チャーム×チャーム=ブラッド

夢=無王吽

文字の大きさ
12 / 27

第十二話『酔いが抜けた朝にも』

しおりを挟む

 サラサラとした冷たいシーツの海で手脚を泳がせる心地よさに、何度も、何度も目覚めかけては、覚醒が妨害された。
 眠気の重力が、深く深く、俺をまた夢のなかへと沈めていく。
「んん……」
 背筋がぞくりとするような色気と愛嬌の適度に混じった声が、顔のすぐ近くから聴こえた。
 薄目をあける。
 ピンクのシーツに映える薄桃色の頬が布団にうずまり、整った顔を歪ませていた。
 頬が枕に押されて、唇がにゅっと突き出されている。

 アッチョンブリケだ。

 子供の頃に病院の待合室で読んだ、昔の漫画を思い出す。
 あれは闇医者の漫画だったが、怖い病気がたくさん出てきた。
 なぜこれから診察する人に、こんな怖いのを読ませるんだと驚いた記憶。
 同時に、実家の光景やにおいまでもが、鮮明に呼び覚まされる。
 ああ、なつかしい。胸の奥が締め付けられる。子供に戻りたい。
 ノーメイクでもじゅうぶん美しい、すぅすぅと寝息を立てるアッチョンブリケを眺めているうちに、愛しさで搾られた脳味噌から甘酸っぱい汁が溢れ出て、全身に染み渡っていくのを感じた。
 はらはらと動く柔らかい前髪に唇を寄せ、おでこに口付けをする。
 チュッと鳴る唇の音で、彼女の長いまつ毛がピクリと動いた。
 まぶたが開き、大きな目のなかで、黒目がちな瞳がくるりと起動する。
 俺と視線を合わせると、ぷっくりとした唇が横にのびて割れ、白い歯がのぞく。
 猫のように手脚を「ううぅんんーん」とのばして、目をギュッと閉じる。
 笑顔がクシャッと幼くなり、「たいへんだぁ! 寝起きの顔を見られたぁ!」とシーツの上を転がる。
 俺に背を向ける彼女の細い背中から、くびれた横腹への曲線が丸い尻へと続き、笑声でなまめかしく白肉が揺れると、微かな産毛が光を反射してなびく。
 二人とも、全裸のままベッドで寝ていた。
 ベッド横のクッションの上で二度、風呂場で二度、いや三度か? ベッドでは、何度したのだったか。互いの体液を浴び、呑んで、体温と感触を愛した。
「寝顔、かわいかったよ」
 肩甲骨の浮き出る背筋にそっと触れる。
 さらさらの肌が程よく寝汗でしっとりとつやをもち、吸い付くような感触だった。
 俺はその背に身を寄せて、背後からそっと抱きしめた。
 彼女は俺の掌をぎゅっと強く握り、自分の胸に押し付けるようにして大切そうに抱いてくれた。
 枕に散らばった長い黒髪をよけてから同じ枕に頭をのせ、後頭部に顔を埋める。
 甘酸っぱい香りに、人間の体温の匂いと、ほんのりと苦い寝汗の匂いがまざり、俺はまた唇を鳴らして、それら香りの全てを愛した。
 唇をうなじへと滑らせ、彼女に巻き付けた右腕や、彼女の胸に抱かれた俺の掌と一緒に、白い柔肌の前面と背面を同時に味わう。
 黒髪の後頭部に鼻先を埋めたまま、深呼吸をした。
 むくむくと、股間が反応して育っていく。
 揺れる太ももにそれが触れると、彼女は背を反らすようにして丸い尻を後方へと突き出し、尻肉の山と山の間で挟むようにして、グリグリと押し付けた。
「うぅ」
 自然と声が出る。声とともに先端からも、少しよろこびが漏れ出てくる。
 彼女は尻を回すように動かして挑発し、嬌声と吐息をもらした。
 荒くなる息。
 掌からこぼれる、波打つような胸の軟肉やわにくを回すように揉み潰す。
 果実のようなつぶつぶが、大きく膨らんだ乳頭のまわりで、鳥肌のように快感を主張する。
 二筋の荒い呼吸がシンクロするように重なり、また昨夜の続きが始まった。


 ──つづく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...