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第二章
ベロニカは迷わない
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こんばんわ。
最近私、悩み事があるのよ。
私も馬鹿だったと思うわ。
ある程度お金も貯まったし、私の身分を証明する物も与えられたから安心していたのね?ついここを出て行く事をフィクス達に言ってしまったわ。それで、コレよ。
「ベロニカ!私ベロニカから離れません!ずっと見張ってますからね?」
なんで?
アイツらペラペラ喋ってくれちゃったわけね?
それでこの引っ付き虫こと、ティファが離れない訳ね?
「うざい。見張ってても関係ない。なんなら今すぐ出て行きましょうか?」
「最早氷河!!温かいスープも凍てつかせる程の冷たさです!!」
「あ、それいい例えだね?ティファ、スープのお代わり頂戴」
「はーい!」
ああん?あんたらちょっと前まで周りを巻き込んで喧嘩してた癖に、何いつの間に元に戻ってんのよ。腹立つわね?
いや、元通り、ではないのかしら?
「うーん、このスープ美味しいね?食感がコリコリしてるけどこれ何?」
「それは海藻の仲間なんです。牛でお出汁をとっているのであっさりとそれでいて食感がいい物をチョイスしました」
「へぇ?・・・・そうなんだ」
「・・・・・・はい」
腹立つわね。ナニコレ。
焦れったいのよ、あんた達二人。
それとも見せつけたいのかしら?
それを微妙な顔で見てるフィクスも鬱陶しいったらないわね。言いたい事があるならハッキリ言えばいいのに。
あ、言っても阿呆の子だから伝わんないわね?
ごめんなさい?
「ティファ!!ベロニカ!」
「え!ギャドさん?どうしました?そんな慌てて」
「何よ。何か用?」
どうしたのかしら?ギャドがこんなに慌てて、ここに来るなんて。今までそんな事なかったわよね?それにティファと私に用?
「セラが異空間に飲み込まれた!カスバールでそんな事例、あったか?」
「「!?」」
何ですって!!それってまさか・・・。
「それはいつの事です?セラさんが引き込まれて何時間経ってます?」
「9時間以上は。セラの屋敷の近くで突然現れたんだ。その後すぐ消えちまって、宰相とササラと、デズロ様に事情を説明して・・・今、皆で他の時空の歪みを探してるんだけどよ・・デズロ様がティファ達はカスバールの厄災を経験してるから、見た事があるかも知れないって・・」
嘘でしょ。
こんな所でもア・レ・が出現するなんて。
ちょっと待って?なら、あの石も近くにあるはず。
「ギャド、もしかしてセラ、虹色に光る石とか持ってなかった?」
その顔は心当たりがあるわね?じゃあ確定だわ。
それはアズラエルの門だわ。別名悪魔の出入り口。
「ギャドさん。その石、今持ってますか?」
「あ、ああ。ここに」
またこれを見る日が来るとはね。
一体こんな物どこから持ち込んだのやら。
「ハイトさん。ハイトさんの剣、暫く貸して貰えませんか?」
「今?何で?」
「時間がありません。今すぐここで異空間の扉を開いて、向こう側に行きます。私と・・・・」
「・・・しょうがないわね。付き合うわ」
何よ?何でそんな困惑顔で見るのよ?私だってちゃんと戦力になるわよ。馬鹿にしないで。
「ちょ、ちょっと待て?お前達その開き方わかるのか?」
「はい、簡単ですよ?その石に魔力を当てればいいんです。つまり、私か、ベロニカがその石を握れば扉は開きます」
そうなのよね。
その石のせいでカスバールにいた時、何頭魔獣や魔物を倒した事か。思い出しただけで胃がムカムカするわ。
「じゃあティファ達が扉を開いて俺達が中に入れば良くね?二人が行く必要ねぇだろ?」
「いいえ。普通の人間が中に入ると、まともに動けなくなります。私とベロニカは鍛錬を積んでいますから直ぐに動けますし、魔力も保持しているので、すぐ命が尽きる事はありません。セラさんが連れ去られて9時間。普通の人間ならとっくに手遅れですが。きっとセラさんは魔力をお持ちの筈です。ですが、それでも今ギリギリのラインですから」
さっさと私達に連絡してたらもっと余裕があったかもね。
でも今はそれどころじゃないわ。
「フィクス。私にも剣を貸して」
「・・・・・・・」
何迷ってるの?時間がないんだけど?
