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0章:プロローグ
3.策
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二階の部屋で僕を待っていた女性――霧島レイナと名乗った女は、一言で表すと派手だ。
座っていても分かる女性にしては高い身長。胸部は男なら確実に目を向けるほど膨らんでいるというのに、スカートから出る足は細くて美しい。ミルクのような白い肌は内向的に見える割に、後頭部で一つに結わえ付けられている見事なまでの金色の髪と勝気な瞳、左右別に付けられた四角形とハートのピアスが逆に活動的な印象を与えている。
きっと、すれ違った男の大半が振り返るであろう程の美人。
そんな美人がご褒美をくれると言うのだから、年頃の男が期待しないわけないと思う。
「そ、こういうヤツ」
レイナはゆっくりと見せ付けるように足を組み替えて、右手をそのまま口の前へ持っていき、親指と人差し指で作った輪っかを口の前で前後させながら誘惑するようにチロチロと舌を出してきた。
さっきまでギリギリ見えそうで見えなかった下着は、真っ白な肌と対になる黒いレース。甘美な手と口の動きは、そこに猛り狂ったモノを持っていけばどれほどの快楽を与えてくれるだろう。
期待通りの展開に唾を飲み込みながら、下半身では股間の膨らみがズボンを押していく感触が痛いほど伝わってくる。
「い、いいの?」
「嫌なワケ?アタシの舌、柔らかくてすっごい気持ち良いのに」
『えーっ』と軽く口を開いてあっかんべぇをしてくる様子は、子供がする可愛らしいモノとは違い、完全に男を誘うソレ。
ガチガチの肉棒を、あの舌の上に置いてみたい。
あんなにしゃぶり慣れてそうな美人ギャルの口の中で、気持ち良くなりたい。
「全然!是非お願いしま……」
今すぐ彼女の前に行ってズボンを下げれば最高の快感が待っているはずなのに、何故か僕の足はその場に留まった。
何か出来過ぎてやしないか?
考えが頭を過ぎったのは、童貞故の警戒心かただの勘なのかは定かじゃない。
ただ、一度思ったからにはそれが頭の中から消えるまで動けない。
彼女の方からわざわざ『ご褒美』をくれる理由はあるのか?
「どうかした?噛んだりなんてしないって」
その場から動こうとしない僕を疑問に思ったんだろうけど、わざわざ噛まないなんて宣言する必要があるのか?
悪い方向に考え出すと、レイナの発言が全部ブラフじゃないかと思えてくる。
何よりさっきの発言で『噛まれるかもしれない』という想像を一瞬してしまったせいで、急速に下半身の熱が飛び去った。
性欲の支配から解き放たれたお陰で、一つ気付いたことがある。
そもそも、一階の奇襲は彼女の指示じゃないのか?
考えが纏まらない中、レイナは徐に組んでいた足を崩すとローファーを履いたまま両足を持ち上げてソファの上でM字に開脚してみせた。
「そんなに怖いなら、こっち使っとく?」
ミニスカの裾を自分でたくし上げ、真っ白な太腿の奥、黒いレースの下着に守られた大事な部分を強調するように見せびらかしてくる。
只管に男を煽るその仕草は僕じゃなければ耐えれないだろう。
何でここまでして誘ってくるんだ?
