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エピローグっていうやつ
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赤く色づくアスファルトと、耳障りなカラスの鳴き声が鳴り響いていた。
「おい、お前生意気なんだよ。お兄さんたちにごめんなさいは?」
吾輩は今、背の高い男性二人組の一人に胸ぐらを掴まれている。右頬に痺れるような痛みと、口に広がる鉄のような味…。
「よくも、俺様の髪型を侮辱してくれたな?どうなるかわかってんのか?あ?」
「実際、お前の髪型は左右が剥げているみたいで、ダサいであろう。それを見たまま、吾輩は言ったまでた」
男はピクリと眉を動かした。今にもまた、殴りそうな勢いだ。男の髪型は、いわゆるモヒカンというもので、今どきそのような髪型をする人には滅多に出会わない。
一方、その後ろで静かに見守る仲間らしきものは、鋭い目つきでこちらをただ見つめていた。
やつは、何もしないのであろうか。
「おい、どこ見てんだよ!」
再び頬にくる痛みと、殴った衝撃で地面に倒れ込む。男は、仰向けになっている吾輩の上に覆い被さるようにのりこみ、何度も吾輩を殴りつけた。
そんなとき、ある眼鏡の少年がやってきた。見た目は至って地味で、立ち姿も凍える子犬のようだ。その右手には200mlの牛乳を握りしめていた。
「な…、なにしてるんですか!!」
少年の声は震えていた。こんな、状況で場に入ろうなんて、なんて馬鹿な少年なのだろうか。
「あぁ?お前コイツの家族かなんか?コイツ生意気なんだよ、お前にも責任とってもらおうか?」
少年は手に持っていた牛乳をぽろりと落とす。吾輩は、その少年は自分の愚かさを恥じ、逃げるのだと思った。しかし、少年は逃げることなくその場に仁王立ちしている。握りしめた拳はひどく震えていた。目には、溢れんばかりの涙が流れていた。でも、少年は涙をぐっとこらえて、ただひたすら男を睨みつける。涙しながらも、少年の眼鏡の奥に潜む何かは、怖さというより、別の感情が脇だっているように見えた。
そんなに震えているのに、涙が出るほど怖いはずなのに、なぜ少年は吾輩を助けようとしているのだろうか。吾輩はただただ、不思議でならなかった。
モヒカン男は、ゆっくりと少年の方へと歩いていく。拳を握りしめ、少年を見てほくそ笑んだ。少年は殴られるの覚悟に目をつぶった。
『ゴンッ』
図太い音が静かな公園に響いた。
吾輩は自分の目が信じられなかった。その場に倒れ込んでいるのは少年ではなく、モヒカン男だった。
「いてぇ…何するんすか!」
モヒカン男を殴ったのは、さっきまで静寂に包まれていた男だ。その男はモヒカン男を睨みつけた。静寂男は、少年が落とした牛乳パックを拾い上げる。そして、少年に渡した。
「死神、また後でな」
少年の目が見開く。そして、男二人はその場を後にした。
少年は膝から崩れ落ちた。そうとう、恐かったに違いない。安心したら力が抜けたのだろう。
吾輩も服についた土埃をはらい、立ち上がる。
「あ、キミ大丈夫だった?顔腫れちゃってる…待ってて救急箱もってくるから」
そう言いつつ、少年は腰が抜けて歩けない。
「あはは、恥ずかしいな。ごめんね、彼奴等に何一つ言ってやれなかった」
「いや、吾輩としては十分楽しませてもらった。感謝する」
少年はキョトンとする。話し方が意外だったのか、楽しむという言葉に驚いているのか。
「吾輩は、ある人間をさがしていたのだ。今、其奴を見つけた」
吾輩は服の内ポケットから、あるものを取り出す。
「え、それって銃!?」
吾輩は少年に銃口を向ける。状況が理解できないのか、少年は目を瞬かせている。
「それっておもちゃだよね?」
「いや、本物である」
「え…いや、そんなまさか。この日本で銃なんか手に入らないし…」
吾輩は少年に銃口を向けたまま、ニコリと笑う。
