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小さな約束
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朝の陽光が、窓からふんわりと差し込んでいた。
カタリーナは目を覚まし、隣で小さな寝息を立てているティモシオとリヴィオに目をやった。
(……こんな穏やかな朝、いつぶりだったかしら)
そっと起き上がろうとしたとき、扉の向こうから控えめなノックの音がした。
「……カタリーナ。入ってもいいか?」
聞こえたのは、レオナルドの声だった。
「どうぞ」
カタリーナが答えると、レオナルドは小さな包みを手に部屋に入ってきた。
「昨日、執務の合間に屋敷に届けさせたんだ。君が好きそうな色の花だったから」
包みの中には、小さな花束と、瓶詰めのジャムが入っていた。どちらも、些細だけれど温かみのある贈り物だった。
「……ありがとう」
カタリーナはそう言って受け取り、花に顔を寄せた。
贈られることに慣れていなかった彼女の胸に、温かなものがじんわりと広がる。
形ではなく、気持ちが込められているとわかるからこそ、素直に嬉しかった。
この贈り物を通して、ほんの少しだけでも心が近づいた気がした。
「今日は、みんなで朝食をとらないか?」
レオナルドの申し出に、カタリーナは一瞬驚いたが、すぐにうなずいた。
「ええ、嬉しいわ」
その声に、ティモシオがもぞもぞと目をこすりながら起き上がった。
「ママ……お父さまも、いるの?」
「ええ。今日は一緒よ」
ティモシオはぱっと笑顔を浮かべ、「やったあ!」と小さく叫んでリヴィオの寝ているゆりかごを覗き込んだ。
「リヴィオも、おはようだって!」
レオナルドは思わず笑い、そっとティモシオの頭を撫でた。
「よく眠れたか?」
「うん! 今日はぶどうある?」
「もちろんよ。お父様が昨日、料理長に選ばせてくれたの。一番甘いやつをお願いしたのよ」
小さな家族のやりとりに、部屋の空気はふわりと和らいでいく。
レオナルドはふたりの子どもと向き合うその時間が、まるで初めて本当の意味で“家族”の空気に触れたような気がしていた。
そして、カタリーナもまた、ティモシオとリヴィオの存在が確かにふたりを繋ぎ直してくれているのだと感じていた。
朝食の席に向かう前、レオナルドはそっとカタリーナに囁いた。
「少しずつでいい……でも、もう一度、家族として歩んでいきたい」
その言葉に、カタリーナは静かに微笑んだ。
言葉にしなくても、今の気持ちはきっと、伝わっている。
そう思えるほどに、今朝の空気は、やさしかった。
朝食の席には、湯気の立つスープと焼きたてのパン、果物のコンポートが並べられていた。
ティモシオはぶどうを見つけるなり、「やった!」と小さく拳を握りしめ、嬉しそうに頬張った。
「お父様、ぶどうってね、お星さまの味がするんだよ」
ぶどうのつややかな粒が、ティモシオには夜空に瞬く星のように見えたのかもしれない。
甘くて、きらきらしていて、大好きな人と食べるそのひと粒が、彼にとって特別な“幸せの味”だった。
その無邪気な一言に、カタリーナは思わずくすりと笑った。
その横顔を見て、レオナルドも自然と頬を緩めた。
「そうか、それは……甘くて、特別な味だな」
彼にとっても、“家族と囲む朝食”がこれほど愛おしいものだったと、初めて気づかされたような気がしていた。
リヴィオが寝返りを打つと、カタリーナが席を立ってそっと抱き上げた。
「お兄ちゃんが食べてるの、いい匂いでしょう? もうすぐあなたも一緒に食べられるわね」
そのやり取りに、レオナルドの目がやわらかく細められる。
家族としての時間を“味わう”という言葉が、ようやく自分の中にも根づいてきた気がした。
そのとき、ティモシオがスプーンを手に取りながら、ふとつぶやいた。
「ねえ、またみんなで、おでかけできる?」
カタリーナとレオナルドが顔を見合わせる。
「そうね……今の季節はお花も綺麗だし、どこか咲き始めた場所を探してみましょうか」
「山もいいぞ。前に行った場所とは、また別の静かなところに」レオナルドのその言葉に、ティモシオはぱあっと顔を輝かせた。
「やった! リヴィオも行ける?」
「それは……もう少し大きくなったらね」
カタリーナが笑いながら答えると、ティモシオはうんと頷いた。
(リヴィオも、早く一緒に行けるようになるといいな)
小さな胸に芽生えた“弟と過ごす未来”の想いが、幼いながらもしっかりと心に灯っていた。
