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連載2
再会3
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「心中……!?」
シャルル王子とライオネル陛下がくだしたあまりの結論に、絶句した。
「ふざけるな! 死ぬなら勝手に一人で死ねばいい! 数多の民を巻き込むな!」
怒りのあまり、兄様が吠える。
シャルル王子は、神妙な表情で兄様に向き直った。
「私もそう思います。王は、王族は民の為の奉仕者であれ。それが、ルシトリア王家の考えです。大多数の民の幸福の為に、少数の民を切り捨てるこそあっても、自らの私利私欲の為だけに民を犠牲にするなんてあってはならないこと。ましてや自らの破滅願望に国を巻き込むなんて、けして許されません」
「シャルル王子やライオネル陛下の説が仮に正しかったとして……セーヌヴェットの中に、ルイス王を止めるものはいなかったのでしょうか」
私の言葉にシャルル王子はしばらく黙り込んだあと、苦々しい笑みを浮かべながら、ゆっくり首を横に振った。
「それは……聖女様が、誰より知っているはずです」
その言葉に、唇を噛む。
止めるものなんて、いるはずがない。ルイス王を止めようとするものは、この二十年間で全て、奸計や【災厄の魔女の呪い】によって排除されてしまった。
運良く排除されなかったものも、とっくに自ら国に見切りをつけて、他国に亡命したのだろう。父様が、そうであったように。
そして国を離れることができない力ない民たちが、今もなおルイス王の個人的な願望に振り回され、苦しめられ続けている。
「……こんなことって……」
炎の中で焼かれ苦しむアシュリナが、セーヌヴェットの民を心の中で呪わなかったかと言えば嘘になる。
無実のアシュリナを殺した因果応報を、どこかで望んでいる自分もいた。
だけどこんなのは……こんなのは、あんまりだ。
こんな因果応報は、望んでいない。
「ルイス王の真の目的は分かりません。ただ1つ確かなことは、ルイス王と【災厄の魔女】ユーリアがこの国に君臨する限り、セーヌヴェットの民に安寧が訪れることはないということです」
シャルル王子は最後のパンの一欠片を口に押し込んでから、続けた。
「明日には王都に到着します。いよいよ、ルイス王やユーリアとの対決です。聖女様、お兄様。覚悟はよろしいですか?」
「当たり前だ」
兄様が即答する。
「ルシトリアを発った時から、既に覚悟はできてます」
兄様とシャルル王子、それぞれを見ながらうなずく。
「【災厄の魔女】ユーリアを、私は必ず打ち倒します。それが私の聖女としての役割ですから」
「ユーリアさえいなくなれば、ルイス王はさしたる脅威ではなくなる。王を守護するエイドリーをこの手で切り、ルイス王に引導を渡してやる……!」
シャルル王子とライオネル陛下がくだしたあまりの結論に、絶句した。
「ふざけるな! 死ぬなら勝手に一人で死ねばいい! 数多の民を巻き込むな!」
怒りのあまり、兄様が吠える。
シャルル王子は、神妙な表情で兄様に向き直った。
「私もそう思います。王は、王族は民の為の奉仕者であれ。それが、ルシトリア王家の考えです。大多数の民の幸福の為に、少数の民を切り捨てるこそあっても、自らの私利私欲の為だけに民を犠牲にするなんてあってはならないこと。ましてや自らの破滅願望に国を巻き込むなんて、けして許されません」
「シャルル王子やライオネル陛下の説が仮に正しかったとして……セーヌヴェットの中に、ルイス王を止めるものはいなかったのでしょうか」
私の言葉にシャルル王子はしばらく黙り込んだあと、苦々しい笑みを浮かべながら、ゆっくり首を横に振った。
「それは……聖女様が、誰より知っているはずです」
その言葉に、唇を噛む。
止めるものなんて、いるはずがない。ルイス王を止めようとするものは、この二十年間で全て、奸計や【災厄の魔女の呪い】によって排除されてしまった。
運良く排除されなかったものも、とっくに自ら国に見切りをつけて、他国に亡命したのだろう。父様が、そうであったように。
そして国を離れることができない力ない民たちが、今もなおルイス王の個人的な願望に振り回され、苦しめられ続けている。
「……こんなことって……」
炎の中で焼かれ苦しむアシュリナが、セーヌヴェットの民を心の中で呪わなかったかと言えば嘘になる。
無実のアシュリナを殺した因果応報を、どこかで望んでいる自分もいた。
だけどこんなのは……こんなのは、あんまりだ。
こんな因果応報は、望んでいない。
「ルイス王の真の目的は分かりません。ただ1つ確かなことは、ルイス王と【災厄の魔女】ユーリアがこの国に君臨する限り、セーヌヴェットの民に安寧が訪れることはないということです」
シャルル王子は最後のパンの一欠片を口に押し込んでから、続けた。
「明日には王都に到着します。いよいよ、ルイス王やユーリアとの対決です。聖女様、お兄様。覚悟はよろしいですか?」
「当たり前だ」
兄様が即答する。
「ルシトリアを発った時から、既に覚悟はできてます」
兄様とシャルル王子、それぞれを見ながらうなずく。
「【災厄の魔女】ユーリアを、私は必ず打ち倒します。それが私の聖女としての役割ですから」
「ユーリアさえいなくなれば、ルイス王はさしたる脅威ではなくなる。王を守護するエイドリーをこの手で切り、ルイス王に引導を渡してやる……!」
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