったら面白い事に気がついた。
『俺が犯人を押さえつけた時の武勇伝を聞いて、喜助さんにかっこいいって言われました』とか『警察から感謝状をもらった時に、喜助さんと記念撮影した大きく引き伸ばされた新聞記事を部屋に飾ってくれてる』とか自慢げに言うと川島さんは拗ねる。
調子に乗りすぎたかもと、仲良くなったPROBE(川島さん行きつけのバー)の店長と話をしていたら、その時アルバイトに入っていたボーイの男の子から「これあげます」と男性用の空気で膨らますダッチ○○○をもらった。
大きすぎて持って帰れないから、良かったらどうぞという事だった。
これのモデルは「男の娘」で家に置いてあったら誰もがドン引きだろう空気人形だった。
そして俺は、そのプレゼントをこっそり川島さんの部屋に置いてくるように、と店長からの指令を受けてしまった。
翌日、何事も断れない体質の俺は仕方なくその任務を遂行した。
ベッドの脇に、こっそり膨らませたそれを発見した時の川島さんを想像すると、明日自分は生きているんだろうかと命の危険を感じた。
川島さんは今日多分喜助さんと二人で会う約束をしている。
もしかしたら初の○○○かもしれない。そんな大事な日にトラップを仕掛けるなんて、どうなんだろう。
結局、優しい俺は、膨らませたそれを特大の袋に入れて持ち帰ることにした。
そして今、けっして広いわけではない、俺のワンルームの部屋、ベッドの上にそれは鎮座している。
残念ながらその人形の顔が好みではなかった。
スナフキンのような顔をしている。
『物の持ち過ぎで苦しむのは、自分だぞ』
スナフキンの名言でそんなセリフがあった。
狭くなった自分の部屋を見渡して。
『あれほど物をを増やすなと言ったのに』と空気人形スナフキンに怒られているような気がした。
「……いや、スナフキン。お前は旅人、家持ってねーだろう……狭くなったのは誰のせいだと」
と独りごちる権田だった。
誰が見ても両想いの二人なのにじれったいことこの上ない。
少し距離を縮める手伝いをするべきなのか。それはいらぬお節介なのか。
嫉妬の矛先が自分向かうのは回避したいと思いながらも、川島さんをからかったら面白い事に気がついた。
『俺が犯人を押さえつけた時の武勇伝を聞いて、喜助さんにかっこいいって言われました』とか『警察から感謝状をもらった時に、喜助さんと記念撮影した大きく引き伸ばされた新聞記事を部屋に飾ってくれてる』とか自慢げに言うと川島さんは拗ねる。
調子に乗りすぎたかもと、仲良くなったPROBE(川島さん行きつけのバー)の店長と話をしていたら、その時アルバイトに入っていたボーイの男の子から「これあげます」と男性用の空気で膨らますダッチ○○○をもらった。
大きすぎて持って帰れないから、良かったらどうぞという事だった。
これのモデルは「男の娘」で家に置いてあったら誰もがドン引きだろう空気人形だった。
そして俺は、そのプレゼントをこっそり川島さんの部屋に置いてくるように、と店長からの指令を受けてしまった。
翌日、何事も断れない体質の俺は仕方なくその任務を遂行した。
ベッドの脇に、こっそり膨らませたそれを発見した時の川島さんを想像すると、明日自分は生きているんだろうかと命の危険を感じた。
川島さんは今日多分喜助さんと二人で会う約束をしている。
もしかしたら初の○○○かもしれない。そんな大事な日にトラップを仕掛けるなんて、どうなんだろう。
結局、優しい俺は、膨らませたそれを特大の袋に入れて持ち帰ることにした。
そして今、けっして広いわけではない、俺のワンルームの部屋、ベッドの上にそれは鎮座している。
残念ながらその人形の顔が好みではなかった。
スナフキンのような顔をしている。
『物の持ち過ぎで苦しむのは、自分だぞ』
スナフキンの名言でそんなセリフがあった。
狭くなった自分の部屋を見渡して。
『あれほど物をを増やすなと言ったのに』と空気人形スナフキンに怒られているような気がした。
「……いや、スナフキン。お前は旅人、家持ってねーだろう……狭くなったのは誰のせいだと」
と独りごちる権田だった。
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