最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

文字の大きさ
118 / 144
第三章

ハイトは狼狽える

しおりを挟む
あのね?

僕はティファの事だから、また斜め上の方向に僕の言ったこと解釈して、まともに受け取らないんだろうなって思ってたんです。だって今までだってそうだったですし?

だから、ちょっと。これはどうしたらいいか迷う所ですよね?

「・・・・・ハイトさん。私の事、嫌いにならないです?」

ぐはぁ!!か、可愛い!
え?これは何?なんの罠?僕どこかで変なキノコでも食べて幻覚でも見てるのかな。あーあーしまった!僕なんで安易に抱っこさせてなんて言ったんだろ!THE生殺し!

なんとか安心させるような返答を口に出来た自分を褒め讃えたい!だけどそろそろ限界です!ティファさん!降りましょうか?

「ティファ。そろそろご飯の支度する?」

「・・・・まだ、もう少し時間があります。大丈夫です」

いや!僕が大丈夫じゃないんだけど?ティファさん?

ちょっと前まで警戒しまくりで僕が近くに寄ろうとすると万全の体制で見えない防壁を作っていた人とは思えないですね?うぐぐ!ここはティファを小さい子供だと思う事にしよう。幼児!この子幼児だから!!

「ハイトさんの手って結構大きいですよね?私の手も大きいですが」

「そう?確かにティファ指が長いよね。だから器用なのかな?」

「器用ではないですよ?料理はいっぱい練習して習得しましたから」

あ・・・・駄目だこれ。やっぱ無理。
大体さ。好きな女の子が自分の腕の中にいて、こんな近い距離で可愛く微笑んでるのに、我慢出来る奴とかいるの?いないよね?うわぁほっぺすべすべだ。

「ハイトさん?」

スパーーーーーーーン!!

「ハイト、ここ厨房。皆んなの憩いの場で何、いかがわしい事しようとしてるんだよ」

「あ。フィクスさん」

「ティファ・・・・"あ。フィクスさん"じゃないぞ?簡単に男の膝になんて乗るんじゃありません!」

「は!すみません」

あ、危なかった。今のは本当に危なかった!
ありがとうフィクス。そして余計な事言うなよ。

是非また抱っこさせて下さい。

「皆んな、中に入れなくて困ってたぞ?イチャつくなら見えない所でやれ」

「い、イチャついてません!!ね?ハイトさん?」

「そうだよ。僕とティファ普段通りだったでしょ?」

「もう一発ハリセン食らいたいか?ハイトさん?」

うん。遠慮しとく。
ティファも泣き止んだみたいだし概ね満足。ご飯食べよ。

最近暑くなってきたからトマト料理が増えて来たね?
鶏肉のトマト煮込みだ。美味しそう。

「あ、食べる前にお好みでチーズをかけて下さいね?粉チーズあります!」

粉チーズかけて下さい!!
はい、お願いします!はい!はい!

「ハイトさんって・・・・」

「ん?何?」

「いえ。本当に食べるのが好きなんですね?」

「そうだね?ティファのご飯を食べるのが好きだね?」

今日は具入りパンだね?
あーーー美味しいぃ。幸せぇ。

「・・・・お、美味しいですか?」

「美味しいティファ。最高」

「・・・・・・・ありがとう、ございます」

ん?なんだろ?なんか変な空気になってない?
フィクス?何?その信じられないものを見る目。
あれ?視線があちらこちらから・・・・・・。

「ティファ。そうやってハイトを甘やかすから・・・・ティファにも責任、あると思うぞ?」

「ブフゥーーーーー!!」

「あー嫌だ嫌だ。俺も彼女欲しい・・・」

ティファ?なんでそんな熟れたトマトみたいになってるの?僕おかしい事言った?いつも通りだよね?

「良かったわねハイト。ちょっとは希望が見えて来たみたいで」

ベロニカまで何を言ってるの?
ティファもさっきから僕の方を見たまま目を離さないけど一体どうしたんだろうね?もっと感想が欲しかった?

「え?もしかして、お代わりあるの?」

「「「どんだけ食うんだよ!!」」」

さっきガッツリ精神削られたから補充してるんだよ!!
そして実は、かなり狼狽えてます。

「ご馳走さまでした。じゃ僕、仕事戻るね?」

これ以上ティファを見てたら物凄く期待してしまいそうなので、エネルギー補充して、さっさと仕事に戻ります。
きっと仕事から帰る頃には頭も少し冷えているはずですからね?

「ハイトさん!」

追いかけて来てますね?止まる以外の選択肢、僕には残されていません。全神経を集中させて自制しましょうね?

「うん?どうしたの?」

「あの、あの・・・・・返事なんですが」

・・・返事?え?!返事くれるんですか?ティファさん?

「ちゃんと考えてます私。だから、もう少し待ってもらえますか?」

「・・・・・もちろん。待ってる」

あの。皆さんに意見を伺ってもいいですか?
この子、実はもう。僕の事好きなんじゃないですかね?
自惚れるな?あ、はい。すみませんでした。
勘違いですね?それでいいですよ。今は、まだ。

「じゃあ、行ってきます!」

「はい!行ってらっしゃい。ハイトさん」

うわぁ・・・・。眩しっ!なにその笑顔。
僕汚れた心が浄化されそうです。危険です。

あともう少しで建物の影に入りますから頑張れ僕!
ダハーー!!

「ぐぁああああああ。可愛いーー!!僕限界ぃ」

これ、気付かれなかった時より実は我慢が必要になるのでは?・・・天国と地獄とはまさに、この事だね?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

処理中です...