最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

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第三章

ササラはデズロの過去を知る

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「初めまして。ササラ・マスカーシャと申します」

「テゼールです。話は伺っております」

私も話に聞いた通りで驚きました。
デズロ様本当にご兄弟いたのですね。
やはり血が繋がっているだけあって似ていますね?見た目だけに限られますが。

「長旅でお疲れなのに、ご助力感謝致します」

「構いません。ティファの起こした騒動ですから。ご迷惑をお掛けしているのは、こちらです」

「・・・・ティファを気に掛けていらっしゃるのですね?ティファの話とは随分違うようです」

「なんですかそれは。一体何の話ですか」

困りましたね?
この人本当に真っ当な人間だ。
何故、同じ親からこんなにも違う人間が生まれるんでしょう?不思議ですね。そして、ティファと合わないのがよく分かります。あの子完全にデズロ様属性ですから。

さぞ、一緒にいて肝を冷やしていたでしょうね。お気持ち良く理解できます。私も被害者ですので。

「ティファは貴方に嫌われていると勘違いしてますから。別にそうでは、ないのですよね?」

「当たり前です。何故そうなるんだ。あの子はいつも、こちらの言っている事がまるっきり通じない。私は普通でいろと言っているだけなのに」

・・・・・あー。それは。

コレはきっとベロニカの特効薬を作るより難解な問題かもしれませんね?皆様もそう思いませんか?どうしたものか。

「貴方はデズロ様の弟君なのに。デズロ様の事を分かっておられないのですね?」

「・・・・ティファが、デズロと同じだと?」

「同じではありませんが、似ています。彼女は貴方と血の繋がりはありますが、貴方の子供ではありません。貴方には似ていないのですから、貴方の様になるのは無理ではないですか?」

「何も、私の様になれとは言ってません。私はあの子に安全な場所で、平穏に暮らして欲しかっただけです。あの国で料理店など開いたら賊どもの格好の餌食になります。私はそれが嫌だっただけだ」

「それならば、そう、言ってあげてください」

違う方向でデズロ様と似てるんですね?デズロ様は言えなくて貴方は言葉が足りなすぎる。不器用ここに極まれり。

「そんな事、わざわざ口になど出さなくとも・・・」

「伝わりませんよ?彼女にはハッキリと口にしなければ通じません。どんな事でも。貴方達はあの子を愛していると言って抱きしめたことがあるのですか?」

「・・・・・・」

あ、無いんですね?
そして厳しく叱りつけて育てていたのですね?
まぁ、良くある話ではありますが。

「し、しかし。それはメリルだって同じです。私は二人を分け隔てなく育てました。同じように接してきました」

「・・・・そうなのですね。では、それが間違いだったのでしょう。メリルがいいからティファもそれでいいとは限りません。逆も同じですが。貴方はティファが何も気が付かなかったとお思いなのですか?」

「・・・・それは」

「彼女は気付いていましたよ?あなた方が本当の自分の両親ではないと」

おや?驚いていますね?
ティファは全く気付いてないと思っていたようですね?子供だからと舐めていたんですね?子供は聡いですよ。大人なんかより、ずっと。

「・・・だからティファは家を出たと?」

「さぁ?勘違いしないで頂きたいのですが、私は別にあなた方を責めているわけではありません。どこの家の家族にも様々な事情があります。そのやり方に口を出す気はありません。ただ、今はもうあの子は私の妹ですから」

「・・・・関わるな、と?」

「いいえ。でも、彼女はきっと、大きな傷を抱えています。それが何かは分かりません。もし、その傷が貴方達との思い出なら私は関わらせたくはありません。もし、このままティファが拒絶し続けるなら、もう、そっとしておいてやって下さい」

例え相手にその気がなくても、一緒にいる事で傷付き続ける事もある。私の母だった人が、そうだったように。

「なにが・・・・いけなかったんだろうな」

そうですね。なにがいけなかったんでしょうかね?
やはり、ティファがデズロ様に似すぎていた事なんでしょうか?それとも・・・・・。

「テリアーゼと、約束したんだ。ティファを、守ると」

「テリアーゼとは、ティファの本当の?ティファを産んですぐ病で亡くなられたのですよね?」

「・・・・君は、聞いてないのだな?」

それは、デズロ様が私に嘘をついたという事でしょうか?
あの人・・・それなら中途半端に教えなきゃいいのに。

「違うのですか?」

「そうだな。私達は自分達とティファを隠す事で精一杯で、それであの子を守っていた気になっていたのかもしれないな。・・・・ティファの母親は殺されたんだ」

身を隠す?殺された?

「一体何から隠していたのです?その頃デズロ様はカスバールの宮廷に勤めていたはず。自分の子供ならそこで・・・・・・・・っ!」

失念していました。
何故、宮廷が安全などと思い込んだんでしょうね?私も大分頭の回転が鈍くなっているようです。デズロ様が宮廷にいた頃の国王はアトレイヤではないです。

欲にまみれ数々の隣国に戦争を仕掛け、自国の民をまるでオモチャのように扱ったと言われる、史上最悪の愚王ベルシャナ・ディムレム。

「まさか、ティファの母親は国王に殺されたのですか?」

「そうだ。それも・・・死体はバラバラにされて、デズロが駆けつけた時は、もう手遅れだった。あの男は、デズロに執着した。自分の欲望を満たす為だけに。私は、あの悪魔共からティファを守るのに必死だった」

信じられない。デズロ様がそんな事をされて、まともに今立っていられるなど・・・・。国王を殺したとして、それでも生きていられるなんて。

「私は、ティファが無事生きているのなら、それでいい。ここで幸せに暮らしたいのなら、そうすればいい。邪魔はしない。きっとテリアーゼも、喜んでくれるだろう」

そうですか。

その割にはハイトに向ける視線が日に日に険しくなっているという情報があるんですけどね?
言いたい事があるなら、ややこしくなる前に口に出した方がいいと思いますよ?余計な事かも知れませんが?
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