「命が尽きるってどういう事?」
ややこしくなりそうだわ。
だから嫌なの、ここの人達。甘いから。
「その空間に入ると常に魔力が奪われます。魔力が無くなれば次に奪われるのは生気です」
「ティファ。やっぱり俺もついていく。俺が行かねぇと」
面倒だわ。本当に時間がないのに。
ティファ?あなたどこに・・・・ん?デッキブラシ?
ダァァァン!!!
「さっきからごちゃごちゃと!時間が無いって言ってるんですよ!?我儘な人は一人残らず高速デッキブラシでゴシゴシ摩擦しますから!!」
あ。キレたわ。痛そうねソレ。
皮膚とか凄い事になりそうだわ。
「足手まといは黙って私にその石を渡して信じて待っていればいいんです!!御託は結構!!!」
「そうよ。こうしている間にもセラは確実に死に向かってる。勿論襲われる可能性もある。フィクス!!」
「・・・不本意だ。女性を危険な目に合わせるなんて」
渋々ね?まぁ貴方にしては遅い決断だけど許してあげるわ。彼女が死んでなかったらね。
「ハイトさん」
「・・・・・・・」
「信じて下さい。ハイトさんの剣、御守りがわりに貸して欲しいです」
「・・・・・もし、待っても戻らなかったら、僕も飛び込んで行くから。覚えておいて?」
だぁーーー!!急いでるって言ってんでしょうがぁぁ!!甘い空気出してんじゃないわよコラァァァァ!!
「デズロさんとササラさんに直ぐに連絡して下さいね?出口はヨシュアさんにします。1時間たっても私達が帰って来なかったら一度だけその石をヨシュアさん握って貰えますか?」
「俺の魔力で歪みを作るんだな?わかった」
「他の方はその時出現するかも知れない魔物に備えて下さい。あと、医療班も呼んでおいて下さいね?」
流石ね。
現役は退いても緊急時の対応に慣れてる。本当に勿体無いわ。しょうがないけど。
「あ!いけないです。クッキークッキー!メルローさん!その袋とって下さい!」
「え?お菓子持って行くの・・・あ、そうか」
「応急処置ですが。セラさんこの前少し私の料理食べたので多少は効果があった筈です」
「じゃあギャド。その石を貸して」
そんな顔しなくても、ちゃんとセラを連れて帰ってくるわよ。貴方達は知らないだろうけど、この人化け物じみた強さだからね?
「二人共、無理はするな。無事に・・・」
本当に久々だわ、こんな近くでこの門を見るのも。
最初は怖くて泣いたわねぇ。
ソレでティファに笑われたっけね?ああ~!ムカつく。
「ティファ!ベロニカ!」
「じゃあ、ちょっと行ってきます!後はお願いしますね?」
ムカつくけど。これがあんたと一緒に馬鹿する最後だと思えば、まぁ悪くない。最後ぐらい、ちゃんとあんたに恩着せたいしね?
「ベロニカ。泣いてないですか?」
泣いてないわよ阿呆。
あ、ふぅん?・・・・いい事思いついた。
「泣いてるのはあんたでしょ?ハイトと二度と会えないかも知れなくて寂しいんじゃない?」
「びょえ?!」
キモっ!何の声。そして何故か持ってきたデッキブラシをこっちに向けるんじゃないわよ!
遊びに行くんじゃないのよコラ!