そう思った時に、僕の疑問は全て線で繋がった。
一番最初に電話でこの場所を指定した時から、きっとここまで計算していたんだろう。
だから僕は、レイナにこっちに来てもらうことにした。
「僕、下品なセックスが好きなんだよね。どうせならそこの床に手付いて、お尻高く上げて誘ってよ」
無論セックスの経験は無いが、動画サイトでそういう性欲剥き出しのセックスが好きなのは事実だ。
「嫌。手汚れるっしょ」
「ならこっちで跪いてフェラしてよ」
「それも嫌。膝汚れるし」
もっともらしい理由を付けてはいるが、ローファーのままソファの上に足を乗せているのだから、そこまで神経質な性格ではないはず。
「分かった。汚れるのが嫌ならホテルで一晩中ヤろうよ」
正直、これに乗ってくれるなら好都合だ。美人ギャルと童貞喪失セックスヤリ放題。
しかし、現実は厳しい。
レイナは淫靡な表情を四散させて、大袈裟に肩を竦めながら尋ねてきた。
「ハァー……マジかぁ、いつ気付いたの?」
「最初は勘だよ。あんな不意打ち指示する人なら、何か仕掛けててもおかしくないなぁって」
「それで気付くとか凄すぎでしょ。完全にアタシの負けじゃん」
負けを宣言するレイナに対して、僕も色んな意味で敗北を噛みしめていた。
折角の童貞喪失チャンスを逃してしまったのである。
これだけ遊んでそうなら頼めばセックスさせてくれないかな。
この際フェラ、いや手コキでも……。
土下座まで視野に入れてどうしようかと考えていると、レイナが立ち上がって丁度僕と彼女が座っていたソファの中間辺りの床を、ちょっと慎重に飛び越えて僕の隣にやってきた。
「そこだったんだ、落とし穴」
「位置までは分かってなかったかぁ。じっくり見ないと分からないように必死に偽装したしね」
そう答えた後に、レイナは隣で手を後ろに組みながら僕の全身を舐め回すようにじっくりと見渡して、最後に上目遣いで下から僕の顔を覗き込んできた。
「えーっと、何かな?」
美人の顔が間近にあるのはちょっと、いやかなり心臓に悪い。
おまけに手を後ろに組んでいるせいで胸がこれでもかという程自己主張していて、顔を見れないから胸を見ていますっていう世の女性に嫌われそうなチキンっぷりである。
「ね、将来アタシのボディガードとかしない?」
「ボディガードって、実はどこか偉い人の娘とか?」
「ちっちっちー。偉くなるのはこ・れ・か・ら」
「これからって……ひぁ♡」
顔の横で可愛らしく左手の人差し指を左右に振るレイナに気を取られていると、いきなり下半身の大事な部分を包み込むような感触が訪れて、思わず声を挙げながら腰を引いてしまった。
「おーおーおー。ガッチガチじゃん♡人の胸ばっかり見てるからこうなるんだぞ♡」 『あのー』
「ちが♡」
ズボンの上から股間を這いまわっているのがレイナの右手だと気付いた時には、唯々未知の感触に身を委ねるしかない。
「違わねぇだろ?アレだけガン見してといてさぁ」 『すいませーん』
そう言ったレイナは左手で僕を抱き寄せ、豊満な胸を背中に押し付けながら『ふっ』と息を耳元に吐きかけてきた。
近くにある女性らしい匂いと背中に感じるマシュマロの感触、体験したことのない耳への息吹にゾワゾワとした感覚が巻き起こる。
「いゃ♡」
「可愛い声上げちゃってさー、完全に女の子じゃん♡」 『話を聞いてー』
もう女の子でも何でもいいから、もっと続きをして欲しい。
「どうせなら今からアタシのボディガードになる?勿論お代は身体で♡」
気持ち良いしか考えられない頭では、提案を受け入れる以外の選択肢なんて思い浮かばない。
肯定の返事をしようとした時に、何故か目の前がいきなりパッと明るく光り、突如現れた光の玉から知らない女性の声が発せられた。
『人の話を聞いて下さい!!!』
