19 / 225
連載
ある女の狂気2
しおりを挟む
汚したのに。
殺したのに。
永遠に私の前に姿を見せないように、謀って、貶め、燃やし尽くしたのに。
何故、また現れたの。
何故、また邪魔をするの。
お前は私が幸福になる為に、この世には存在してはいけない女なのに……!
「本当。どこまでも腹立たしい女ね。ーーアシュリナ」
噂の聖女が、アシュリナの生まれ変わりかどうかは、分からない。
でもきっと聖女と言うだけで、あの心底憎らしい女と、性根はどこまでも似通っているはずだ。
お奇麗で。
全てが浅く、薄っぺらく。
どこまでも愚かな癖に、生まれ持った力だけで、周囲に讃えられ、愛されるような、そんな女に違いない。
ーーああ、何て悍ましい。吐き気がする。
奪わせてなるものか。
この数十年で、築き上げた【聖女】の地位を、そんな女に、壊させはしない。
「貶めてやる。苦しめてやる。汚してやる。ーーそして死ぬ方がましな苦しみの末に、絶対に殺してやる……!」
髪の毛を掻きむしりながら、一人呪詛を呟いていると、不意に扉が開いた。
「ーー随分、荒れているな。ユーリア」
出会ってから、もう二十年近く経つ。
それでも昔と変わらない……否、昔以上に美しい、心から愛し敬愛する御方の姿に、ささくれ立った心が自然と凪いだ。
「……ルイス陛下」
「廊下で、兵士が二人倒れていた。……ユーリア。お前の仕業か?」
「ーー勝手なことをして、申し訳ありません。あまりにも生きる価値の無い、愚かな兵士だったもので」
私の言葉に、陛下は形の良い唇を緩め、微笑んだ。
「構わない。ユーリアが、不要だと判断したのだ。それだけ、無能で使えない輩だったということだろう。そのような兵士が私に仕えていたことが、そもそも間違いだったのだ」
ーーああ。
陛下!
陛下!
陛下!
陛下!
陛下!
陛下!
何て寛大で、何て心優しき御方なのだろう。
私のことを信じ、私の判断を正しいと肯定して下さる!
ルイス陛下は昔から、変わらない。
出会った時から、ずっとそうだった。
力を持って生まれながらも、それを真に正しく使いこなすことが出来ない、愚かで無知な少女だった私に、あるべき道を教え諭して下さったのは、他ならぬ陛下だった。
美しくて優しい、神様みたいな御方。
ーー否、私に【災厄の魔女】という立場を押しつけ、忌々しい【聖女】を生み出す神と同列にしたら、陛下に失礼だ。
私にとっての神様は、ルイス陛下、ただお一人なのだから。
殺したのに。
永遠に私の前に姿を見せないように、謀って、貶め、燃やし尽くしたのに。
何故、また現れたの。
何故、また邪魔をするの。
お前は私が幸福になる為に、この世には存在してはいけない女なのに……!
「本当。どこまでも腹立たしい女ね。ーーアシュリナ」
噂の聖女が、アシュリナの生まれ変わりかどうかは、分からない。
でもきっと聖女と言うだけで、あの心底憎らしい女と、性根はどこまでも似通っているはずだ。
お奇麗で。
全てが浅く、薄っぺらく。
どこまでも愚かな癖に、生まれ持った力だけで、周囲に讃えられ、愛されるような、そんな女に違いない。
ーーああ、何て悍ましい。吐き気がする。
奪わせてなるものか。
この数十年で、築き上げた【聖女】の地位を、そんな女に、壊させはしない。
「貶めてやる。苦しめてやる。汚してやる。ーーそして死ぬ方がましな苦しみの末に、絶対に殺してやる……!」
髪の毛を掻きむしりながら、一人呪詛を呟いていると、不意に扉が開いた。
「ーー随分、荒れているな。ユーリア」
出会ってから、もう二十年近く経つ。
それでも昔と変わらない……否、昔以上に美しい、心から愛し敬愛する御方の姿に、ささくれ立った心が自然と凪いだ。
「……ルイス陛下」
「廊下で、兵士が二人倒れていた。……ユーリア。お前の仕業か?」
「ーー勝手なことをして、申し訳ありません。あまりにも生きる価値の無い、愚かな兵士だったもので」
私の言葉に、陛下は形の良い唇を緩め、微笑んだ。
「構わない。ユーリアが、不要だと判断したのだ。それだけ、無能で使えない輩だったということだろう。そのような兵士が私に仕えていたことが、そもそも間違いだったのだ」
ーーああ。
陛下!
陛下!
陛下!
陛下!
陛下!
陛下!
何て寛大で、何て心優しき御方なのだろう。
私のことを信じ、私の判断を正しいと肯定して下さる!
ルイス陛下は昔から、変わらない。
出会った時から、ずっとそうだった。
力を持って生まれながらも、それを真に正しく使いこなすことが出来ない、愚かで無知な少女だった私に、あるべき道を教え諭して下さったのは、他ならぬ陛下だった。
美しくて優しい、神様みたいな御方。
ーー否、私に【災厄の魔女】という立場を押しつけ、忌々しい【聖女】を生み出す神と同列にしたら、陛下に失礼だ。
私にとっての神様は、ルイス陛下、ただお一人なのだから。
21
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。