悪役令嬢はGL展開を回避する為に婚約破棄を目指します!

鬼京雅

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一章・アイヅ王子との婚約破棄編

21話・スズカと今回の婚約破棄の件で話し合います

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 アイヅ王国の王子の帰還をバクーフ王国の国境で見届けた後、私はバクーフ王宮へ向かいます。

 そして、アイヅ王子との婚約破棄の反省会をします。私とヒロインモードが解除されたスズカとね!

 私はスズカの私室に入り、出迎えたスズカに対してまず言った。

「私よりもスズカ。お前の方が悪役令嬢じゃ――っ!」

 バチコーン! とスズカにビンタをかましたの。半分気持ちよくて、半分不快。やられたスズカは床ではぁはぁ言いながら興奮してる。

「そう……それでいいの。そのビンタ。最高よ!」

(ダメだわ。この女は狂ってる)

 と、テーブルの上にあるつまみのバタードングリを食べた。そんなこんなで、私達はイスに座って今回のアイヅ王子との婚約破棄について語るの。

「婚約破棄ありがとうアヤカ。それとヒロインモードからの解放も感謝してるわよ」

「どういたしまして。ヒロインモードになるスズカの自我はほぼ消えるという事だったから苦戦はしたけど、私なりに婚約破棄させられたと思うわ。最後の方はパワープレイだったけど勝てば官軍、負ければ賊軍だから勝ちこそ正義」

「そう、最後に勝てばいいの。何事においてもね。特に大国バクーフの私はそうなのよ」

「スズカも五年後に自由になったら色々とやりたい事があるようね。目標とかあるの?」

「ただ私は私でいたいだけよ。私だって、普通の恋をしてみたいわ……」

「へぇ? まさかスズカが恋をしてみたいとわね。相手は誰かな?」

 と、好奇心のまま聞いた。
 すると意外と冷静にスズカはか細い指を私に向けて言う。

「貴女よ」

「死ね」

「あう!」

 と、バタードングリを指で弾いて鼻の穴に詰めてやった。やはりこの女はヤバイ! そうして、今回活躍してくれたスライムのスララの話になる。

「アヤカのスララもスラトとして活躍してくれたわね。ニートさんの弟扱いにして、アイヅ王子を個人的なパーティーに出席させる事が出来た。それで王子の母親のメモリートレースが出来たんだから素晴らしい結果を出したわ。元の飼い主の力もあるわね」

「最後はイビキかいて寝てたけどね。まさかジュースで酔うなんて知らなかったから焦ったわよ。ただ、アイヅ王子の婚約は母親が関与してるのを知れたのと、メモリートレースを出来たのは良かった。アイヅ王子のニートさんへの対抗心を、スララが増幅させた事による結果だったわ」

 スララも、元飼い主であるニートさんも今回の婚約破棄では活躍してくれて助かったわ。スララには好物の黄色い野菜、ニートさんにはバタードングリアップルパイを渡して御礼をするつもり。

 スララは家事に、仕事に色々と役に立つ。私の好きな占いにもね。

「スララが来てからタロット占いも口から出たカードを見るだけでいいから楽だわ。そこそこ当たるしね。婚約破棄にも自信が持てたわ」

「スララのタロットの占い結果は悪役令嬢の一日に影響がある可能性がある。タロットの結果には注意した方がいいかもね」

「それも早く言え! って、何でそんな事知ってるの?」

「ニートさんが言ってたから?」

「だから何故スズカがそれを……」

 と、私は少しイライラしてしまう。
 アイヅ王子に対してスズカとニートさんの関係を怪しむように仕組んでいたけど、やはり二人の仲は悪くわないと感じたわ。女の直感ね。

 その栗色の編み込んだ髪も肌も、顔も美しいSSS級の美少女は私を褒める。

「今回は初回という手探りな中でも、悪役令嬢らしい婚約破棄の仕方で素晴らしかったわよ。他国の王子を手玉に取るなんて、貴女は男で遊べるタイプね」

「今回は上手く行ったけど次がどうなるかわからないわよ。貴女がヒロインモードになる以上、苦戦するのは確実だしね。次は後からクエストクラスでした! 何てパワープレイは通用しないだろうし」

「結構冷静に判断してるのねアヤカ。もう少し浮かれてもいいんじゃない?」

「浮かれないわよ。それより、次の王子が来る予定を教えてくれる? それまでに「トゥルーラブ」を見つければ、私は自分の呪いからは解放されるしね」

「五年は私の婚約破棄に付き合ってもらわないと困るわよ。私は二十才になるまで自由になれないんだから」

「待つわけないでしょ? 私はまず次の王子が来るまでに勇者様の手がかりを探して、トゥルーラブを手に入れて呪いを解放。いちいちスズカの婚約破棄に五年も付き合ってられないのよ」

「ガールズラブ展開はあくまで早く逃れたいのね。まぁいいわ。勇者が見つかっても、他の女と結婚してるかもね。子供もいるかも? ハーレムかもよ?」

「全て婚約破棄で血祭りにあげるわ。勇者様と私は深い繋がりがあるんだから」

「その繋がり、教えてくれるかしら?」

 鋭い瞳のスズカを跳ね除けるように私は答える。

「嫌よ」

 私と勇者様の繋がりは私だけの秘密だわ。
 だからこそ、命を救われた私は勇者様に尽くすべき義理も義務もあるの。

 それをわざわざ他人には教えたくも無いわ。
 私が何も言わないと、スズカは窓ガラスの外を眺めながら言う。

「次の王子は半月後に来るわ。相手は動物王国のトサ王子。今回は幼馴染じゃないから安心してねアヤカ」

「動物王国のトサ王子……? 動物王国ってモンスターを主食にしてる野蛮国じゃない。そんな相手が次の婚約予定者なの?」

 動物王国トサとは異世界ジパングでも特殊な国なの。食べる主食はモンスターなどの肉が多く、男も女も好戦的な性格が多いと聞いてるわ。ブタやニワトリとかの、人間を襲わない動物を食べる文化の私達とはかなり違う人種であるのは確かね。

「でも、半月あるなら色々出来るはずよ。私もバクーフ王国のどこかに勇者様がいるような感じがしてるから。クエストクラスとして、私は魔王封印から消息を絶った勇者様を見つけてみせるわよ」

「ご自由に。勇者がその時、どうなってるかも色々気にはなるわね。次の婚約破棄も任せられそうかしら?」

「任しときなさい。異文化であろうと、私が全て婚約破棄へと導いてあげるわ」

「じゃ、モンスターの肉を食べるのもヨロシクねアヤカ」

「え? モンスターの……?」

 しまったーーっ!
 動物王国のトサはモンスターが主食なら、会食じゃ向こう側の料理としてモンスターが出て来るなじゃん!

 ゴブリンとかゲデモノを食べるのか……と、次の婚約破棄に向けて少しテンションを落とした私でした。
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