いきなり起こった怪現象に僕もレイナも完全にフリーズしたけど、先に我に返ったのは多分レイナだった。
そのレイナはまだガチガチに勃起していた僕の肉棒の先っぽの部分を、徐に指で作り上げた輪っかで擦ってくる。
「あっ♡それ♡」
「気持ち良いか?」
ズボンの上からとはいえ、今までで一番気持ち良い感触に思わず声を上げてしまった僕とは裏腹に、レイナは努めて冷静に聞いてきた。
「う、うん」
「ってことは、これは現実か」
普通は痛みで確認するだろうっていう突っ込みは控えておいた。
どう考えてもこっちの方が最高。
『人前で手コキって貴方達は頭おかしいんですか!』
謎の球体が人間かどうかは置いておいて、人前での性行為を否定するのは当然だ。僕個人としては嫌いじゃないんだけど。
ただそれでも、一つだけ言いたいことがある。
「「喋る光の玉の方がおかしいでしょ」」
ハモった。
座っていても分かる女性にしては高い身長。胸部は男なら確実に目を向けるほど膨らんでいるというのに、スカートから出る足は細くて美しい。ミルクのような白い肌は内向的に見える割に、後頭部で一つに結わえ付けられている見事なまでの金色の髪と勝気な瞳、左右別に付けられた四角形とハートのピアスが逆に活動的な印象を与えている。
きっと、すれ違った男の大半が振り返るであろう程の美人。
そんな美人がご褒美をくれると言うのだから、年頃の男が期待しないわけないと思う。
「そ、こういうヤツ」
レイナはゆっくりと見せ付けるように足を組み替えて、右手をそのまま口の前へ持っていき、親指と人差し指で作った輪っかを口の前で前後させながら誘惑するようにチロチロと舌を出してきた。
さっきまでギリギリ見えそうで見えなかった下着は、真っ白な肌と対になる黒いレース。甘美な手と口の動きは、そこに猛り狂ったモノを持っていけばどれほどの快楽を与えてくれるだろう。
期待通りの展開に唾を飲み込みながら、下半身では股間の膨らみがズボンを押していく感触が痛いほど伝わってくる。
「い、いいの?」
「嫌なワケ?アタシの舌、柔らかくてすっごい気持ち良いのに」
『えーっ』と軽く口を開いてあっかんべぇをしてくる様子は、子供がする可愛らしいモノとは違い、完全に男を誘うソレ。
ガチガチの肉棒を、あの舌の上に置いてみたい。
あんなにしゃぶり慣れてそうな美人ギャルの口の中で、気持ち良くなりたい。
「全然!是非お願いしま……」
今すぐ彼女の前に行ってズボンを下げれば最高の快感が待っているはずなのに、何故か僕の足はその場に留まった。
何か出来過ぎてやしないか?
考えが頭を過ぎったのは、童貞故の警戒心かただの勘なのかは定かじゃない。
ただ、一度思ったからにはそれが頭の中から消えるまで動けない。
彼女の方からわざわざ『ご褒美』をくれる理由はあるのか?
「どうかした?噛んだりなんてしないって」
その場から動こうとしない僕を疑問に思ったんだろうけど、わざわざ噛まないなんて宣言する必要があるのか?
悪い方向に考え出すと、レイナの発言が全部ブラフじゃないかと思えてくる。
何よりさっきの発言で『噛まれるかもしれない』という想像を一瞬してしまったせいで、急速に下半身の熱が飛び去った。
性欲の支配から解き放たれたお陰で、一つ気付いたことがある。
そもそも、一階の奇襲は彼女の指示じゃないのか?
考えが纏まらない中、レイナは徐に組んでいた足を崩すとローファーを履いたまま両足を持ち上げてソファの上でM字に開脚してみせた。
「そんなに怖いなら、こっち使っとく?」
ミニスカの裾を自分でたくし上げ、真っ白な太腿の奥、黒いレースの下着に守られた大事な部分を強調するように見せびらかしてくる。
只管に男を煽るその仕草は僕じゃなければ耐えれないだろう。
何でここまでして誘ってくるんだ?
