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連載2

再会10

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 エイドリーが同行したことで、城までの道程はすごく気まずいものになった。
 エイドリーと因縁が強い兄様だけ御者台に座らせて、馬で併走するエイドリーと顔を突きあわせさせるのはまずい気がしたので、私も御者台に出ることにしたのだけど、こういう時に一番役に立ってくれそうなシャルル王子は何故か馬車の中にこもって会話に参加しようとしてはくれない。
 兄様はずっと黙ったままなので、同じくエイドリーと因縁がある私が、エイドリーと会話しなければならない状況になってしまった。

「……どうですか。聖女様。セーヌヴェットの王都は美しいでしょう」

「え? ……あ、はい。そうですね。近代的で、よく整備されていると思います」

 エイドリーもエイドリーで、黙って馬を走らせるのではなく、何故か事あるごとに私に話しかけてきた。
 その度に兄様の殺気が強くなっているのは、恐らく私以上に気づいているだろうに、それでも話しかけるのをやめてくれない。

「王都の外を見て誤解されたかもしれませんか、私はこの王都の姿こそが真のセーヌヴェットの姿だと思っています」

「ですが……王都の外に住む人々も、セーヌヴェットの民なのでしょう?」

「セーヌヴェットの土地に住む人間だというだけで、セーヌヴェットの民ではありません。おのれの食料すら満足に生産できず、町の治安を維持することもできない輩なぞ、ルイス陛下が手を差し伸べるに値しない。陛下に忠実に仕え、陛下の為にきちんと税を納める王都の民こそが、真のセーヌヴェット国民なのです」

 あまりに勝手な言い分だった。
 王都外の土地は、アシュリナが存命の時はそんな風ではなかった。王都ほど発展はしていなかったし、密告が推奨されていたせいで疑心暗鬼な雰囲気はどこも蔓延していたけど、それでもちゃんと自らの食い扶持を自分たちで稼ぎ、税を納めるだけの財力はあった。
 私が王都に来るまで見てきた町のように、王都の外が荒廃してしまったのは、ルイス王の統治の結果だ。
 王都の外を地獄のようにしたのは、他でもないルイス王自身なのに。何故そんな風に言えるのか。
 それが騎士の言葉なのか。

「どうかいたしましたか?」

「……いえ、何でもありません」

 けれどそんな本音を、敵の将であるエイドリーに言えるはずもなく。
 言葉を飲み込んで、首を横に振る。
 ヒースを操る兄様の、怒りに震える手元に自分の手を重ねてそっと拳を握りしめた。
 そんな私を、エイドリーは何かを探るような鋭い眼光で睨めつけた。

「ところで、その馬車ですが。何か特別な結界が張ってあるようですが、参考までにどのような結界かお聞きしてもよろしいですか? その結界の強度によって族が出てきた場合の対応が変わりますので」

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