最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

文字の大きさ
44 / 144
第一章

ヨシュアはハイトに関わりたくない

しおりを挟む
やばい。これはやばい。

「ほら食えよ。ティファが僕に作ってくれたパウンドケーキを恵んでやってるんだ。一欠片も残すなよ?その時点でその役に立たない顔面かち割るぞ?」

「ムグ!!ムググゥムグゥーーー!?」

「あ?なんだって?美味いだろ?美味いよな?オラ!ちゃんと口に出して美味いですティファ様って言ってみろよ」

ハ、ハイト?ハイトさん?貴方ハイトさんで間違い無いよな?み、皆、変わりないか?俺は今、色々と大変な事に巻き込まれている。取り敢えず数分前に話を戻そうぜ。


「ベロニカ!」

「ヨシュア?なんでここが?」

「あら?こんな所までよく辿り着いたわね?でももう遅いわよ?ティファは返して貰ったから」

クッソ!こいつらやっぱりこの為にうちの国に戦争仕掛けてきやがったな。でもまだこの先にティファの匂いが残ってる。コイツらの先に居るはずだ。

「あーーーやっとあの馬鹿女から解放されるぜ!おい!このチビは俺が殺る。そっちはお前が片付けろ」

「ちょっと?偉そうに命令しないでくれる?私に指図していいのはナシェス様だけよ?」

コイツら余裕だな。
ベロニカも警戒してるし、それだけの手練れってことか。
参ったな。俺一人でどうにか出来るか?

ゴオオオオオオオオオオ。

いざとなれば変幻して・・・・ん?

「え?」

「は?」

「あん?」

えっとぉ?あれなんだ?なんか物凄い勢いで空からこっちに突っ込んで来るんだけど?お?お?おおお!?

「ヨシュアーーー!お座り!」

「キャン!!」

ドグシャーーーー!!!

・・・・・・おい。咄嗟にしゃがんじまったけど誰だ今、俺にお座りとか言った奴。どこ行った?ん?刺客の二人はどこだ・・・・あ。

「い、いったぁーー!何?一体な・・ぐふ!!」

「な!テメェ・・グエ!!」

「ハ、ハイト?お前どうして・・・」

え?何?まさかお前空飛んできたの?どうやって?って言うかお前どうやって着地した?普通の人間なら死ぬと思いますが?

「ああ。お前だよね?ティファの頭を思い切り殴って怪我させたのは」

あの・・・・ハイト?無視?俺の事無視なの?もしかしてティファの側に居なかった事、怒ってる?俺に怒ってる?

「テメェ・・・変テコな技使いやがって!一体どうやって・・・ゲブーーーー!!」

ひぃぃぃぃ!?お、おい、刺客の人。今は取り敢えず黙ってハイトの話を聞こう?続けられたらお前顔が外れちゃうぞ?

「選ばせてやろう。眼と指、どっちがいい?」

俺、凄く悪い予感がする。俺の中の警報がけたたましく鳴っている。良い子の皆は、とりあえず回れ右しようぜ!!

「ハ、ハイト。落ち着こう?そいつらデズロ様に引き渡す事になってるから・・・・」

「生きていれば問題ない。一個ぐらい目玉がなくても死にはしないだろ?」

「ひっ!!」

問題あるわーーーー!?お、おま!俺達は騎士団だろが!何?普通に「眼えぐっちゃっていいっすか?テヘ!」ぐらいのノリで言った?お前はいつの間に闇落ちしたんだ馬鹿野郎!

「ハイト。そんな奴等はほっといて。早くティファを助けに行って!あの人、馬鹿王子に捕まってるみたい。下手すると殺されるかもしれない!」

ナイス!ベロニカ!!
ハイト少し正気に戻ったみたいだ。よ、良かった。
取り敢えず黙って震えてるコイツら縛ってティファを助けに行こうぜ!

「私はこの二人を見張ってるわ。二人はティファを助けに行って」

大丈夫か?ベロニカも結構怪我してるのによ?

「大丈夫よ。逃がしたりしないわ。早く行って」

ハイトがここに来たって事は、他の奴等もここに向かってる筈だよな?じゃあさっさとティファを助けて手当してやればいいや。
ってハイト早!!一人で行くなよ!
もうここ敵国の領土だぞ!

