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第十二話 エプロン姿の怒れる鬼
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待った待った待ったーっ!
その牙はなんだー!
"ありゃ?お姉さん、魅了解けちゃったの? うーん……残念"
年齢不相応の妖艶さを振りまきながら言った。
魅了? いつの間に?
そうか。また私は喰われそうになってたのか。
"僕はヴァンピールだからねえ。まあ後十年くらいは吸わなくても大丈夫かな。これまでのストックがあるし"
これまでのストック? それはつまり……
考えないことにしよう。
"それにお姉さん、マーキングされてるしね。相当な魔力持ちが近くにいるんでしょ? ちょっと見てみたいかな"
……本当に一緒に来るん?
絶対間違いなく荒ぶるのが待ち構えてると思うんだけど……
"僕のことはアルって呼んで? お姉さん脆弱だから守ってあげないと。エナジー美味しいし"
食事には変わんないんだな……
沼から野宿の場所までトボトボ戻ると、角が生えているのが幻覚で見える筆頭補佐官が腕を組んで待ち構えていた。
怒ってる。
ここまで怒っているのを初めて見たかもしれない。
ただ、エプロン姿のままなので、どうにも……
「アリアン・サシャ・クロヴィス・ル・シャトリエ・ガランド殿下。探しに行こうと思っていました。ユニコーンが出来上がった朝食に手を付けようとするので『待て』をしていますが、そろそろ限界でしょう」
うわあ、怒ってる……そうですよね……洗顔にしては時間がかかり過ぎているし。
「何故目を離すたびに、何かを連れてくるのですか」
「あ、あのな? 盥を無くしてしまった。水魔に……」
水魔、という言葉に即座に筆頭補佐官が反応する。
「水魔ですと? 人間が大好物の上位魔物ではないですか……よく生きて……どうやって戻ってこられたのです?」
「それがだな、この少年……アルが水魔を始末してくれてだな……」
アルが最初からずっと筆頭補佐官を凝視している。漆黒の髪同士だからなのかもしれない。
”お姉さんにマーキングしたのは君か。なるほどね”
「マーキングってなんだ?」
"雄犬が片脚上げてやるあれだよ"
……ちょ。匂い付けのことやん。
え? 私……臭くなってるん? 勘弁して?
「……殿下。まさかそれを連れて戻られたのですか」
ギリリと首を曲げた音が聞こえたような気がする。
筆頭補佐官がじっとりと私のほうに視線を移した。
「……これもまた人を捕食する上位魔物ではありませんか。殿下、危機管理能力はいかがなさっているのです?」
……うっ。自覚は、ある。あるんだが。
……って、筆頭補佐官、アルがどういう魔物なのか一目で分かったのか?
その牙はなんだー!
"ありゃ?お姉さん、魅了解けちゃったの? うーん……残念"
年齢不相応の妖艶さを振りまきながら言った。
魅了? いつの間に?
そうか。また私は喰われそうになってたのか。
"僕はヴァンピールだからねえ。まあ後十年くらいは吸わなくても大丈夫かな。これまでのストックがあるし"
これまでのストック? それはつまり……
考えないことにしよう。
"それにお姉さん、マーキングされてるしね。相当な魔力持ちが近くにいるんでしょ? ちょっと見てみたいかな"
……本当に一緒に来るん?
絶対間違いなく荒ぶるのが待ち構えてると思うんだけど……
"僕のことはアルって呼んで? お姉さん脆弱だから守ってあげないと。エナジー美味しいし"
食事には変わんないんだな……
沼から野宿の場所までトボトボ戻ると、角が生えているのが幻覚で見える筆頭補佐官が腕を組んで待ち構えていた。
怒ってる。
ここまで怒っているのを初めて見たかもしれない。
ただ、エプロン姿のままなので、どうにも……
「アリアン・サシャ・クロヴィス・ル・シャトリエ・ガランド殿下。探しに行こうと思っていました。ユニコーンが出来上がった朝食に手を付けようとするので『待て』をしていますが、そろそろ限界でしょう」
うわあ、怒ってる……そうですよね……洗顔にしては時間がかかり過ぎているし。
「何故目を離すたびに、何かを連れてくるのですか」
「あ、あのな? 盥を無くしてしまった。水魔に……」
水魔、という言葉に即座に筆頭補佐官が反応する。
「水魔ですと? 人間が大好物の上位魔物ではないですか……よく生きて……どうやって戻ってこられたのです?」
「それがだな、この少年……アルが水魔を始末してくれてだな……」
アルが最初からずっと筆頭補佐官を凝視している。漆黒の髪同士だからなのかもしれない。
”お姉さんにマーキングしたのは君か。なるほどね”
「マーキングってなんだ?」
"雄犬が片脚上げてやるあれだよ"
……ちょ。匂い付けのことやん。
え? 私……臭くなってるん? 勘弁して?
「……殿下。まさかそれを連れて戻られたのですか」
ギリリと首を曲げた音が聞こえたような気がする。
筆頭補佐官がじっとりと私のほうに視線を移した。
「……これもまた人を捕食する上位魔物ではありませんか。殿下、危機管理能力はいかがなさっているのです?」
……うっ。自覚は、ある。あるんだが。
……って、筆頭補佐官、アルがどういう魔物なのか一目で分かったのか?
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