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3 増えちゃった
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辺境とは国境に面した土地のことだ。
しかも最近は魔王が復活したらしく、魔物たちの動きも活発になりつつあり北の辺境は何やらきな臭い。
重要な土地を守る辺境伯とは、実質上の地方長官であり、文字通り国の矛と盾である騎士団が組織され、辺境伯が自由に動かせる軍隊といっていい。
そうしてアクアオッジ領の税収のほとんどは防衛費に消えていく。
貧乏はこれが理由なので、次男のレイファがいずれ解決してくれるに違いない。
何が言いたいのかって?
騎士団があれば、そこでは必ず騎士たちが駆る軍馬が育成されているのである。当然放牧場もあり、繁殖も行われている。
だからアーサーはまず、最も内側にある第一内郭門を出て、騎士団のきゅう舎に向かった。見張りの兵には顔を知られているのでもちろん顔パスである。
内郭の中に建っている領主館はボロくても、防衛費はちゃんと計上されているし国から軍事費も出てるので、城壁や砦はもちろん、騎士団の兵舎やきゅう舎は立派なものだ。アクアオッジ一家よりも遥かに上等な食事も支給されている。
まずは騎士団のきゅう舎及び放牧地周辺に生えているクローバーを適当に引っこ抜いて、株分け用として保存しておく。さすが雑草、数日じゃ枯れたりしない。
ズタ袋に入れておいたら、何故かものすごい勢いで増えている。袋一杯になっていた。
植物の生長に関してはなんかこう、もう驚かない。今年のアスパラガスはそれ程凄かった。
あれ。そういえば、ウィルフレッドとメリルが生まれたあと、アスパラガスが凄いことになったんじゃ? 去年までも凄かったんだけど、今年のは規格外だ。
二卵性双生児の弟妹のことを考えながら袋いっぱいのクローバーを覗いてたら、一つ下の弟、次兄のレイファがやってくる。
「兄さん。クローバーを牧草にするつもりだったら、イネ科の植物もそれ以上に無いといけないよ」と言われた。
何故牧草用だと分かったのか。それよりイネ科ってなんだ。イネ科に驚いて弟妹のことは頭から霧散してしまった。
庭、というより畑で害虫を食べてくれている鳥たちに「イネ科の植物欲しいんだけどどんなのか知らない?」と聞いてみたら、次の日にはこんもりとした雑草にしか見えない草の山が出来ていた。
え、なにそれ。鳥たちがイネ科の植物を教えるために、咥えて運んできてくれたらしい。
そしてその雑草が、生長しまくっていた。なんだったら株分けも勝手にされていた。
「……いや、さすがにこれは異常でしょ!?」
レイファはそう言うけど、便利だからいいんじゃないかな。
クローバーとおんなじパターンだ。アーサー歓喜する。
兄さんがそう言うならまぁいっか、とレイファも喜んでいる。
(もしかしたら、鳥の行動は兄さんのスキルじゃないのかなあ?)
そう思ったけれど、確信にまでは至らないので黙っておいた。
「ほんとはトウモロコシのほうがいいんだろうけどね。種は商人から買いたいけど、お金無いね」
「お金あるよ。とりあえず銀貨五枚あるから商人を見つけたら買っちゃおう」
「それってもしかして【スキルツリー】の鑑定代じゃ……。兄さん、また実利を選ぶの? さすがだね! そうだなあ、五枚分もいらない。一枚分で買えるだけ、かなあ」
「うん、分かった」
鑑定しても大元のスキルしか分からないし、派生スキルを発生させるにはそりゃ大元のスキル知ってたほうが正解の行動は取れるかもだけど、セバスチャンのお給料五日分の価値は無いんじゃない? とアーサーはさくっと諦めた。
しかも最近は魔王が復活したらしく、魔物たちの動きも活発になりつつあり北の辺境は何やらきな臭い。
重要な土地を守る辺境伯とは、実質上の地方長官であり、文字通り国の矛と盾である騎士団が組織され、辺境伯が自由に動かせる軍隊といっていい。
そうしてアクアオッジ領の税収のほとんどは防衛費に消えていく。
貧乏はこれが理由なので、次男のレイファがいずれ解決してくれるに違いない。
何が言いたいのかって?
騎士団があれば、そこでは必ず騎士たちが駆る軍馬が育成されているのである。当然放牧場もあり、繁殖も行われている。
だからアーサーはまず、最も内側にある第一内郭門を出て、騎士団のきゅう舎に向かった。見張りの兵には顔を知られているのでもちろん顔パスである。
内郭の中に建っている領主館はボロくても、防衛費はちゃんと計上されているし国から軍事費も出てるので、城壁や砦はもちろん、騎士団の兵舎やきゅう舎は立派なものだ。アクアオッジ一家よりも遥かに上等な食事も支給されている。
まずは騎士団のきゅう舎及び放牧地周辺に生えているクローバーを適当に引っこ抜いて、株分け用として保存しておく。さすが雑草、数日じゃ枯れたりしない。
ズタ袋に入れておいたら、何故かものすごい勢いで増えている。袋一杯になっていた。
植物の生長に関してはなんかこう、もう驚かない。今年のアスパラガスはそれ程凄かった。
あれ。そういえば、ウィルフレッドとメリルが生まれたあと、アスパラガスが凄いことになったんじゃ? 去年までも凄かったんだけど、今年のは規格外だ。
二卵性双生児の弟妹のことを考えながら袋いっぱいのクローバーを覗いてたら、一つ下の弟、次兄のレイファがやってくる。
「兄さん。クローバーを牧草にするつもりだったら、イネ科の植物もそれ以上に無いといけないよ」と言われた。
何故牧草用だと分かったのか。それよりイネ科ってなんだ。イネ科に驚いて弟妹のことは頭から霧散してしまった。
庭、というより畑で害虫を食べてくれている鳥たちに「イネ科の植物欲しいんだけどどんなのか知らない?」と聞いてみたら、次の日にはこんもりとした雑草にしか見えない草の山が出来ていた。
え、なにそれ。鳥たちがイネ科の植物を教えるために、咥えて運んできてくれたらしい。
そしてその雑草が、生長しまくっていた。なんだったら株分けも勝手にされていた。
「……いや、さすがにこれは異常でしょ!?」
レイファはそう言うけど、便利だからいいんじゃないかな。
クローバーとおんなじパターンだ。アーサー歓喜する。
兄さんがそう言うならまぁいっか、とレイファも喜んでいる。
(もしかしたら、鳥の行動は兄さんのスキルじゃないのかなあ?)
そう思ったけれど、確信にまでは至らないので黙っておいた。
「ほんとはトウモロコシのほうがいいんだろうけどね。種は商人から買いたいけど、お金無いね」
「お金あるよ。とりあえず銀貨五枚あるから商人を見つけたら買っちゃおう」
「それってもしかして【スキルツリー】の鑑定代じゃ……。兄さん、また実利を選ぶの? さすがだね! そうだなあ、五枚分もいらない。一枚分で買えるだけ、かなあ」
「うん、分かった」
鑑定しても大元のスキルしか分からないし、派生スキルを発生させるにはそりゃ大元のスキル知ってたほうが正解の行動は取れるかもだけど、セバスチャンのお給料五日分の価値は無いんじゃない? とアーサーはさくっと諦めた。
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