最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

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第二章

ハイトはティファを慰めたい

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今日は久々の休日で、ティファがギャド達と出かけるというのでお昼ご飯はどうしようかと重い腰をやっと上げて外に出て行ったらですよ?

そうしたら街の向こう側から何やらトボトボ歩いてくる見慣れた子を見かけたんですよ。なんででしょうね?

正直、僕の精神衛生上、暫く距離を置いて様子を見た方がいいと冷静に判断して二人を遠くから眺めてました。
そしてホッとしてました。

ギャドはヘタレなので全くそういう雰囲気になんないんです。本当に立派なのは筋肉だけですよ。年中女性を吸い寄せては流れる様に躱しているフィクスに弟子入りでもした方がいいよね。あの人。

で、ティファに声を掛けたんですけどね?
僕、正直少し後悔しました。僕、近いうち隊長に就任してしまうかも知れません。非常に面倒くさいですが、それも仕方ないかと?
アイツ二度と立ち上がれない様に抹殺シテヤロウ。

「ハイトさん?何か怒ってます?」

「ん?そんな事ないけど、ギャドの奴、酷いなと思って。自分からティファに恋人役を頼んでおいて、ティファだけ先に帰らせるなんてさ?」

「そうなんですか?緊急事態みたいなので、しょうがないかと思っていたのですが・・・」

どんな緊急事態が起こって、こんな状態が作り出せるのか。
謎ですね?是非経緯が知りたいです。

「それで、そのお弁当は食べたの?まだお昼になってないけど?」

「結局殆ど進まずセラさんがいなくなってしまったので食べてません。ハイトさんは・・・・」

「え?じゃあ僕食べていい?」

お?いい笑顔です。先程しょんぼりしていたので少し心配でしたが、良かった良かった。僕もティファのお弁当食べられますしね?やったね!

「じゃあ折角だから、ピクニックでも行く?あの山程高くないけど、いい場所があるんだ」

「え!本当ですかー!ピクニック!良いですねぇ~!」

「じゃあ行こう!ティファ荷物かして」

ん?なんでティファモジモジしてるの?可愛いんだけど?

「あの。私力持ちなのでコレぐらい自分で持てます。いつも荷物持ってくれますけど。大丈夫ですよ?」

「そうなんだ?でも、ソレ僕に食べさせてくれるんだよね?じゃあ荷物くらい持たせてよ?ティファは作ってくれたんだから」

ん?なんで逃げるのかな?僕の言ったこと伝わってない?
しょうがないなぁ、捕獲!!

「あ!ちょっとハイトさん!?荷物持ち上げないで下さい!わっわっ!」

「はーい。ティファ、バンザーイ」

はい。素直でよろしい。荷物確保しました、行きましょうかね?

「あ!ハイトさん、待って下さい!」

ティファ。君力持ちだって言ってたけど、こんな重いの一人で背負ってあの山登り降りしたの?そこは、あの筋肉の塊に任せて良かったと思うよ?あ、だから心配だったのかな?納得納得。ではさり気なく手を引いて行きます。

「うん。ほら、ティファ」

「・・・・・・あの。手は繋いだら駄目なんですよ?」

「あ、そっか?今はギャドと付き合ってる事になってたんだっけ?」

確かに今、街中で手を繋いだら、ややこしくなりそうですね?やめておきましょうか。ハハッ。・・・・ギャドめ。

「手は、恋人同士が繋ぐものみたいですよ?」

「そう?恋人同士じゃなくても手なんて繋ぐでしょ?ただ繋ぎ方が違うだけだよ?」

やっぱりバレたか。誰かに余計なこと言われましたね?
チッ。

「繋ぎ方が違うんですか?どう違うんですか?」

うむ。この子どうしてくれようか。

「そうだね、後で教えてあげるよ。お腹空いたから先にご飯食べない?」

「あ、そうですね!行きましょう!」

ティファはきっと自分の事がよく分かってない気がします。育った環境なのか、騎士になった経験からなのか。

多分、彼女の本質はもっと女の子らしいものだと思うんですよね。ただ、彼女がそう在れる生活環境を与えられなかっただけで。

そんな事考えてる間に目的地に着きましたね?春だから所々に花が咲いているのが見えて中々良い眺めなんですよ此処。

「どう?昔作られた展望台の下なんだけど、ここなら人も来ないし、ゆっくりご飯食べられるでしょ?」

「ふえ~。こんな隠しスポットが!流石ハイトさん、影の支配者ですね!」

ん?なんだって?ティファまた新しい妄想が始まったのかな?そして僕は何を支配しているのかな?気になりますが今は腹ごしらえです。僕本当にでお腹空きましたよ。

「あ。じゃあ敷物しきますね?ハイトさんお弁当出してもらえますか?」

勿論ですとも!そういえば僕、ティファのお弁当は初めてです。前パウンドケーキを持たせてくれた時以来ですよ。
ん?入れ物が多いですね?一体いくつお弁当箱が出てくるんでしょうか?

「あれ?サンドイッチじゃないの?」

「はい。最近お米が手軽に手に入るようになったので、それに合わせたおかずにしてみました。お米は豆を発酵して作った調味料と鶏肉で炊いた物を一口サイズに握って少し表面を鉄板で焼いてあります。あちらはお芋と厚切りベーコンのサラダです。こちらは肉の塊に味を染み込ませてじっくり火を通した焼豚で、コッチはミニグラタンです、あとは・・・・」

「・・・・全部美味しそうだね」

「好きな物を好きなだけ食べて下さいね?今日は特別です!多いので残しても大丈夫ですよ?」

確かに結構多いよね。でも大丈夫。

「いただきます」

僕、今までティファの手料理を残した事ないんですよ。
食を愛する者は料理にも敬意を払わないとね?

「はいー!召し上がれ」

ティファを蔑ろにした事、後悔させてやろう。お前に食わせる弁当はない。お前は一生しなびた干物でもくわえているがいいさ。

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