最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

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第三章

エリスは刺激を求めている

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この国って本当に、デズロがいないと全然駄目なのね?
全く纏まりがないわ。大丈夫なのかしらね?
まぁ私は関係ないけど?

「エリス。私はまだ仕事中なんだけどね?」

「知ってるわよ?だから邪魔しないよう膝で待機してるでしょう?」

「いや、充分邪魔なんだけれど?私は用があるなら部屋で待てと言った筈だけどね?」

「あ、これ間違ってるわよ。コイツは後衛支援じゃなく前衛よ。誰よこれ書き間違えたの」

慣れもしない事しようとするから業務が滞るのよ?
しかもこの国、デズロとササラ以外まともな魔術師が居やしない。大変だわね?貴方も。

「エーリース。お願いだから言う事聞いてくれないかな?どうしたら離れてくれる?」

「そうねぇ?じゃあ・・・キスして?」

ササラ一度は私に手を出した癖に、あれから手を出して来ないのよね。まぁ、この人モテそうだし、ただの好奇心だったのかしらね?ちょっと面白くないわね?

「それは、どういう意味かな?」

どういう意味?何かしらそれ?そのままの意味だけど?

「エリス。私は基本的に遊びで女性とこういう事はしない。あの時はあれが一番いいと判断したが、する必要がない事を私はするつもりはない。だが・・・」

「だが?」

「本気なら話は別だ」

え?なにそれ?ササラあんた結構面白い事言うのね?

「ハッ!あんたが私に本気?それとも私が?笑える冗談ね?」

「そうだろうね。じゃあ離れなさい」

ええ?何それぇ。結局そこなの?なんだつまらないわね?

「い・や」

「あ、そうですか」

「おい、エリス。いい加減にしてくれよ。ササラの業務が滞る。そして、あらぬ噂がいつまでたっても止まらねぇ」

あら?こんな所に堂々と入ってくるなんて流石ギャド。
デリカシーがないわね?でも嫌いじゃないわよ?貴方のそういう慣れてないト・コ・ロ。

「あら?じゃあギャドが私と遊んでくれる?」

「いいぜ?何する?鬼ごっこでもすっか?」

完全にガキ扱いね?
婚約者にもその態度なのかしら?貴方の婚約者見た目だけなら私より幼いものね?お陰で貴方ロリコン呼ばわりですものね?

「つまらないわねぇ。まぁ宿舎の仕事もあるし、そろそろ戻るわ。じゃあササラ、またね?」

「ギャド。悪いがエリスを外まで送ってくれ」

「あいよ。あ、ササラコレ頼まれたから渡しとく」

別にわざわざ送ってくれなくてもいいんだけど。
その所為で私に声をかけたい男達が私に寄って来れないじゃない。まぁ別にいいけど。

「ラットはどうしたんだよ。お前らセットだろ?」

「は?やめてくれる?極力別行動でお願いしたいわ。アイツといると色々疲れるのよね」

「そういや、デズロ様さっき帰って来たみたいだぞ?」

「え!嘘!!なんでそれ早く言わないのよ!!知ってたらこっち来なかったのに!」

「・・・なんだかんだでお前らデズロ様好きだよなぁ」

そうね?あの人頭おかしいけど飽きないのよね?
離れてみて、それがよく分かったわ。私もっと刺激が欲しいわ!!

「アレ?ギャド、何こんな所でサボってるの?その子は確かエリスちゃん?」

「陛下こそ何気軽に出歩いてるんですか?俺はエリスをそこまで送ったら、すぐ仕事に戻ります」

あら?この人確か新しい王様ね?前も何度か見かけたけどこんな感じの人だったかしら?なんか、雰囲気変わった?

「そうなんだ?そういえばカスバールから返答があったよ?聞きたい?」

「ここで聞かなくても、どうせ皆んなに報せるんでしょう?その時でいいです。では」

ギャド?どうしたの貴方そんな丁寧な話し方して。
前はもっと気安くなかったかしら?ん?何、アレ。

「あの、その枝は何です?宮廷の中にそんな物ありましたか?」

あら?余計な事聞いた?
つい気になって聞いてしまったけれど・・・。

「ああ。コレね?ちょっと散歩してたら見つけたんだ。綺麗じゃない?」

確かに、白い枝に青い花がついているわ。でも、これ普通の枝じゃないわよね?

「本当に綺麗ですわ。それ、処分するのなら私に頂けません?」

「おい、エリス!」

ちょっとギャドは黙って欲しいわ。
私もただ遊んでるだけじゃないのよ?

「ごめんねぇ良いよって言ってあげたい所なんだけど、これは俺の愛しい奥さんに贈るつもりだから」

・・・・そう?後悔しても知らないから。
せっかく私が珍しく気を利かせてあげたのに。

「残念ですわ。とても仲が宜しいのですね?皇妃様がお羨ましいです」

「君は若くて綺麗だから、きっと良い相手に恵まれるさ」

「ふふ。陛下にそう言って頂けるなんて光栄です」

本当に。この国の人間って大丈夫なのかしら?
もし、デズロが帰っているなら、この事言っておいた方がいいわね。

「お前、あんな枝なんか欲しがるなよ」

「ギャドは面白いわね?私がただの枝を本気で欲しがると思う?まぁ普通の男ならそれが何であれ私に差し出すでしょうけどね?」

「お前・・・本当にとんでもねぇガキだな」

そうかしら?貴方達がおかしいのではない?あ、違うわね。真っ当な人間なのね。でもそれこの世界では少数派よ?残念ながらね。ん?

「あ。そうか、だから?ササラはちゃんと分かっていたのね?」

「おい?なんの話だ?」

「別に。あんたはずっと、そのままでいたらいい。私を本気で子供扱いする人間なんて天然記念物だもの。貴重だわ」

「は?」

本当に真っさらな人間なんて、この世に存在するのね?
前ならぐちゃぐちゃにしてやりたいと思ったかも知れないけれど、今はそうでもないわ。だって面白いものね?

だからまぁ。少しくらい調べてやってもいいかしら?
あの枝・・・・・・・明らかに危険だもの。
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