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25 母はやっぱり強かった
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「懐かしいなあ。メリルと同じ年に僕は初めて畜産農家で荒野を開拓したんだ」
アーサーが昔を懐かしむ目でそう言った。
「お隣のリーさんちでしょ? 丘陵が美しいって評判の。養蜂家のクローバーはちみつはとっても美味しいよね」
メリルがそう言うと、アーサーがちょっと視線を彷徨わせた。ほんのちょっとだったけれど、ブラコンのメリルはそれに気が付く。
「リーさんちのメイベルちゃんは王都で新進気鋭のファッションブランドを起ち上げていてねえ。ステキなデザインで評判なのよー」
知ってか知らずか、母アドリアナがニコニコしながら語る言葉にアーサーはびくびくっと肩を震わせた。
「あー……兄さまが下着を作らせたっていう女の子……」
その話を聞いたときは、『男の子の下着を女の子に一から作らせるっていうのはどうなんだ』と思ったものだけれど。
「そうそう。【裁縫スキル】を持っててねえ。その頃から服も下着も製品と変わらないくらいいい出来だったのよねえ。アーサーがお嫁さんにもらえばよかったのよ、メイベルちゃん」
アーサーの顔が耳まで赤くなった。
ええっ!?
まさかアーサー兄さま、そのメイベルって女の子好きなの!? あ、もう今は大人の女の人か。
「もうその話はやめてください。メイベルは結婚したんですから」
「そうなのよねえ。パパっとお嫁に行っちゃったのよねえ。ほんと残念」
あー。お察し?
アーサー兄さま振られちゃったの? そんなことある!?
兄さま振るなんてすごい女の人だな!
「もうこの話は…」
「あらあら。アーサーの心の傷を抉っちゃったみたいね。これ以上はやめておきましょ。……それより」
母アドリアナがウィルフレッドとメリルに向き合ってしゃがむと両手を広げる。
「本当にありがとう、ウィルフレッド。メリル。気持ちがすごーく嬉しいわ。大切にするわね」
メリルは我慢できなくなって母の腕に飛び込んだ。遅れてウィルフレッドも。
母さまに抱き着くの久しぶり!
双子が母親に抱きついているのを、周囲は温かく見守る。
いい光景だなあ、と皆が思ったのも束の間、母アドリアナが低ーい声でぼそっと言った。
「ウィルフレッド、メリル? 収納箱を買ったお金は……どうしたのかしら…? 【精霊スキル?】に【魔法スキル?】うちの子たちってどうしてみんな……」
ウィルフレッドとメリルはギクギクっとした。アーサーもつられてそうなった。
「……これは叱らなくて済んだだけで、許したわけじゃないのよ?」
こ、これは……バレている。
鑑定代だけ頂いて鑑定しに行かなかったことがすっかりバレている。
「母さま……。気付いてたの」
「あらあら。それは気付きますよ。母ですもの。【動物スキル?】の頃からね」
だからアクアオッジの子供たちはみんな母に頭が上がらないのだ。
◇ ◇ ◇
結局は【鑑定スキル】を持つアンドリュー第三王子が二人の【スキルツリー】を正確に説明して事なきを得た。ギリギリ母に叱られる寸前だった二人は王子に感謝する。無料で鑑定してもらっちゃったー! ラッキー!
王子は王子で『これで貸し二つだよ、メリル?』ときた。
(次は何で貸しを作るかな……)
そんな王子を、執事見習い中で、お茶を運んできたソルがじっと見ている。
(鑑定スキルを惜しげもなくメリルお嬢様に使った……やっぱり本気なんだな)
どんどん腹黒王子にがんじがらめにされていくメリルだったが──
そのことに、彼女はいつ気づくのか。それは、もう少し先の話である。
おしまい♪
〈あとがき〉
これにて第一章はおしまいです。
次回からは第二章が始まります。
『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~
タイトルとあらすじが変わりますが、これからもよろしくお願いします。
アーサーが昔を懐かしむ目でそう言った。
「お隣のリーさんちでしょ? 丘陵が美しいって評判の。養蜂家のクローバーはちみつはとっても美味しいよね」
メリルがそう言うと、アーサーがちょっと視線を彷徨わせた。ほんのちょっとだったけれど、ブラコンのメリルはそれに気が付く。
「リーさんちのメイベルちゃんは王都で新進気鋭のファッションブランドを起ち上げていてねえ。ステキなデザインで評判なのよー」
知ってか知らずか、母アドリアナがニコニコしながら語る言葉にアーサーはびくびくっと肩を震わせた。
「あー……兄さまが下着を作らせたっていう女の子……」
その話を聞いたときは、『男の子の下着を女の子に一から作らせるっていうのはどうなんだ』と思ったものだけれど。
「そうそう。【裁縫スキル】を持っててねえ。その頃から服も下着も製品と変わらないくらいいい出来だったのよねえ。アーサーがお嫁さんにもらえばよかったのよ、メイベルちゃん」
アーサーの顔が耳まで赤くなった。
ええっ!?
まさかアーサー兄さま、そのメイベルって女の子好きなの!? あ、もう今は大人の女の人か。
「もうその話はやめてください。メイベルは結婚したんですから」
「そうなのよねえ。パパっとお嫁に行っちゃったのよねえ。ほんと残念」
あー。お察し?
アーサー兄さま振られちゃったの? そんなことある!?
兄さま振るなんてすごい女の人だな!
「もうこの話は…」
「あらあら。アーサーの心の傷を抉っちゃったみたいね。これ以上はやめておきましょ。……それより」
母アドリアナがウィルフレッドとメリルに向き合ってしゃがむと両手を広げる。
「本当にありがとう、ウィルフレッド。メリル。気持ちがすごーく嬉しいわ。大切にするわね」
メリルは我慢できなくなって母の腕に飛び込んだ。遅れてウィルフレッドも。
母さまに抱き着くの久しぶり!
双子が母親に抱きついているのを、周囲は温かく見守る。
いい光景だなあ、と皆が思ったのも束の間、母アドリアナが低ーい声でぼそっと言った。
「ウィルフレッド、メリル? 収納箱を買ったお金は……どうしたのかしら…? 【精霊スキル?】に【魔法スキル?】うちの子たちってどうしてみんな……」
ウィルフレッドとメリルはギクギクっとした。アーサーもつられてそうなった。
「……これは叱らなくて済んだだけで、許したわけじゃないのよ?」
こ、これは……バレている。
鑑定代だけ頂いて鑑定しに行かなかったことがすっかりバレている。
「母さま……。気付いてたの」
「あらあら。それは気付きますよ。母ですもの。【動物スキル?】の頃からね」
だからアクアオッジの子供たちはみんな母に頭が上がらないのだ。
◇ ◇ ◇
結局は【鑑定スキル】を持つアンドリュー第三王子が二人の【スキルツリー】を正確に説明して事なきを得た。ギリギリ母に叱られる寸前だった二人は王子に感謝する。無料で鑑定してもらっちゃったー! ラッキー!
王子は王子で『これで貸し二つだよ、メリル?』ときた。
(次は何で貸しを作るかな……)
そんな王子を、執事見習い中で、お茶を運んできたソルがじっと見ている。
(鑑定スキルを惜しげもなくメリルお嬢様に使った……やっぱり本気なんだな)
どんどん腹黒王子にがんじがらめにされていくメリルだったが──
そのことに、彼女はいつ気づくのか。それは、もう少し先の話である。
おしまい♪
〈あとがき〉
これにて第一章はおしまいです。
次回からは第二章が始まります。
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タイトルとあらすじが変わりますが、これからもよろしくお願いします。
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