処刑された王女は隣国に転生して聖女となる

空飛ぶひよこ

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聖女の日々12

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「……命を、縮めた?」

「はい。いくらあらゆる傷病を癒やす力を持っていても、本人に病の自覚が無ければ治すこともできない。……初代聖女様は、自らの体調を顧みることなく、寝る間も惜しんで民を癒やし続けた結果、亡くなられたのです。まだ、20代の若さでした」

 ひどく苦しげな予言者の目が、初代聖女の像に向けられた。

「……優しく、美しく清い御方でした。目の前で苦しむ人を、けして見捨てられず。聖女の力を要しない、軽微な傷病であっても、笑顔で治癒し続けていました。『これが、私の生まれて来た意味だから』……と、言い続けて」

「…………」

「……ディアナ様。やっぱり貴女は初代聖女様によく似ている。だからこそ、貴女には初代聖女様のような運命を歩んで欲しくないと思っております」

「…………似てませんよ。全然。私は、どこまでも中途半端です」

 アシュリナならば、あるいはと思う。
 理不尽に焼き殺される瞬間まで、民の為に、自らの使命を果たす為に私欲を捨てて人を救い続けたアシュリナの自己犠牲精神は、初代聖女のそれに近い。

 だけど私は……ディアナは、違う。

「……覚悟していたつもりだったんです。私は、初代聖女やアシュリナのようにはなれない。だからこそ、大切は者を守る為なら、時には罪の無い人だって切り捨てようって。私なら、それができると信じていたんです」

 聖女としての果たすべき本当の役割を知って以来、ただただ「救え」と私に繰り返す内なる声を聞くことは、無くなった。

 救わなければならない。聖女であらねばならない。

 かつてアシュリナを支配した、強迫観念にも似た衝動は、最早私を悩ませる事はない。

 ーー私を悩ませるのは、ひとえに私が「ディアナ」として感じている罪悪感だ。

「どれ程割り切るべきだと自分に言い聞かせ、納得したつもりでいても、実際苦しむ人を前にしたら簡単に決意は揺らいでしまうんです。……どうしても、見捨てることに対して恐怖を抱いてしまう」

 この罪悪感は、優しさや同情心から来るものというよりも、アシュリナの最期の記憶に対するトラウマから来るものだと思っている。

 【災厄の魔女】の汚名を着せられたアシュリナは、天災の被害すら背負わされて、責め立てられた。
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