「赤き月の下、また会えることを願っているぞ死神」
そして、引き金を引いた。
「おい、お前生意気なんだよ。お兄さんたちにごめんなさいは?」
吾輩は今、背の高い男性二人組の一人に胸ぐらを掴まれている。右頬に痺れるような痛みと、口に広がる鉄のような味…。
「よくも、俺様の髪型を侮辱してくれたな?どうなるかわかってんのか?あ?」
「実際、お前の髪型は左右が剥げているみたいで、ダサいであろう。それを見たまま、吾輩は言ったまでた」
男はピクリと眉を動かした。今にもまた、殴りそうな勢いだ。男の髪型は、いわゆるモヒカンというもので、今どきそのような髪型をする人には滅多に出会わない。
一方、その後ろで静かに見守る仲間らしきものは、鋭い目つきでこちらをただ見つめていた。
やつは、何もしないのであろうか。
「おい、どこ見てんだよ!」
再び頬にくる痛みと、殴った衝撃で地面に倒れ込む。男は、仰向けになっている吾輩の上に覆い被さるようにのりこみ、何度も吾輩を殴りつけた。
そんなとき、ある眼鏡の少年がやってきた。見た目は至って地味で、立ち姿も凍える子犬のようだ。その右手には200mlの牛乳を握りしめていた。
「な…、なにしてるんですか!!」
少年の声は震えていた。こんな、状況で場に入ろうなんて、なんて馬鹿な少年なのだろうか。
「あぁ?お前コイツの家族かなんか?コイツ生意気なんだよ、お前にも責任とってもらおうか?」
少年は手に持っていた牛乳をぽろりと落とす。吾輩は、その少年は自分の愚かさを恥じ、逃げるのだと思った。しかし、少年は逃げることなくその場に仁王立ちしている。握りしめた拳はひどく震えていた。目には、溢れんばかりの涙が流れていた。でも、少年は涙をぐっとこらえて、ただひたすら男を睨みつける。涙しながらも、少年の眼鏡の奥に潜む何かは、怖さというより、別の感情が脇だっているように見えた。
そんなに震えているのに、涙が出るほど怖いはずなのに、なぜ少年は吾輩を助けようとしているのだろうか。吾輩はただただ、不思議でならなかった。
モヒカン男は、ゆっくりと少年の方へと歩いていく。拳を握りしめ、少年を見てほくそ笑んだ。少年は殴られるの覚悟に目をつぶった。
『ゴンッ』
図太い音が静かな公園に響いた。
吾輩は自分の目が信じられなかった。その場に倒れ込んでいるのは少年ではなく、モヒカン男だった。
「いてぇ…何するんすか!」
モヒカン男を殴ったのは、さっきまで静寂に包まれていた男だ。その男はモヒカン男を睨みつけた。静寂男は、少年が落とした牛乳パックを拾い上げる。そして、少年に渡した。
「死神、また後でな」
少年の目が見開く。そして、男二人はその場を後にした。
少年は膝から崩れ落ちた。そうとう、恐かったに違いない。安心したら力が抜けたのだろう。
吾輩も服についた土埃をはらい、立ち上がる。
「あ、キミ大丈夫だった?顔腫れちゃってる…待ってて救急箱もってくるから」
そう言いつつ、少年は腰が抜けて歩けない。
「あはは、恥ずかしいな。ごめんね、彼奴等に何一つ言ってやれなかった」
「いや、吾輩としては十分楽しませてもらった。感謝する」
少年はキョトンとする。話し方が意外だったのか、楽しむという言葉に驚いているのか。
「吾輩は、ある人間をさがしていたのだ。今、其奴を見つけた」
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「え、それって銃!?」
吾輩は少年に銃口を向ける。状況が理解できないのか、少年は目を瞬かせている。
「それっておもちゃだよね?」
「いや、本物である」
「え…いや、そんなまさか。この日本で銃なんか手に入らないし…」
吾輩は少年に銃口を向けたまま、ニコリと笑う。
「赤き月の下、また会えることを願っているぞ死神」
そして、引き金を引いた。
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