黒き死神が笑う日

神通百力

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海での遊び

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 水波七深みななみななみは友達と一緒に海に来ていた。セクシーな水着に身を包む女性が多い中、水波はTシャツに短パンという恰好だった。
「どんな気分だ?」
 名水巳菜なみずみなは水波を見下ろした。名水もTシャツに短パンの恰好をしていた。
「……当ててみな」
「飛び跳ねたいぐらい楽しいと見た」
「違うな。正解は……顔面に一撃見舞わせたいぐらいの怒りだ!」
 水波は名水によって砂に埋もれていた。
「へぇ、何で怒ってんだ?」
「砂で埋もれてるからだ。これでは身動きが取れない。海で遊べない」
「安心しろ。私がお前の分まで遊んでやるから」
「安心できない。あたしも遊びたい。ここから出せ。さもなくば海で苛められたとお前の両親に報告する」
 水波は身体に力を込めるが、まったく動けなかった。
「私がいつ苛めたよ? 私は遊んでるだけだ」
「あたしで遊ぶな。玩具じゃないんだぞ」
「そうだな。七深は玩具じゃない。私にとって七深は妹だ」
 名水は僅かに肩を震わせて微笑んだ。
「同い年の分際で何をほざきよるか!」
 水波は名水を睨みつける。
「可愛くない妹だな」
 名水は水波の顔に唾を飛ばした。
「それが妹に対する仕打ちか」
「ほれ」
 名水は水波の顔に尻を乗せた。名水は尻を左右に動かす。
「ほれほれ」
 ブッと名水は屁をこいた。尻を顔からどけた。
「くさ……くないな。全然くさくない」
「何発でも嗅げる?」
「嗅げるけど嗅ぎたくない」
 水波は少しいやそうな顔をする。
「そこの君」
 女性の声がした。水波と名水は同時に声がした方向へ視線を向けた。
「何をしてるの」
「遊んでるだけですよ」
「その子いやがってるじゃない」
 女性は水波を覆っている砂を除け始めた。
 水波と名水は視線を合わせ、ニヤリとした・・・・・・
「大丈夫?」
「はい、ありがとうございます」
 水波は女性に向かって頭を下げた。
「もうこんなことしたら駄目よ」
「もうしません」
 女性は背を向け去っていった。
「巳菜」
 水波は名水を見た。
「七深、成功だ・・・
 名水の手には財布が握られていた。

 ☆☆

「次の舞台はどこにする?」
「案外海もチョロかったな。今度はもっとリスクの高い場所でやってやろうぜ」
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