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第三章
ティファは知りたい
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「ティファ。ハイトはこの国にある大樹の一部で出来ているらしいんだ。俺達も、その事をハイトから聞かされてなかった。今、セルシス様を操って大樹がハイトを取り返そうとしている。俺達はそれを知ってから、ずっと二人を見張ってた」
ギャドさんの話を聞いても正直な所、全くピンと来ませんでした。だって、ハイトさん何処からどう見ても人間ですし変幻していれば私には分かりますから。でも、ギャドさんはそんな嘘はつかないのでハイトさんが狙われている、という部分だけ理解しました。
「今、セルシス様がハイトの所に向かって行った。理屈は分からんが、どうやらハイトが自分の一部だという事が大樹に知れたらしい」
ほお?じゃあ今まで隠し通せていたんですね?
ハイトさん凄いです!こんな近くで働いてたのに。
でも、じゃあなんで今更バレたんでしょう?
「セルシス様がハイトを捕らえようとした瞬間を狙ってハイトを逃す。ティファは、デズロ様と一緒に大樹に登った事があったよな?」
「はい!でも・・・・私は、なんともありませんでしたよ?」
「そうなんだよ。多分ティファは大樹に触っても操られないと思う。もしかしたら、この国の皇帝は大樹に触ってはいけないのかもしれない。仮説なんだが・・・」
つまり、今までこの国の皇帝しか操られた事がない、という事でしょうか?
「じゃあもし、その一部をセルシス様が持ってたら私がもぎ取ってしまえばいいわけですね?分かりました!」
まだ内容がよく分かっていませんが、とにかくハイトさんが連れて行かれなけばいいのですね?分かりました!
私もハイトさんが連れて行かれるのは嫌なので、協力させて頂きます!
途中まで、とってもうまく行ってましたよね?
ハイトさん驚いてましたが、一緒に逃げてましたし、そのままカスバールまで一緒に旅するのも楽しいかも!ワクワクとか思ってました。それがいけなかったんですね。
でも、あんな形で連れて行かれてしまうなんて、思わなかったんです。
初めて、唇に触れたハイトさんの温もりは、すぐ失くなってしまいました。
「僕を信じて。ティファ」
「・・・・・え?」
ハイトさん、死んでしまったりしないんでしょうか?
だってあんなに血が出てました。それに、まるで永遠の別れみたいで、あの時の族長みたいで・・・・。
信じたいです。ハイトさん。・・・・でも、怖い。
私ずっと怖かったんです。また、失ってしまう事が。
「さて。来たはいいが、どうやって会ってもらうかなぁ」
「とりあえず。素直に状況を話してみるしかないな」
「・・・・大きい家なんですね?」
「ああ。ティファは初めてだもんな。でも、これでも小さい方だぞ?ギャドの実家はこの倍ある」
え?あ、そうでした。ギャドさんいい所のご子息でしたっけ?ほぇー皆さん普段貴族らしさが全く感じられないのでこうやって見て改めて実感させられます。
ギィィーーーーー。ガチャン。
「え?門が開いた?」
「え?俺まだ何もしてねぇぞ?」
「お客様、お待たせ致しました。どうぞ中へお入りくださいませ」
おお!執事さんです!流石お金持ち!!佇まいも上品です!!
「お客様って。俺達、事前に連絡はしてないんだが?」
「はい。ですが奥様はご来訪をお待ちしていたようです。ハイト様の事でございましょう?」
バレてました。でも、当たり前ですよね?あれだけ街で騒ぎがあれば誰だって気付きます。
屋敷の中はとても落ち着いた雰囲気のお屋敷です。
なんだか、心が穏やかでいられる、そんな空間。
派手すぎずでも、質素過ぎない感じです。
「どうぞ、こちらの部屋です」
ハイトさんのお母さん。
なんだか、とてもドキドキします。
「失礼します」
どんな方でしょうか?
ハイトさんのイメージから想像するのはおっとりしてそうな人です。でも、たまに怖いのでお母さんは実はキツイ方なんですかね?
「・・・・・・・っ」
「・・・え?」
「お待ちしておりました」
・・・・・これは?何故でしょうか。
「これは、一体、どういう事でしょう?ヘリム様」
「どうもなにも見たままです。彼女がハイトの母セシリア。
もうずっと眠ったままですが、まだ、生きています」
生きている?でも、でもこの人・・・まるで死人みたいですよ?