小さな未来の約束が、朝の食卓にあたたかく灯った。
カタリーナは目を覚まし、隣で小さな寝息を立てているティモシオとリヴィオに目をやった。
(……こんな穏やかな朝、いつぶりだったかしら)
そっと起き上がろうとしたとき、扉の向こうから控えめなノックの音がした。
「……カタリーナ。入ってもいいか?」
聞こえたのは、レオナルドの声だった。
「どうぞ」
カタリーナが答えると、レオナルドは小さな包みを手に部屋に入ってきた。
「昨日、執務の合間に屋敷に届けさせたんだ。君が好きそうな色の花だったから」
包みの中には、小さな花束と、瓶詰めのジャムが入っていた。どちらも、些細だけれど温かみのある贈り物だった。
「……ありがとう」
カタリーナはそう言って受け取り、花に顔を寄せた。
贈られることに慣れていなかった彼女の胸に、温かなものがじんわりと広がる。
形ではなく、気持ちが込められているとわかるからこそ、素直に嬉しかった。
この贈り物を通して、ほんの少しだけでも心が近づいた気がした。
「今日は、みんなで朝食をとらないか?」
レオナルドの申し出に、カタリーナは一瞬驚いたが、すぐにうなずいた。
「ええ、嬉しいわ」
その声に、ティモシオがもぞもぞと目をこすりながら起き上がった。
「ママ……お父さまも、いるの?」
「ええ。今日は一緒よ」
ティモシオはぱっと笑顔を浮かべ、「やったあ!」と小さく叫んでリヴィオの寝ているゆりかごを覗き込んだ。
「リヴィオも、おはようだって!」
レオナルドは思わず笑い、そっとティモシオの頭を撫でた。
「よく眠れたか?」
「うん! 今日はぶどうある?」
「もちろんよ。お父様が昨日、料理長に選ばせてくれたの。一番甘いやつをお願いしたのよ」
小さな家族のやりとりに、部屋の空気はふわりと和らいでいく。
レオナルドはふたりの子どもと向き合うその時間が、まるで初めて本当の意味で“家族”の空気に触れたような気がしていた。
そして、カタリーナもまた、ティモシオとリヴィオの存在が確かにふたりを繋ぎ直してくれているのだと感じていた。
朝食の席に向かう前、レオナルドはそっとカタリーナに囁いた。
「少しずつでいい……でも、もう一度、家族として歩んでいきたい」
その言葉に、カタリーナは静かに微笑んだ。
言葉にしなくても、今の気持ちはきっと、伝わっている。
そう思えるほどに、今朝の空気は、やさしかった。
朝食の席には、湯気の立つスープと焼きたてのパン、果物のコンポートが並べられていた。
ティモシオはぶどうを見つけるなり、「やった!」と小さく拳を握りしめ、嬉しそうに頬張った。
「お父様、ぶどうってね、お星さまの味がするんだよ」
ぶどうのつややかな粒が、ティモシオには夜空に瞬く星のように見えたのかもしれない。
甘くて、きらきらしていて、大好きな人と食べるそのひと粒が、彼にとって特別な“幸せの味”だった。
その無邪気な一言に、カタリーナは思わずくすりと笑った。
その横顔を見て、レオナルドも自然と頬を緩めた。
「そうか、それは……甘くて、特別な味だな」
彼にとっても、“家族と囲む朝食”がこれほど愛おしいものだったと、初めて気づかされたような気がしていた。
リヴィオが寝返りを打つと、カタリーナが席を立ってそっと抱き上げた。
「お兄ちゃんが食べてるの、いい匂いでしょう? もうすぐあなたも一緒に食べられるわね」
そのやり取りに、レオナルドの目がやわらかく細められる。
家族としての時間を“味わう”という言葉が、ようやく自分の中にも根づいてきた気がした。
そのとき、ティモシオがスプーンを手に取りながら、ふとつぶやいた。
「ねえ、またみんなで、おでかけできる?」
カタリーナとレオナルドが顔を見合わせる。
「そうね……今の季節はお花も綺麗だし、どこか咲き始めた場所を探してみましょうか」
「山もいいぞ。前に行った場所とは、また別の静かなところに」レオナルドのその言葉に、ティモシオはぱあっと顔を輝かせた。
「やった! リヴィオも行ける?」
「それは……もう少し大きくなったらね」
カタリーナが笑いながら答えると、ティモシオはうんと頷いた。
(リヴィオも、早く一緒に行けるようになるといいな)
小さな胸に芽生えた“弟と過ごす未来”の想いが、幼いながらもしっかりと心に灯っていた。
小さな未来の約束が、朝の食卓にあたたかく灯った。
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