処刑された王女は隣国に転生して聖女となる

空飛ぶひよこ

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連載2

再会8

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 兵士の言葉に、後ろに控えていた兄様と私は顔を見合わした。

「上の指示……?」

「はい。ルシトリアの聖女や、王子様が王都内で何かあれば責任問題になる為、迎えが来るまで検問所にとどめて欲しいと言われていて」 

「以前私が単身で来た時は、そのようなお出迎えなどありませんでしたが?」 

「し、失礼ながら王子様が我が国に来た時とは事情が異なります。前回の訪問はそちらの事情でしたが、この度の訪問は、こちらが要請したもの。そのような状況で聖女や王子様を危険にさらせば、セーヌヴェットの非は大きくなりますので……」

 一応理には適っている。
 だけど私たちをここに留める本当の理由は、そんなものではないだろう。

「……よほど王都に、探られたくないものでもあるのかな」 

「だろうな。……最も俺達をここに引き止めたところで、さして意味はないが」

 兵士に聞こえないような小さな声で、兄様と言葉を交わす。

 私たちをここに引き止めたところで、既に商隊に扮した先導隊が、王都に入っている。 
 父様たちなら、必ずセーヌヴェットが隠したいそれを暴き出してくれるはずだ。

「ルシトリアの王都の時のように、武器を改められない分ましかな」

「今のセーヌヴェットの状態で武器なんか改められたら、その場で引き返されるだろ。わざわざお前を呼び出した意味がなくなる。セーヌヴェットもそこまで馬鹿じゃないさ」

 検問所に入って以来、兄様はずっと剣の柄を握ってあたりを警戒している。
 検問所に入る前に、防御効果のある護符をそれぞれに渡しているが、それでも安心はできないのだろう。
 王都の周りは以前はなかった長くて高い石垣で囲まれていて、検問所を抜けなければ中に入れないようになっていた。
 国境の警備がすっかりおざなりになっていたのとは、雲泥の差だ。シャルル王子の言うように、ルイス王は国を王都周辺のみに縮小して考えているのだろう。
 そう考えると、ここはもう敵地だ。王都に入る前以上に、気をつけなければならない。

 その時、別の兵士が奥から駆け込んで来た。

「お待たせしました! ルシトリアの聖女に、王子様! 迎えが到着致しました!」

 兵士の後ろに控える大柄な人物を見た瞬間、息を飲んだ。

「ーールイス陛下の命のもと、迎えに参りました」

 慇懃無礼に騎士の礼を取りながら、男は言った。

「陛下の護衛騎士を務めています、エイドリー・ノットンです。貴方達が安全に陛下のもとにたどり着けるよう誠心誠意警護させていただきます」

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