「君がティファですね?ハイトから、話は聞いています」
「え?」
「ティファ、セシリアに触れてみて下さい」
え?いいんですか?皆んな私を困惑気に見ていますが。
えっと、じゃあ失礼します。
「・・・・・ふふ。そんなに怖がらないで。大丈夫よ?体が崩れたりなんてしないわ」
「!!」
え?喋った?アレ?皆んなどこに行ったんですか?ハイトさんのお母さんいつの間にかベッドに座ってこちらを見ています!どうなってるんでしょうか?
「何から話せばいいのかしら?ゼクトリアムはね、元々最初は無害な精霊の卵だった。それがこの地に根を張って大きな大きな木になったの。私達の先祖がこの地に埋めたのよ。それが彼との約束だったから」
「約束、ですか?」
「ええ、約束。私もその意味が分からなかった。ハイトが産まれるまでは・・・・」
ハイトさん。私、ハイトさんの事、知りたいです。
でも、いいんでしょうか?こんな形で知ってしまって。
「私達と一緒にいる為に。共に生きる事を望んだ精霊は全てを捨ててこの地に降り立った。でも、その約束はこの地がレインハートに治られた事で忘れ去られたのよ。私達は、何故自分達が大樹の核を手元で守っていたのか、まるで理解していなかった」
ハイトさんは、どんな気持ちで過ごしていたんです?
「何百年、何千年経っても会いに来ない私達に大樹は遂に私達を見限った。そして、それがどれだけ辛い事が分からせる為に私の子供を奪って行こうとした、でも」
大樹は、それに失敗したんですね?それで、ハイトさんが産まれたんですね?
「ずっと大樹からハイトさんを隠していたんですか?」
「隠していたんじゃない。愛していたのよ。大樹とハイトを」
「愛?」
「そう。決して寂しがらないように毎日毎日愛情をたっぷり注いだ。ハイトはね、最初、人の様な感情はなかったの、それをゆっくり育てていった。そんなある日、気が付いたの。ハイトは物を食べる時、とても不味そうに食べているって。感情を滅多に表に出さないハイトがね」
その時から食に対する執着があったのですね?凄いです。
じゃあもしかして食べるのが好きなのは子供の頃の思い出もあったのでしょうか?
「ティファ。ハイトは人と大樹とが混ざり合ってしまった中途半端な存在なの。彼は人としての機能をちゃんと備えていなかった。その一つが味覚なのよ」
「・・・・・・・・・味覚?」
いや、そんな、まさか。
だってハイトさんいつも・・・・・。
「ハイトはね、食べ物の味が殆ど感じられないの」
美味しいって・・・・・言ってたのに。
ギャドさんの話を聞いても正直な所、全くピンと来ませんでした。だって、ハイトさん何処からどう見ても人間ですし変幻していれば私には分かりますから。でも、ギャドさんはそんな嘘はつかないのでハイトさんが狙われている、という部分だけ理解しました。
「今、セルシス様がハイトの所に向かって行った。理屈は分からんが、どうやらハイトが自分の一部だという事が大樹に知れたらしい」
ほお?じゃあ今まで隠し通せていたんですね?
ハイトさん凄いです!こんな近くで働いてたのに。
でも、じゃあなんで今更バレたんでしょう?
「セルシス様がハイトを捕らえようとした瞬間を狙ってハイトを逃す。ティファは、デズロ様と一緒に大樹に登った事があったよな?」
「はい!でも・・・・私は、なんともありませんでしたよ?」
「そうなんだよ。多分ティファは大樹に触っても操られないと思う。もしかしたら、この国の皇帝は大樹に触ってはいけないのかもしれない。仮説なんだが・・・」
つまり、今までこの国の皇帝しか操られた事がない、という事でしょうか?
「じゃあもし、その一部をセルシス様が持ってたら私がもぎ取ってしまえばいいわけですね?分かりました!」
まだ内容がよく分かっていませんが、とにかくハイトさんが連れて行かれなけばいいのですね?分かりました!
私もハイトさんが連れて行かれるのは嫌なので、協力させて頂きます!
途中まで、とってもうまく行ってましたよね?
ハイトさん驚いてましたが、一緒に逃げてましたし、そのままカスバールまで一緒に旅するのも楽しいかも!ワクワクとか思ってました。それがいけなかったんですね。
でも、あんな形で連れて行かれてしまうなんて、思わなかったんです。
初めて、唇に触れたハイトさんの温もりは、すぐ失くなってしまいました。
「僕を信じて。ティファ」
「・・・・・え?」
ハイトさん、死んでしまったりしないんでしょうか?