そう思った時に、僕の疑問は全て線で繋がった。
一番最初に電話でこの場所を指定した時から、きっとここまで計算していたんだろう。
だから僕は、レイナにこっちに来てもらうことにした。
「僕、下品なセックスが好きなんだよね。どうせならそこの床に手付いて、お尻高く上げて誘ってよ」
無論セックスの経験は無いが、動画サイトでそういう性欲剥き出しのセックスが好きなのは事実だ。
「嫌。手汚れるっしょ」
「ならこっちで跪いてフェラしてよ」
「それも嫌。膝汚れるし」
もっともらしい理由を付けてはいるが、ローファーのままソファの上に足を乗せているのだから、そこまで神経質な性格ではないはず。
「分かった。汚れるのが嫌ならホテルで一晩中ヤろうよ」
正直、これに乗ってくれるなら好都合だ。美人ギャルと童貞喪失セックスヤリ放題。
しかし、現実は厳しい。
レイナは淫靡な表情を四散させて、大袈裟に肩を竦めながら尋ねてきた。
「ハァー……マジかぁ、いつ気付いたの?」
「最初は勘だよ。あんな不意打ち指示する人なら、何か仕掛けててもおかしくないなぁって」
「それで気付くとか凄すぎでしょ。完全にアタシの負けじゃん」
負けを宣言するレイナに対して、僕も色んな意味で敗北を噛みしめていた。
折角の童貞喪失チャンスを逃してしまったのである。
これだけ遊んでそうなら頼めばセックスさせてくれないかな。
この際フェラ、いや手コキでも……。
土下座まで視野に入れてどうしようかと考えていると、レイナが立ち上がって丁度僕と彼女が座っていたソファの中間辺りの床を、ちょっと慎重に飛び越えて僕の隣にやってきた。
「そこだったんだ、落とし穴」
「位置までは分かってなかったかぁ。じっくり見ないと分からないように必死に偽装したしね」
そう答えた後に、レイナは隣で手を後ろに組みながら僕の全身を舐め回すようにじっくりと見渡して、最後に上目遣いで下から僕の顔を覗き込んできた。
「えーっと、何かな?」
美人の顔が間近にあるのはちょっと、いやかなり心臓に悪い。
おまけに手を後ろに組んでいるせいで胸がこれでもかという程自己主張していて、顔を見れないから胸を見ていますっていう世の女性に嫌われそうなチキンっぷりである。
「ね、将来アタシのボディガードとかしない?」
「ボディガードって、実はどこか偉い人の娘とか?」
「ちっちっちー。偉くなるのはこ・れ・か・ら」
「これからって……ひぁ♡」
顔の横で可愛らしく左手の人差し指を左右に振るレイナに気を取られていると、いきなり下半身の大事な部分を包み込むような感触が訪れて、思わず声を挙げながら腰を引いてしまった。
「おーおーおー。ガッチガチじゃん♡人の胸ばっかり見てるからこうなるんだぞ♡」 『あのー』
「ちが♡」
ズボンの上から股間を這いまわっているのがレイナの右手だと気付いた時には、唯々未知の感触に身を委ねるしかない。
「違わねぇだろ?アレだけガン見してといてさぁ」 『すいませーん』
そう言ったレイナは左手で僕を抱き寄せ、豊満な胸を背中に押し付けながら『ふっ』と息を耳元に吐きかけてきた。
近くにある女性らしい匂いと背中に感じるマシュマロの感触、体験したことのない耳への息吹にゾワゾワとした感覚が巻き起こる。
「いゃ♡」
「可愛い声上げちゃってさー、完全に女の子じゃん♡」 『話を聞いてー』
もう女の子でも何でもいいから、もっと続きをして欲しい。
「どうせなら今からアタシのボディガードになる?勿論お代は身体で♡」
気持ち良いしか考えられない頭では、提案を受け入れる以外の選択肢なんて思い浮かばない。
肯定の返事をしようとした時に、何故か目の前がいきなりパッと明るく光り、突如現れた光の玉から知らない女性の声が発せられた。
『人の話を聞いて下さい!!!』
いきなり起こった怪現象に僕もレイナも完全にフリーズしたけど、先に我に返ったのは多分レイナだった。
そのレイナはまだガチガチに勃起していた僕の肉棒の先っぽの部分を、徐に指で作り上げた輪っかで擦ってくる。
「あっ♡それ♡」
「気持ち良いか?」
ズボンの上からとはいえ、今までで一番気持ち良い感触に思わず声を上げてしまった僕とは裏腹に、レイナは努めて冷静に聞いてきた。
「う、うん」
「ってことは、これは現実か」
普通は痛みで確認するだろうっていう突っ込みは控えておいた。
どう考えてもこっちの方が最高。
『人前で手コキって貴方達は頭おかしいんですか!』
謎の球体が人間かどうかは置いておいて、人前での性行為を否定するのは当然だ。僕個人としては嫌いじゃないんだけど。
ただそれでも、一つだけ言いたいことがある。
「「喋る光の玉の方がおかしいでしょ」」
ハモった。
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