最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

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第二章

セラは身長が伸びる事を所望する

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「ギャド様!ようこそおいで下さいました」

「ああ。久しぶりだな」

皆様御機嫌如何でしょうか?

何故かギャド様との婚約を結ぶことが出来ました、セラです。あれからギャド様は定期的に、こうやって私の屋敷に訪れてくれるようになりました。形式上仕方なくですが。くすん。

「マルクも久しぶりだな?背、伸びたか?」

「はい。伸びました。ギャド様もすぐに追い抜きます」

「そりゃいい。その日を楽しみにしてるぜ?」

まぁ?マルクったら生意気な事を言って。
あ、マルクは私の歳の離れた弟です。今10歳でとても可愛らしい子なのです。

「余裕ぶっこいてるのも今のうちだぞ筋肉野郎(ボソリ)」

「マルク?何か言いました?」

「いいえ?何も言ってないです!お姉様ー!」

ニパーー!!

まぁ可愛い。やっぱり私の弟可愛い。毎日愛でて抱きしめたいです!

「・・・・マルクは親父に似たな。可哀相に」

「え?そうですか?私もマルクも母親に良く似ていると言われますが?」

ギャド様?何故その様な微妙な顔をなさるのでしょう?

「今日はどうする?また茶でも飲むか?」

「あ、あの。良かったら外に出ませんか?屋敷を出て少し歩いて行くと、お花を栽培している土地がありまして、今とても綺麗なんです」

「花かぁ、いいぜ。行こう」

あ、やはり興味ありませんわよね?
きっとギャド様、私と過ごすお時間が退屈に違いありませんよね?分かります。ギャド様分かりやすいんですもの。

「そういえば暫、宮廷を離れてらっしゃいましたが、どちらに?」

「この前サンチコアの街に魔物が現れただろ?それで今他の所も異変がないか調べてるんだよ」

「成る程。それで、原因は判明しそうですか?」

「それがよぉ。どうも何も無い所から魔物が突然現れるらしいんだ。サンチコアほどでは無いが各地で魔物が出現しているみてぇだな」

・・・それは、結構深刻な事態では?
原因が掴めないのなら防ぎようがありませんよね?

「・・・・何処かを住処にしているわけではない魔物が突然現れるのなら、作為的に送られてくるか、もしくは彼等の住処とこちらに道・が出来てしまった、とか?」

「は?」

「私、学生時代は生態学を学んでいましたから、魔族に対する知識も少しだけございます。彼等は私達の世界以外にも住処が在ります。その場所に住めない生き物がこちら側を住処にしているのです。ただの仮定ですが、何かの拍子で時空が歪んだとして、それが原因で魔物が出現しているのではと」

ギャド様?すみません私、説明が下手でしたでしょうか?
要領を得ない様な顔をしておりますね?

「えっと、色々突っ込みたいところだが、空間が歪むなんてことあるのか?」

「はい。小さな歪みはよくあることみたいですが、生き物が通れるほど、と、なると。厄災レベルだと思います。
もしかしたらカスバールの数年前の災害の被害が拡大したのもこれが原因なのかも知れませんね。サウジスカルにも厄災の兆しが訪れているのかも知れないです」

「歪みの原因は何か、見当はついてるのか?」

「それは、私にはなんとも。空間の歪みに関してならササラ様の方がお詳しいのでは?すでにその可能性を視野に入れてお調べになっているかも知れないです」

「ちげぇねぇな。俺に言わないということは、まだはっきりと断定出来ないんだろうな」

やはりギャド様はこういう話をしている方がイキイキしてますわね?お父様もおっしゃってました、ギャド様はなんだかんだで仕事大好き人間なんだって。

「あ、ここです!結構綺麗ではありません?」

「うお!!すげぇやこりゃあ。鮮やかだなぁ」

この辺りではこの場所が一番見応えがありますから。
まぁ直ぐに収穫されてしまいますから、今だけしか見る事が出来ませんが。

「あ、そうだ。この前その調査に行った時、見つけたんだけどな、セラ昔趣味で石集めてただろ?これ綺麗だったからお土産な」

ギャド様、石って・・・・。

ただの石ころを無邪気に拾っていた訳ではないですよ?
私が集めていたのは水晶です。水晶の原石。

ギャド様が下さるものならなんでも頂きますけれど、勘違いしないで下さいね?あら?でも、とても綺麗ですね?
見た事がない石ですわ。光の加減で虹色に・・・・。

「綺麗。ありがとうございます、ギャドさ・・・・」

「ーーーーっセラ!!」

え?ギャド様?なんですか?そんな怖い顔して、何を見て・・・・。あら?目の前が、真っ暗。

もしかしてこれは、緊急事態では?
今、意識を失ったら、絶対駄目なタイミングですわよね?
ギャド様の手を掴まなければ!

「ギャド・・・・さ・・・」

もう少し腕が長ければ、ギャド様の伸ばしている手に届きましたのに!!ごめんなさいギャド様。

「クソッタレ!!なんで突然空間が・・・」

「お姉様!!」

私、次生まれ変わったら絶対背を高くしてもらいます。
神様を脅してでも、ティファ様くらいの身長を所望しますわ!!

胸なんて、胸なんて、全然全くなんの役にも立ちませんーーーー!!
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