だってあんなに血が出てました。それに、まるで永遠の別れみたいで、あの時の族長みたいで・・・・。
信じたいです。ハイトさん。・・・・でも、怖い。
私ずっと怖かったんです。また、失ってしまう事が。
「さて。来たはいいが、どうやって会ってもらうかなぁ」
「とりあえず。素直に状況を話してみるしかないな」
「・・・・大きい家なんですね?」
「ああ。ティファは初めてだもんな。でも、これでも小さい方だぞ?ギャドの実家はこの倍ある」
え?あ、そうでした。ギャドさんいい所のご子息でしたっけ?ほぇー皆さん普段貴族らしさが全く感じられないのでこうやって見て改めて実感させられます。
ギィィーーーーー。ガチャン。
「え?門が開いた?」
「え?俺まだ何もしてねぇぞ?」
「お客様、お待たせ致しました。どうぞ中へお入りくださいませ」
おお!執事さんです!流石お金持ち!!佇まいも上品です!!
「お客様って。俺達、事前に連絡はしてないんだが?」
「はい。ですが奥様はご来訪をお待ちしていたようです。ハイト様の事でございましょう?」
バレてました。でも、当たり前ですよね?あれだけ街で騒ぎがあれば誰だって気付きます。
屋敷の中はとても落ち着いた雰囲気のお屋敷です。
なんだか、心が穏やかでいられる、そんな空間。
派手すぎずでも、質素過ぎない感じです。
「どうぞ、こちらの部屋です」
ハイトさんのお母さん。
なんだか、とてもドキドキします。
「失礼します」
どんな方でしょうか?
ハイトさんのイメージから想像するのはおっとりしてそうな人です。でも、たまに怖いのでお母さんは実はキツイ方なんですかね?
「・・・・・・・っ」
「・・・え?」
「お待ちしておりました」
・・・・・これは?何故でしょうか。
「これは、一体、どういう事でしょう?ヘリム様」
「どうもなにも見たままです。彼女がハイトの母セシリア。
もうずっと眠ったままですが、まだ、生きています」
生きている?でも、でもこの人・・・まるで死人みたいですよ?
「君がティファですね?ハイトから、話は聞いています」
「え?」
「ティファ、セシリアに触れてみて下さい」
え?いいんですか?皆んな私を困惑気に見ていますが。
えっと、じゃあ失礼します。
「・・・・・ふふ。そんなに怖がらないで。大丈夫よ?体が崩れたりなんてしないわ」
「!!」
え?喋った?アレ?皆んなどこに行ったんですか?ハイトさんのお母さんいつの間にかベッドに座ってこちらを見ています!どうなってるんでしょうか?
「何から話せばいいのかしら?ゼクトリアムはね、元々最初は無害な精霊の卵だった。それがこの地に根を張って大きな大きな木になったの。私達の先祖がこの地に埋めたのよ。それが彼との約束だったから」
「約束、ですか?」
「ええ、約束。私もその意味が分からなかった。ハイトが産まれるまでは・・・・」
ハイトさん。私、ハイトさんの事、知りたいです。
でも、いいんでしょうか?こんな形で知ってしまって。
「私達と一緒にいる為に。共に生きる事を望んだ精霊は全てを捨ててこの地に降り立った。でも、その約束はこの地がレインハートに治られた事で忘れ去られたのよ。私達は、何故自分達が大樹の核を手元で守っていたのか、まるで理解していなかった」
ハイトさんは、どんな気持ちで過ごしていたんです?
「何百年、何千年経っても会いに来ない私達に大樹は遂に私達を見限った。そして、それがどれだけ辛い事が分からせる為に私の子供を奪って行こうとした、でも」
大樹は、それに失敗したんですね?それで、ハイトさんが産まれたんですね?
「ずっと大樹からハイトさんを隠していたんですか?」
「隠していたんじゃない。愛していたのよ。大樹とハイトを」
「愛?」
「そう。決して寂しがらないように毎日毎日愛情をたっぷり注いだ。ハイトはね、最初、人の様な感情はなかったの、それをゆっくり育てていった。そんなある日、気が付いたの。ハイトは物を食べる時、とても不味そうに食べているって。感情を滅多に表に出さないハイトがね」
その時から食に対する執着があったのですね?凄いです。
じゃあもしかして食べるのが好きなのは子供の頃の思い出もあったのでしょうか?
「ティファ。ハイトは人と大樹とが混ざり合ってしまった中途半端な存在なの。彼は人としての機能をちゃんと備えていなかった。その一つが味覚なのよ」
「・・・・・・・・・味覚?」
いや、そんな、まさか。
だってハイトさんいつも・・・・・。
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美味しいって・・・・・言ってたのに。
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第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
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