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今日もアクアオッジ家は平和です
40 ⑮予想外の気配
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「なんでこういう状況で笑えるかな? あ、精霊たち、照らしてくれてありがとう」
一番あとから階段を下りているウィルフレッドがそう言うと、精霊たちは俄然張り切った。
どうやら話し合いが終わったようで、辺りを照らしてくれている。
闇が後退したかのようで、メリルの恐怖心が少しだけ薄れた。
"イトシゴに褒められた"
"もっと照らさなきゃね"
精霊たちが今まで以上にポッと輝きだすと、メリルにもあと数段で階段が終わってひらけた空間になっているのが分かった。
剥き出しの床に、ソファが二つテーブルが一つ、何かを置く台座が壁際にあるだけ。
まるで真ん丸な月の上部をスパッと切り取ったような部屋の形である。
「あ……」
思わず声が漏れてしまったメリル。
「いた」
「いた?」
「いた?ってどういう……?」
ソルが灯りをメリルの見ている方向に掲げると、例のバニー男のさかさま絵があった。ソルの目が、静かに、しかし確実に見開かれていく。
一瞬、そこに──殺気の宿った激情が揺らめき……何か言おうとする彼よりも早く、ここで全員のスキルがピコンと鳴った。
驚く暇もなく、頭上からギギギギギー……──扉の音が地下に反響する。
イヤな予感しかしないメリルは、「ウィル、扉閉めてきた?」と質問するが、「開けっぱだったけど、今の音…」予想通りの答えが返ってきた。
二人とも顔を見合わせる。
「誰かが閉めた!?」
「閉まってしまうと様子を見に来る予定の護衛騎士たちに、扉は見つけられないだろうね」
王子が淡々と口にする。
「それはしまったね。扉だけに」
メリルの(すごく寒い)ダジャレをみんなは聞かなかったことにした。
「コホン!それはそうと……ずっとさかさまで大変だったね。元に戻してあげるよ!」
メリルが絵に向かって指さしてえっへんポーズを取る。
なんのこっちゃよくわからない他の三人が絵をよく見てみると……あれ?なんだか絵の中の変態……じゃなくてバニー男の瞼がピクピク動いた……ような?
「その額縁の周囲の壁をよぉーく見てみて?」
メリルがドヤ顔で言いながら、額縁の角をなぞりながら体を大きく使って円を描いていく。三人がその動きを見ながら灯りをかざしてよく見ると、円状に擦れた跡を発見する。
「……あ、もしかして、この絵は回転するのか!」
真っ先に気が付いた王子が叫んだ。それを聞いてにかっとメリルが笑う。
「どっせーい!!」
"ちょっとメリルってば。なにその掛け声"
"おいおい。淑女の教育とやらはどこいったんだ"
"ちょっと爺さん、びっくりじゃのう。心臓が止まるかと思ったわい"
勇ましい(?)掛け声と共に、メリルがさかさまバニー男の絵の枠を額縁ごと引っ掴んで、勢いよく時計回りにグルン!と180度回転させた。
いや、掛け声それかよ。
貴族令嬢としてどうなんだ。
案の定みんなの動きが驚きで止まった。
(……ああ、やっぱり。ずっと気になっていたのは、この絵が『生きている』からだったんだ──)
メリルがみんなに隠れるように促す。
ソルが急いで灯りを消し、精霊たちも光を消して、全員ソファの陰に隠れて息をひそめた。
……ガチャン。
絵が回転して完全に正位置になった瞬間、何かが「はまった」ような音がした。
続いて、何かが──微かに息をしたような気配──
いや、気のせい……?