はは!少しはこれに懲りて無自覚に人をイラつかせないよう気をつけることね?まぁ無理でしょうけど。
最近私、悩み事があるのよ。
私も馬鹿だったと思うわ。
ある程度お金も貯まったし、私の身分を証明する物も与えられたから安心していたのね?ついここを出て行く事をフィクス達に言ってしまったわ。それで、コレよ。
「ベロニカ!私ベロニカから離れません!ずっと見張ってますからね?」
なんで?
アイツらペラペラ喋ってくれちゃったわけね?
それでこの引っ付き虫こと、ティファが離れない訳ね?
「うざい。見張ってても関係ない。なんなら今すぐ出て行きましょうか?」
「最早氷河!!温かいスープも凍てつかせる程の冷たさです!!」
「あ、それいい例えだね?ティファ、スープのお代わり頂戴」
「はーい!」
ああん?あんたらちょっと前まで周りを巻き込んで喧嘩してた癖に、何いつの間に元に戻ってんのよ。腹立つわね?
いや、元通り、ではないのかしら?
「うーん、このスープ美味しいね?食感がコリコリしてるけどこれ何?」
「それは海藻の仲間なんです。牛でお出汁をとっているのであっさりとそれでいて食感がいい物をチョイスしました」
「へぇ?・・・・そうなんだ」
「・・・・・・はい」
腹立つわね。ナニコレ。
焦れったいのよ、あんた達二人。
それとも見せつけたいのかしら?
それを微妙な顔で見てるフィクスも鬱陶しいったらないわね。言いたい事があるならハッキリ言えばいいのに。
あ、言っても阿呆の子だから伝わんないわね?
ごめんなさい?
「ティファ!!ベロニカ!」
「え!ギャドさん?どうしました?そんな慌てて」
「何よ。何か用?」
どうしたのかしら?ギャドがこんなに慌てて、ここに来るなんて。今までそんな事なかったわよね?それにティファと私に用?
「セラが異空間に飲み込まれた!カスバールでそんな事例、あったか?」
「「!?」」
何ですって!!それってまさか・・・。
「それはいつの事です?セラさんが引き込まれて何時間経ってます?」
「9時間以上は。セラの屋敷の近くで突然現れたんだ。その後すぐ消えちまって、宰相とササラと、デズロ様に事情を説明して・・・今、皆で他の時空の歪みを探してるんだけどよ・・デズロ様がティファ達はカスバールの厄災を経験してるから、見た事があるかも知れないって・・」
嘘でしょ。
こんな所でもア・レ・が出現するなんて。
ちょっと待って?なら、あの石も近くにあるはず。
「ギャド、もしかしてセラ、虹色に光る石とか持ってなかった?」
その顔は心当たりがあるわね?じゃあ確定だわ。
それはアズラエルの門だわ。別名悪魔の出入り口。
「ギャドさん。その石、今持ってますか?」
「あ、ああ。ここに」
またこれを見る日が来るとはね。
一体こんな物どこから持ち込んだのやら。
「ハイトさん。ハイトさんの剣、暫く貸して貰えませんか?」
「今?何で?」
「時間がありません。今すぐここで異空間の扉を開いて、向こう側に行きます。私と・・・・」
「・・・しょうがないわね。付き合うわ」
何よ?何でそんな困惑顔で見るのよ?私だってちゃんと戦力になるわよ。馬鹿にしないで。
「ちょ、ちょっと待て?お前達その開き方わかるのか?」
「はい、簡単ですよ?その石に魔力を当てればいいんです。つまり、私か、ベロニカがその石を握れば扉は開きます」
そうなのよね。
その石のせいでカスバールにいた時、何頭魔獣や魔物を倒した事か。思い出しただけで胃がムカムカするわ。
「じゃあティファ達が扉を開いて俺達が中に入れば良くね?二人が行く必要ねぇだろ?」
「いいえ。普通の人間が中に入ると、まともに動けなくなります。私とベロニカは鍛錬を積んでいますから直ぐに動けますし、魔力も保持しているので、すぐ命が尽きる事はありません。セラさんが連れ去られて9時間。普通の人間ならとっくに手遅れですが。きっとセラさんは魔力をお持ちの筈です。ですが、それでも今ギリギリのラインですから」
さっさと私達に連絡してたらもっと余裕があったかもね。
でも今はそれどころじゃないわ。
「フィクス。私にも剣を貸して」
「・・・・・・・」
何迷ってるの?時間がないんだけど?
