最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

文字の大きさ
28 / 144
第一章

ハイトはティファを説得したい

しおりを挟む
いやね?僕これでも結構怒ってるんですよ?
ただ顔に出にくいだけで?

「・・・・とりあえず歩く?」

お?頷きました。逃亡者は素直であります。
では行きますか?逃亡犯ティファさん。

「あ。そういえば途中でフィクスに会ったよ?先に帰ってもらったけど」

「え?そうなんですか?」

そうですよね?僕一人の実力でティファを止められるとは思えないですよね?僕もそう思いますよ?情けないですが。ただし、剣の腕は、ですけど。

「ティファはさ。もしかして僕達のこと心配してるのかな?」

「え?いやぁ~心配というか・・・」

あれ?聞き方が悪かったみたいですね?
もっと分かりやすく聞いてみますか?

「僕達がティファを庇って王様に罰せられる事を気にしたんじゃないの?だって、僕達がティファを売らないって、もう分かってるよね?ギャドがティファの実力を誤魔化して報告してたのも、気付いてたんでしょ?」

ん?何でそんなビックリした顔を?

「ハイトさんって・・・実はちゃんと周り見えてます?」

おーーーーい!!どういうことなのかな?僕、ティファにどんな人物だと思われてるんでしょうね?あ、食の変人ですか?さっき泣きながら叫んでましたもんね?

「後、他にも事情がありそうだけど。取り敢えず一度戻った方がいいと思う。大丈夫。今ティファは僕と隣の街まで出掛けてる事になってるから」

「・・・・でも。今戻ったら。本当にややこしくなると思うんです」

ほう?これ以上ややこしくですか?それは大変だ。
これからとても忙しくなりますね?僕働くの嫌いなんですけどね?

「じゃあさ。取り敢えず目標を決めよう」

「目標。ですか?」

ここで、ああでもない、こうでもないと考えても時間の無駄です。こういう時は最終目標を決めてしまえばいいんです。

「この国に残るにしても出るにしても正式な住民権をまず獲得する。だってティファは将来店を持ちたいんでしょ?それには必ず身分証明が必要になるんだ。それまではここにいてその準備をしよう」

「え?そうなんですか?他の国に行っても?」

やっぱり知らなかったね?そうだと思いましたよ。
結構詰めが甘いですよ?この人。

「そう。今ここを出ても両方の国から追われる身になるだけだから得する事なんて一つも無いよ。だから一度帰ろう」

「・・・・はい」

あれ?やっぱり帰りたくない?そうですか?
ではしょうがないですよね?皆さん?

「どうしても嫌なら別にこのまま逃げてもいいよ?」

「・・・え?でも」

これは最終手段だから使いたくなかったんですよ?
でもこのまま帰って、また逃げられても面倒ですからね?

「そのかわり僕も一緒に逃げるけど。いいよね?前にも言ったけど僕はティファのご飯が食べられれば、それでいいんだよ?」

あ。意識飛んだ?飛んじゃいましたか?流石に驚いてますよティファ。でも、僕はやっぱり少し怒ってるみたいです。


「何なら僕と結婚して明日にでも住民権を獲得する?そうすれば直ぐにこの国から出ていけるよ?勿論そうなっても僕は付いて行くけど?どの方法がいい?」

「・・・・・・・・・・・・・カエリマス」

「ん?」

「今すぐ宿舎に帰らせていただきます!そしてちゃんと権利を貰います!!すみませんでした!そしてハイトさんは食の変人ではなく、食の狂人でした!言い間違えましたぁぁ!!!」

ちょっと?
何で涙目なの?失礼な!
泣く程辛かったんですかね?仕方ないですよね?ティファが悪いと思いますよね?

だってティファがいなくなったら僕のご飯どうするの?

「大丈夫。ティファは今まで通り料理を作ってればいいよ。それで権利を貰って貯めたお金で自分のお店を持つ」

僕はティファの料理のファン第一号ですから勿論支持しますよ?そして毎日そこに通い詰めます!!

「それまで、何があってもティファの味方でいてあげるから」

「・・・・・・・・ハイトさんの深淵を垣間見ました。」

あはは?何か言ったかな?

さぁ納得したならサッサと歩こうか?
僕まだお昼ご飯食べてないんですよ?
僕に美味しいご飯を食べさせて下さいね?

「そういえば、ハイトさんはどうして私がここにいると?フィクスさんに聞いたわけでは無いですよね?」

「うん?だってティファ、自分の国には絶対に帰らないでしょ?嫌がってたし、だから逃げるとしたら別の国だと思って。ここに来てティファが知ってる場所は限られてるからね?逃亡するにしても全く知らない道は通らないでしょ?だから唯一知ってるこの道を通ると思ったんだ」

どうしましたかティファさん?顔色が悪いですよ?
あ、そうですか?ティファきっと僕の事、隙だらけで警備に付けるには物足りないチョロい相手だと思っていらっしゃいましたか?そうですよね?誰だってそう、考えると思いますよ?きっと。

「あの・・・・ハイトさんって、何者なんですか?」

こんなに長い期間一緒にいたのにやっとですか?
ま、僕も大して気にしてなかったのでいいんですが?

「何者?僕はサウジスカル帝国騎士団に所属する騎士だよ?知ってるよね?」

あれ?納得出来ませんか?そうですか。

「ティファは不思議に思わなかったの?ギャドがここに連れてきた時、真っ先にティファを僕に預けたでしょ?仮にも最強と言われる騎士を適当な役職の人間に丸投げすると思う?ティファならとっくに気付いてると思ってた」

「・・・・・・あ・・・・」

やっぱり。僕がティファを押し付けられただけの可哀想な騎士だと思ってましたねー?・・・・・確実に。

まぁ僕がティファでも確かにそう思うかもしれないです。
僕、基本やる気ないですからね?あはははは。

「僕がギャドの次に強くて、役職が騎士団の副団長だからだよ?」

「えええええええええええええええ!?」

え?そこまで驚く事です?
僕、そんなに弱く見えるんでしょうか?心外だなぁ?(笑)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

処理中です...