「建物があるね?あの中か?」

「そうだな。向こうからティファの匂いがする」

ん?何だ?何で俺の顔ジッと見て?何か言いた気だな?

「・・・お前。なに当たり前のようにティファの匂い嗅いでるの?変態なの?」

人を変態呼ばわりすんじゃねぇボケェ!!緊急事態だからだよ!ハイト、お前はいつからそんな馬鹿に成り下がったんだ!!しかもこの局面で真面目に何言ってんだ!
おい!無視して行くんじゃねぇーよ!

お?あれは・・・・。

「だから、素直に戻るのならお前が好きな料理を好きなだけ作らせてやろう。それなら文句はないだろ?お前は、料理が作れるのであれば、場所など何処だろうと構わないんだ。ずっと私の側にいて料理を作っていればいい」

皆さん・・・・・・。

皆さんはティファをストーカーしているこの王子、どんな人物だと思ってた?俺はさ、我儘で散々甘やかされ勘違いしたぶよぶよに太った気持ち悪い男を想像してた。皆もさ?そこまでじゃなくてもさ?きもーい男の姿を想像してたと思うんだよ?

「ティファ?どうした?何故黙っているんだ?」

輝かんばかりの見目麗しい麗人が俺の目に飛び込んで来ているんですがーーー!?え?何あの人?本当に人間なの?ティファあんな奴に求婚されてよく断ったな?俺が女だったら正直迷うと思うぞ?

「料理を作ることは大好きです」

「そうだろう?じゃあ・・・」

「でも、貴方は料理を作る私が嫌いでしょう?」

あれ?ティファもしかして、そいつの事少しは気になってた?あー成る程ねぇ。でもあんな美味いケーキ踏み潰す奴だもんなぁ?しかしなぁ・・・。

「やっぱ女は顔がいい男に弱いのか?わっかんね」

思わず呟いちまったよ。ティファも普通の女の子で安心したような、ガッカリしたような・・・ハイトもそう思わねぇ?ハイト?は・・・・。

「ギャドさんは敵の隊長さんなのにとても面倒見が良くて見た目通りムキムキで、でも、とっても頼りになります。ヨシュアさんは真面目で融通が効かないけど、素直な所があって結構チョロいです。フィクスさんは上手く隠してるつもりでしょうけど腹黒さが隠しきれてなくて本人はそれに気付いてない所が面白いですし、妹のアイラさんは女の子の遊びを知らない私に色々教えてくれます。それで、あの国の人達は一度だって私に料理を作るなとは言わなかった」

ティファの俺への認識に突っ込みたい気持ちはあるが俺、それどころじゃない。

今、横で見たこともない表情をしてるハイトが怖すぎて俺震えが止まらないんだけど?あ、行く?行きますか?そうですね?早く片付けてしまおう。じゃないと俺精神的に限界を迎えそう。恐怖で。

「ハーーーーイお邪魔しますよーーーーー!!!」

ドゴォォォォォォォォォオ!!!!!!

ひぇぇぇぇ!容赦ねぇ!どんなに顔が美しかろうがアイツには関係なかった!寧ろ潰しにいった!

「ティファ。僕は?」

「え?」

あーーー。ハイト・・・・・もしかして。

「何でさっきの話に僕は出て来ないの!僕の事はどう思ってるの?」

「ちょっと、ハイト・・・今はそれどころじゃ」

お前やっぱ俺の勘、正しかったじゃんよ!っつーかなら尚更俺にこの場をどう収めろと?余計な事口にしちまったし。

「ティファ?」

「・・・・・秘密です。盗み聞きした罰です」

ティファーーー!!!お願いだから答えてあげてぇぇぇ!
あ、ほら!笑いながら王子の所に向かっちゃったじゃん!
こっちに引きずって来ちゃったじゃーーん!!
え?王子駄目だって!ハイトに今逆らったらーーーー。

「お前の愛がどれ程のものか僕が試してやるよ。有り難く思えド変態のサイコパス野郎」

いや、本当。ドウシヨウコレ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

処理中です...