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ある女の狂気3
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「……ルシトリアに、新しい聖女が現れたと聞きました。ですが、必ず私が消してみせます。ルイス陛下の手を、けして患わせません」
この御方の為に、不要な邪魔者を消すことは、誉れ。
それが気に食わない、お奇麗顔した聖女なら、胸の苛立ちも解消されて、なおのこといい。
苦しめ、貶め、殺し尽くして。
その成果を必ず陛下に捧げます。
だって私は、貴方様だけの為に存在する、【聖女】なのですから。
「……そのことだけど、な。ユーリア」
ルイス陛下は口元に手をあてながら、悪戯っぽく微笑んだ。
……こんな顔、他の誰かにされたら不快以外の何物でもないのだけど、陛下がすると、何とまあ愛しく美しいことだろう。
ほおっと陛下に見とれていた私だったが、次に陛下の麗しい唇から発せられた言葉に固まった。
「今度の聖女は、生かしておこうと思う。……その方が、有用だ」
さあっと血の気が引き、唇が、震えた。
「……へい、か……それは……」
ーーそれは、長年貴方様に仕え続けた私よりも、【聖女】を重用すると、そういった意味ですか。
がらがらと、足元が崩れ去っていくような気分だった。
【聖女】の名を騙る【災厄の魔女】と、正真正銘の【聖女】ーー私の【厄】をうち消せる時点で、どちらが本当の意味で優れているかなんて、明白だった。
それに噂の聖女は、まだ十代だと聞く。……私より、二十近くも若いのだ。
二十年近くの歳月は、陛下の美しさを少しも損なうことはなかったが、私に対しては違った。
美しさを維持する為に必死に努力をし続けて来たが、私の容貌はあの頃に比べてすっかり衰えている。
肌はたるみ、顔には無数の小さなしみや皺が現れ。
自慢だった華やかで美しい髪の毛も、脂っ気が無くなり、色がくすんだ。
若いというのは、それだけで財産だ。凡庸な顔立ちの取るに足らない女でも、若いというだけで、時に私よりも「美しい」と称されることすらある。
ーーああ、どうしよう。
忌々しい【聖女】に、ルイス陛下を奪われてしまう。
私には、ルイス陛下が全てなのに。
この御方の為に、不要な邪魔者を消すことは、誉れ。
それが気に食わない、お奇麗顔した聖女なら、胸の苛立ちも解消されて、なおのこといい。
苦しめ、貶め、殺し尽くして。
その成果を必ず陛下に捧げます。
だって私は、貴方様だけの為に存在する、【聖女】なのですから。
「……そのことだけど、な。ユーリア」
ルイス陛下は口元に手をあてながら、悪戯っぽく微笑んだ。
……こんな顔、他の誰かにされたら不快以外の何物でもないのだけど、陛下がすると、何とまあ愛しく美しいことだろう。
ほおっと陛下に見とれていた私だったが、次に陛下の麗しい唇から発せられた言葉に固まった。
「今度の聖女は、生かしておこうと思う。……その方が、有用だ」
さあっと血の気が引き、唇が、震えた。
「……へい、か……それは……」
ーーそれは、長年貴方様に仕え続けた私よりも、【聖女】を重用すると、そういった意味ですか。
がらがらと、足元が崩れ去っていくような気分だった。
【聖女】の名を騙る【災厄の魔女】と、正真正銘の【聖女】ーー私の【厄】をうち消せる時点で、どちらが本当の意味で優れているかなんて、明白だった。
それに噂の聖女は、まだ十代だと聞く。……私より、二十近くも若いのだ。
二十年近くの歳月は、陛下の美しさを少しも損なうことはなかったが、私に対しては違った。
美しさを維持する為に必死に努力をし続けて来たが、私の容貌はあの頃に比べてすっかり衰えている。
肌はたるみ、顔には無数の小さなしみや皺が現れ。
自慢だった華やかで美しい髪の毛も、脂っ気が無くなり、色がくすんだ。
若いというのは、それだけで財産だ。凡庸な顔立ちの取るに足らない女でも、若いというだけで、時に私よりも「美しい」と称されることすらある。
ーーああ、どうしよう。
忌々しい【聖女】に、ルイス陛下を奪われてしまう。
私には、ルイス陛下が全てなのに。
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