最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

文字の大きさ
76 / 144
第二章

ティファは一人考える

しおりを挟む
「つまり、ハイト様と仲直りしたいけれど、ハイト様が怒っている理由が全然分からないと?」

「はいー。私昔から無自覚に人を怒らせる所があるようで・・・ただ今回は私もハイトさんに言い返してしまい。何故か私のご飯を食べてくれなくなりまして。でも、ハイトさん食の狂人ですから、かなりお辛い筈なんです」

セラさんが厨房に顔を出してくれた時、私とても困っていました。実は私他人と喧嘩した事がないので仲直りの仕方が分からないんです!本当ビックリ!

「ティファさんはどうしてハイト様と仲直りしたいんですか?だって、聞く限りではハイト様が一方的に怒っていらっしゃるようですが・・・」

「はい。私は別に。言い返したのも、私が原因で腹が立つ事が多いのなら一緒にいない方がいいと思いまして」

セラさんが深い溜息を吐いています。何故でしょう?何かおかしな事、私言いましたか?

「あの、コレはあくまで私の意見なので、事実は違うかも知れませんが、多分ハイト様はティファ様がとても大事なのでは?」

「え?大事?」

一緒にいて苛つく相手が大事とは?一体どうしてそんな答えが導き出されたのでしょう?

「はい。恐らくですが、ハイト様はその、ギャド様のティファ様に対する気安い態度に、お怒りになられたのでは?貴方が都合よく使われた事に、お怒りになられたのだと思います」

「え?そこですか?私が風紀を乱したことではなく?」

「・・・ハイト様はティファ様が傷付くのが、それを平気だと言う貴方が、許せなかったのだと思います。きっと今回いつまでもティファ様と距離を置いているのも、自分の発言でティファ様が傷付くのを恐れているからではないですか?」

・・・・・びっくりです。
そんな事をハイトさんが考えているとは、思いつきませんでした。思い返してみれば、ハイトさんは私をとても甘やかしてくれていると思います。気がつくと側に来て助けてくれますし、なんというか、別にいいのに!ってくらい女性扱いしてくれます。でも、そういう時とっても困ります。

「ハイト様はティファ様の料理がとてもお好きなのですよね?」

「はい!病的なほどに!」

たまに私もハイトさんが怖いと思う時、ありますからね?
目がマジなんです!

「ハイト様がこちらに来ないのならティファ様がお持ちになればよいのでは?それで、素直に仲直りしたいと言ってみたらいかがです?」

「成る程!私ずっと待ってたから、いけなかったんですね?セラ様頭いい!」

そうですよ!!来ないならこっちから行ったらいいんですよ!このカツサンド、本当はデズロさんに差し入れしようと思いましたがまた次回にしましょう!予定変更です!

そういえばハイトさんの仕事場に行ったことないですね?
なんだかワクワクします!


「あれ?ティファどうした?」

「あ!フィクスさん。ハイトさんどこにいます?」

「差し入れ?ティファ、タイミングいいな。アイツサボってるから勝手に入っていいぞ。でも寝てたら絶対に起こすなよ?機嫌悪くなる」

流石ハイトさん!職場で堂々と昼寝ですか?私恐ろしくてそんな事出来ませんよ?サボる事にも力を入れていらっしゃる!

「分かりました。寝てたら机に置いておきますー」

そう、言ったんです。そのつもりだったんですけど。

「・・・・・・ハイトさん」

3週間ぶりにハイトさんの顔、まともに見ました。
しかも寝顔。なんだか寝苦しそうに寝てらっしゃいます。

「うーーーーっなに?」

「お疲れですか?大丈夫です?」

あ、起こしてしまいましたか?
違いますね?寝ぼけてる?

「大丈夫じゃない。ティファのご飯食べたい」

キューーーーーン!

ん?な、なんでしょう?今、なんか胸がおかしくなったような?・・・気のせいですかね?

「・・・・・・食べて下さい。私も、ハイトさんに食べて欲しいです」

思わず寝言に返事を返してしまいました。
あ、ハイトさん、まだもごもご言ってる?

「ご飯も食べたいけど、それ以上に・・・・」

「え?ハイトさん?なんですか?」

ちょっとよく聞こえないので近くまで耳を近づけますね?失礼します。

「僕の事、もっと好きになって欲しい」

「・・・・・・・・・・」

えーーーーと?それは、どういう意味でしょう?
別に嫌ってはいませんよ?

「好きですよ?ハイトさんの事」

あれ?なんで私こんな事、口にしてるんでしょうね?
ただの寝言にですよ?これ、おかしいですよね?

「うん。僕も」

「ーーーーーーーっ」

今日の晩ご飯はジャガイモと鶏肉のニンニク風味の肉じゃがと、人参のポタージュ。あとあとあとーーーー!!
あわわわわわわわーーーー!!!

「あれ?やっぱハイト寝てた?」

「はい!爆睡でしたのでテーブルに置いて来ました!帰ります!」

「え、おい?ティファ?」

駄目ですね、ハイトさん駄目ですよ?
いくら寝言でもあんな事、言っては駄目です。

「ううう~食の狂人のくせにぃ」

デジャブですね。前にもこんなセリフを吐いた記憶が?
とにかく、さっきの事は聞かなかった事にします!ハイトさん爆睡でしたしね?

あ、でも今私避けられてましたっけ?
なんだか気持ちが沈んできました。
カツサンド食べてくれるでしょうか?

「ティファ?」

「あ。ハイトさんお帰りなさい!」

ハイトさんいつも通りです。
もしかしてカツサンドでご機嫌治りました?
単純で助かります!ホッ。

「差し入れ。持ってきてくれたんだってね?ありがとうティファ。とても美味しかった」

「はい、それなら良かったです。・・あの、ハイトさん」

気持ち、私の素直な気持ちを伝える、でしたよね?

「うん?」

「私、ハイトさんがご飯食べに来てくれなくて、とても寂しいです。あの、私ハイトさんには、笑ってて欲しいです」

あ、そうだったんですね?私、ハイトさんとまともに会えなくて寂しかったんですね。言葉にしてやっと気が付きました!

「それで、いつもみたいに笑って、ご飯美味しいって言って欲しいです!」

あれ?ハイトさん?なんでそんな顔で私を見るんでしょう?私、笑ってほしいんですが?

「うん。ごめんねティファ。そうだよね」

そういえば私。ハイトさんに頭を撫でられたの初めてです。ギャドさんにもフィクスさんにも撫でられましたけど、ハイトさんの撫で方、お二人と全然違います。
凄く、優しい。

「僕も、ティファが笑ってくれる方がいいや」

どうして、この人こんなに私の事、気にかけてくれるんでしょうか?もしかして、そんなにご心配をかけているのですか?私、まだ何か仕出かしそうです?

「・・・・ハイトさん?」

私、また失敗しました?
いつもそうです。知らないうちに他人を傷つけて、私はそれに気付かないんです。ハイトさんも、そうなんですか?

ハイトさんは、いつ私を嫌いになるんでしょうか?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

処理中です...