「命が尽きるってどういう事?」
ややこしくなりそうだわ。
だから嫌なの、ここの人達。甘いから。
「その空間に入ると常に魔力が奪われます。魔力が無くなれば次に奪われるのは生気です」
「ティファ。やっぱり俺もついていく。俺が行かねぇと」
面倒だわ。本当に時間がないのに。
ティファ?あなたどこに・・・・ん?デッキブラシ?
ダァァァン!!!
「さっきからごちゃごちゃと!時間が無いって言ってるんですよ!?我儘な人は一人残らず高速デッキブラシでゴシゴシ摩擦しますから!!」
あ。キレたわ。痛そうねソレ。
皮膚とか凄い事になりそうだわ。
「足手まといは黙って私にその石を渡して信じて待っていればいいんです!!御託は結構!!!」
「そうよ。こうしている間にもセラは確実に死に向かってる。勿論襲われる可能性もある。フィクス!!」
「・・・不本意だ。女性を危険な目に合わせるなんて」
渋々ね?まぁ貴方にしては遅い決断だけど許してあげるわ。彼女が死んでなかったらね。
「ハイトさん」
「・・・・・・・」
「信じて下さい。ハイトさんの剣、御守りがわりに貸して欲しいです」
「・・・・・もし、待っても戻らなかったら、僕も飛び込んで行くから。覚えておいて?」
だぁーーー!!急いでるって言ってんでしょうがぁぁ!!甘い空気出してんじゃないわよコラァァァァ!!
「デズロさんとササラさんに直ぐに連絡して下さいね?出口はヨシュアさんにします。1時間たっても私達が帰って来なかったら一度だけその石をヨシュアさん握って貰えますか?」
「俺の魔力で歪みを作るんだな?わかった」
「他の方はその時出現するかも知れない魔物に備えて下さい。あと、医療班も呼んでおいて下さいね?」
流石ね。
現役は退いても緊急時の対応に慣れてる。本当に勿体無いわ。しょうがないけど。
「あ!いけないです。クッキークッキー!メルローさん!その袋とって下さい!」
「え?お菓子持って行くの・・・あ、そうか」
「応急処置ですが。セラさんこの前少し私の料理食べたので多少は効果があった筈です」
「じゃあギャド。その石を貸して」
そんな顔しなくても、ちゃんとセラを連れて帰ってくるわよ。貴方達は知らないだろうけど、この人化け物じみた強さだからね?
「二人共、無理はするな。無事に・・・」
本当に久々だわ、こんな近くでこの門を見るのも。
最初は怖くて泣いたわねぇ。
ソレでティファに笑われたっけね?ああ~!ムカつく。
「ティファ!ベロニカ!」
「じゃあ、ちょっと行ってきます!後はお願いしますね?」
ムカつくけど。これがあんたと一緒に馬鹿する最後だと思えば、まぁ悪くない。最後ぐらい、ちゃんとあんたに恩着せたいしね?
「ベロニカ。泣いてないですか?」
泣いてないわよ阿呆。
あ、ふぅん?・・・・いい事思いついた。
「泣いてるのはあんたでしょ?ハイトと二度と会えないかも知れなくて寂しいんじゃない?」
「びょえ?!」
キモっ!何の声。そして何故か持ってきたデッキブラシをこっちに向けるんじゃないわよ!
遊びに行くんじゃないのよコラ!
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※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
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