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三章・チョウシュウ王子との婚約破棄編
40話・チョウシュウ王子の歓迎パーティーです
しおりを挟む今夜はチョウシュウ王子の歓迎パーティーです。バクーフ王宮のパーティールームは華やかに彩られ、観客達もドレスアップしてみんなキラキラしてるわ。悪役令嬢である私にとっては、クソの七光りでしかないけどね。
すると、今日は空の青さをそのまま写したような綺麗な青の短めのドレスに、シャンパンゴールドのハイヒールを履いたスズカが現れたわ。髪はアップにしていて、茶色の髪が上がった事で生まれたうなじの色気が男達を魅了してる。
父親のバクーフ王も長いヒゲを上下に動かして興奮してるわね。貴族令嬢達も無駄に群がっていて相変わらずのテンプレ展開だわ。
(スズカは相変わらずのヒロインモードね。あの嘘くさい嘘まみれの微笑みがムカつくわ。今回の婚約破棄でメチャクチャにしてやるわよ。元のスズカの為にもね。それが私に呪いをかけた女への復讐でもあり、救いでもあると思うから。さて、チョウシュウ王子の登場か……)
青い色の髪を下ろす髪型。学ランと呼ばれるチョウシュウ特有の制服。身長もそこそこ高いし、肌も女以上にキレイだわ。問題はぐるぐるメガネがダサいだけ。
私はチョウシュウ王子の登場をパーティールームの壁に寄りかかって見ていた。まず、便器にこびりついたヘドロのようなツラと性格の、薄汚い張り合いばかりで退屈で、低脳で、下卑た笑いしかしない貴族令嬢達が王子に群がるのがパターンだからね。
メインステージまで歩いて来たチョウシュウ王子は挨拶したの。一度マジックマイクスタンドに頭を下げた時にぶつけていたけど、それはみんな無視していたわ。ここで王子の機嫌を損ねるわねにはいかないからね。
「なるほど。この角度で頭を下げるとぶつかるな……というのはどうでもいい話で、小生が自信過剰なチョウシュウ王国の王子です。この七日間のバクーフ滞在中は、色々なデータ収集もしたいから私の興味に答えてくれたら嬉しいよ。自信過剰にね!」
『……』
全体的に滑っているチョウシュウ王子の挨拶だったけど、盛大な拍手で迎えたわ。そして、立食形式の会食になったの。すると、貴族令嬢達はまず、スズカの方へゆっくりと移動していたわ。
別に変な体臭や香水臭いわけでもないけど、貴族令嬢達はどこか遠巻きにしてチョウシュウ王子を見つめていたの。それはやはり……。
「ぐるぐるメガネね。流石に貴族令嬢達もあのぐるぐるメガネにはドン引きなようね。モブに意思なんていらないのに、一丁前に選んでるんじゃないわよ。一生、モブモブしてればいいわ」
そうして、私はハイヒールのカカトを鳴らしてチョウシュウ王子の元へ行く。すると、スズカも動き出したわ。
「あら、アヤカさん。チョウシュウ王子とはもう仲良くなったのかしら?」
「私がクエストクラスとして案内していますからねスズカ姫。それなりに、仲は良くなっていますよ。自信過剰かも知れませんが」
「確かに人と仲良くなるには自信過剰さが必要ですね。それが過信にならないよう、私は注意したいですわ」
ニコッと私が自信過剰で過信している! と言いたいようね。どんなに笑顔で誤魔化しても、アンタの考えなんてスケルトンにお見通しなのよ。それをやけに納得しているチョウシュウ王子は言う。
「なるほど。君達は今の心音などからすると、本音を言っているようだ。でもどこかノイズが入っているのは不思議だねぇ。これを自信過剰に調べたいね」
「チョウシュウ王子。私とスズカ姫のデータ収集をし過ぎていると、外交にも失敗しますよ?」
「あぁ! これはすまないね。なるほど、小生はどうしてもデータ採取をしてしまうクセが良くないね。この国では注意しないとならない。スズカ姫も申し訳ない」
「私はいいですよ。チョウシュウ王子になら丸裸にされても構いません。だって、私は王子と婚約する為にここに存在するのだから」
まるで人形のようなセリフだわ。
吐き気しかしない。
でも、チョウシュウ王子はそんなスズカが気になり出していたの。
「それでもスズカ姫はどこか心の底を隠している気がする。その封印された扉が気になるね。気になる……人間の心が」
そう、自分の言葉に驚いたように呟いていた。何かチョウシュウ王子の様子が変わったわ。ぐるぐるメガネの奥の青い瞳が変化したの。すると、チョウシュウ王子の手を取るスズカは真っ直ぐに瞳を見つめて言うわ。血のような真っ赤なヒロインモードの瞳でね。
「でも私の心を察してくれるなら、私がチョウシュウ王子と婚約したいと言う気持ちはわかってくれますよね?」
「なるほど。そう言われると気分がいいものだ。小生にも恋愛感情というのが湧き上がって来たようだ。このチョウシュウ王子にもデータ以上に、人間の女に興味が持てたよ!」
どうやら、スズカの二面性のある心に恋愛感情が芽生えたようなの。データを愛していたチョウシュウ王子も、この婚約イベントにおいてとうとう恋を覚えたのね。ここは、スズカに一歩先に行かれたわ。
(まさか、スズカの二面性を感じてそれに恋をするなんてね。やってられないわ。今回の婚約破棄はかなり面倒な事になりそうね……私も自信過剰になりたいわ)
そうして、チョウシュウ王子は明日に行われる予定を話したわ。
「明日は我がチョウシュウ王国の軍事演習を見てもらおう。婚約と外交。小生は自信過剰だから二つを成功させてみせるんだ」
というわけで、明日はチョウシュウ王国の軍事演習を見る事になったの。ま、会話が出来るキッカケになればいいか。スズカもあまり切り込めてないから、明日の軍事演習中に惚れさせるしかないわね。
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