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一章・アイヅ王子との婚約破棄編
23話・ドラゴンが現れました
しおりを挟む黄色いコートを着た私と、ニートさんとスララはバクーフ山にあるエンマダンジョンへと向かいます。エンマダンジョンの推奨レベルは100なので、あまり大勢の冒険者が来るダンジョンではありません。
現在のパーティーレベル
アヤカ・レベル900
ジョブ・悪役令嬢
ニート・レベル20
ジョブ・ニート
スララ・レベル10
ジョブ・侍従
このメンバーで、極寒地獄とも言われるエンマダンジョンへ突入します。洞窟の入口からして冷気が漂っています。すでに息が白い。
「さて、特に人もいないですしエンマダンジョンへ入りましょう。コートと手袋など装備も万全ね?」
『すみません!』
「何でしょう二人共?」
『お菓子を忘れました!』
「今日は遠足じゃありません。私が持っているチョコレートをあげるのでそれでしのぎましょう。いいですね?」
『ラジャー! ブラジャー!』
「ブはいらないですよブは。それでは行きましょう。寒いので手早く行きますよ」
『すみません!』
「……何でしょう?」
『おしっこ』
と、今更ながらの事を言ってくれるわね。
ダンジョン内じゃモンスターがいるからここですませておかないとね。
「……早くすませて」
ニートさんとスララは立ちションしてるわ。てか、スララとかスライムなのにおしっこするの? そんなこんなで、私達はエンマダンジョンへ突入したわ。
※
エンマダンジョン内部は氷の岩で囲まれたダンジョンで、気温は10度ぐらいで寒いダンジョンだわ。入口はまだこのぐらいの気温だけど、奥へ進めば進むほど気温は下がるような話を聞いている。
白い息を吐きながら私達は進んで行く。特に冒険者の姿も見当たらず、死体も無いのに戦闘した跡があるから、おそらくもう奥へ進んでいる連中がいると思たわ。
「とりあえず順調に進んでいますね。モンスターも出ないし、序盤は順調」
「スララの光魔法で弱いモンスターは近寄れないのもあるね。それにクエストクラスのアヤカもいる。向かって来ても一撃で倒せば、モンスターも強者に従順というスタイルなのでスイスイ進めるでしょう」
「スララの光魔法にそんな効果が……ですが、面倒なので凍らせます。人の気配も無いし、面倒な戦闘は先制攻撃で終わらせます」
『? ――!?』
ニートさんとスララは私が何をするかを察して下がる。そう、私は魔法を使って一本道の先にいるモンスターを先制攻撃で排除しようとしてたの。チンチンタラタラ戦闘なんてしてられないしね。
「零度を極めし愛の接吻。静かな波紋を悠久の彼方へ解き放て! サウザンドブリザードン!」
強力な魔力を帯びた氷の結晶体となるシロクマの群れが、エンマダンジョンの一本道に放たれたの。
エンマダンジョンの入口付近から見える範囲の奥まで凍らせてあげたわ。
「入口付近はアイテムも無いし問題無い。さて、進路は安全。進みましょう!」
『お、おー!』
寒い所に寒い魔法を使ったから、寒いのを我慢してるのか反応がイマイチだわ。でも、パーティーでのダンジョン探索は初めてだから楽しくもある。今日は私がパーティーの勇者様だしね!
私がサウザンドブリザードンで凍らせた通路を抜けると、広い空間に出たわ。そこにもモンスターはおらず、私達はそこに落ちてる落し物を発見したの。
「冒険者の装備が落ちているけど、死体も無いわね。どういう事かしら? エンマダンジョンには人食い系のモンスターはいないというはずなのに……」
「どうやら、ここまでの通路を凍らせたのも意味が無かったのかも知れないな。このエンマダンジョンには特殊なモンスターがいる可能性がある」
そう言うニートさんは、微かに光るスララを抱えていたわ。寒さの疲労があるのか、スララは黙ったままね。それに……。
(私の背中の勇者烙印が反応してる? この周囲にドラゴンエッグじゃない何かがいるわ……)
何なの……この感覚は?
異様な気配がこの広い空間に存在してる。
けど、この空間には何も無い……。
確実におかしいわ。
エンマダンジョンに来た事は無いけど、ここはただのダンジョンでは無くなっているわね。
「ニートさんスララ。私の後ろにいて。エンマダンジョンは何か異常事態が起きてるようだわ。恐ろしい敵がこのダンジョンにはいる……」
すると、スララとニートさんはある方向を見ていた。無意識のうちにその何も無い場所に意識を集中してみたの。
「違和感があるわ。そこの空間に違和感がね。まやかしの霧よ消えよ……ミストオープン!」
敵と思われる何かはミストの魔法で自分を隠していたの。何故か完璧なまでに隠れていた謎の存在を見つける事が出来たのは、私の直感なのかはわからない。けど結果として発見したわ。
「さぁ、姿を表して! 悪役令嬢の前ではミストのバリアも破棄するわよ」
「ドーラ……。ミストオープン程度では我の身体を隠すミストは消えない。まさか貴様、クエストクラスの人間か?」
『!?』
言葉を話すモンスターに対して私達は警戒心を高める。ニートさんが抱えているスララの光の発光は落ち着いているようね。
(出てきたわね)
大きなモンスターを包んでいたミストが晴れだしたわ。大きなシルエットが浮かび上がり、何やら尻尾のようなモノが見えたの。色は緑色のようで、その皮膚はウロコのように見えるわ。
(これだけの大きな敵なら一撃で仕留める必要がある……暗黒系魔法最強のラグナロクで……)
ここまでの未知なる相手を倒すには、一撃必殺しかないと思う私は呪文詠唱をして魔力を集めようとする。
すると、そのモンスターらしき存在は言葉を話し出したわ。
「攻撃するのはやめておけ。我々が本気でぶつかり合えば、被害はこのバクーフ王国全土に広がるだろうよ」
『!?』
「勇者の光の魔力と烙印を感じると思い来てみれば、なるほど……そういう事か。あれから時間が過ぎてこんな事になっていたとはな。我も驚きの出来事だ。そう焦るな娘よ。近くに寄っても食いはせぬ」
「まさか……こんな所に……あの伝説の生き物が!?」
そこには、勇者様とも関係が深いと言われる伝説の龍。巨大なドラゴンがいたの!
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