ゾクリと背筋が冷えるのと同時に、絵の下の床が「ピシィ……」と音を立ててわずかにひび割れ、すぐに静寂が戻る。
"……今、イヤな気が──"
"うん……空気が、変わった"
"わしの尻尾が逆立っておる……いや尻尾ないけども"
"俺の尻尾は現状通りよ"
トカゲ型のサラマンダーが言うが、その声は微かに掠れて聞こえた──
一番あとから階段を下りているウィルフレッドがそう言うと、精霊たちは俄然張り切った。
どうやら話し合いが終わったようで、辺りを照らしてくれている。
闇が後退したかのようで、メリルの恐怖心が少しだけ薄れた。
"イトシゴに褒められた"
"もっと照らさなきゃね"
精霊たちが今まで以上にポッと輝きだすと、メリルにもあと数段で階段が終わってひらけた空間になっているのが分かった。
剥き出しの床に、ソファが二つテーブルが一つ、何かを置く台座が壁際にあるだけ。
まるで真ん丸な月の上部をスパッと切り取ったような部屋の形である。
「あ……」
思わず声が漏れてしまったメリル。
「いた」
「いた?」
「いた?ってどういう……?」
ソルが灯りをメリルの見ている方向に掲げると、例のバニー男のさかさま絵があった。ソルの目が、静かに、しかし確実に見開かれていく。
一瞬、そこに──殺気の宿った激情が揺らめき……何か言おうとする彼よりも早く、ここで全員のスキルがピコンと鳴った。
驚く暇もなく、頭上からギギギギギー……──扉の音が地下に反響する。
イヤな予感しかしないメリルは、「ウィル、扉閉めてきた?」と質問するが、「開けっぱだったけど、今の音…」予想通りの答えが返ってきた。
二人とも顔を見合わせる。
「誰かが閉めた!?」
「閉まってしまうと様子を見に来る予定の護衛騎士たちに、扉は見つけられないだろうね」
王子が淡々と口にする。
「それはしまったね。扉だけに」
メリルの(すごく寒い)ダジャレをみんなは聞かなかったことにした。
「コホン!それはそうと……ずっとさかさまで大変だったね。元に戻してあげるよ!」
メリルが絵に向かって指さしてえっへんポーズを取る。
なんのこっちゃよくわからない他の三人が絵をよく見てみると……あれ?なんだか絵の中の変態……じゃなくてバニー男の瞼がピクピク動いた……ような?
「その額縁の周囲の壁をよぉーく見てみて?」
メリルがドヤ顔で言いながら、額縁の角をなぞりながら体を大きく使って円を描いていく。三人がその動きを見ながら灯りをかざしてよく見ると、円状に擦れた跡を発見する。
「……あ、もしかして、この絵は回転するのか!」
真っ先に気が付いた王子が叫んだ。それを聞いてにかっとメリルが笑う。
「どっせーい!!」
"ちょっとメリルってば。なにその掛け声"
"おいおい。淑女の教育とやらはどこいったんだ"
"ちょっと爺さん、びっくりじゃのう。心臓が止まるかと思ったわい"
勇ましい(?)掛け声と共に、メリルがさかさまバニー男の絵の枠を額縁ごと引っ掴んで、勢いよく時計回りにグルン!と180度回転させた。
いや、掛け声それかよ。
貴族令嬢としてどうなんだ。
案の定みんなの動きが驚きで止まった。
(……ああ、やっぱり。ずっと気になっていたのは、この絵が『生きている』からだったんだ──)
メリルがみんなに隠れるように促す。
ソルが急いで灯りを消し、精霊たちも光を消して、全員ソファの陰に隠れて息をひそめた。
……ガチャン。
絵が回転して完全に正位置になった瞬間、何かが「はまった」ような音がした。
続いて、何かが──微かに息をしたような気配──
いや、気のせい……?
ゾクリと背筋が冷えるのと同時に、絵の下の床が「ピシィ……」と音を立ててわずかにひび割れ、すぐに静寂が戻る。
"……今、イヤな気が──"
"うん……空気が、変わった"
"わしの尻尾が逆立っておる……いや尻尾ないけども"
"俺の尻尾は現状通りよ"
トカゲ型のサラマンダーが言うが、その声は微かに掠れて聞こえた──
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