処刑された王女は隣国に転生して聖女となる

空飛ぶひよこ

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連載2

決戦の時11

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「……それじゃあ、なんで俺は【黎明】の主として認められてないんだよ」

 拗ねたように唇を尖らせる兄様が、珍しく子どもっぽくて、思わず笑ってしまいそうになるのを堪える。
 けれど、私のそんな我慢も兄様にはお見通しだったみたいで、横目で軽く睨まれてしまった。

「なんで笑うんだよ。ディアナ」

「だって普段は大人っぽい兄様が、子どもみたいでかわいらしかったから」

「……そういう所だぞ。ティムシー」

 父様が、呆れたように頬をかいた。

「お前は、自分が【黎明】に主として認められて当然だと思っている。その精神が未熟なんだ」

「っだって、俺は剣の腕では誰にも負けない自信が……」

「アルバートが選ばれたかもしれないという時点で、剣の腕は関係ないと気づけ。自らの主になるには精神の習熟が不十分だと判断した相手には、剣はけして作用しない。特に主を守る騎士の為に作られた【黎明】はな」

 父様の言葉に、兄様はぎりと唇を噛んだ。

「……それじゃあ、どうすればいいんだよ。精神の習熟なんて、一朝一夕でできるものじゃない。仮にできたと錯覚したとしても、そんな付け焼き刃な精神性は、すぐに崩れるに決まっている。どうやったら、俺は【黎明】に主として認められるんだ?」

「そんな方法、自分で考えろ。考えることも修行の一環だ。……と、言いたいところだがな。そんな時間もないわけだし、ヒントだけでも教えてやろう」

 コホンと咳払いをすると、父様は心の中を全て見透かすかのような鋭い目で兄様を見据えた。

「まずはティムシー。自分が未熟な存在であることを思い知れ」

「……そんなの、とっくに何度も思い知っている」

「過去じゃない。今の話だ。ルシトリア騎士団で鍛錬を積み、森にいた時以上に強くなった今のお前が、自分は未熟だと心から思えるのか? 恥も外聞も捨てて、未熟な自分の穴埋めを人に請うことができるのか?」

「…………」

「自らが未熟だと心の底から思い知り、驕りも矜持も投げ捨てて、みっともなく手助けを請うことができた時。【黎明】は初めてお前を主として認め、力を貸してくれるはずだ。お前が自分自身の、弱さと真っ正面から向き直った時にな」

 父様の言葉に、兄様はしばらく黙り込んでから、真面目な顔で父様を見据えた。

「それは……父さんの経験談?」

 兄様の問いに父様はやっぱりしばらく黙り込んで、ゆっくりと首を縦に振った。

「ああ……そうだ」

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