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ルクレア・ボレアという女
ルクレア・ボレアという女4
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私が自身の性癖を自覚したのは、前世で私がまだ女子高生だったころ。
きっかけは、友人のこんな一言だった。
『面白い心理テストを知っているんだけど』
当時の私はいわゆる「弄られキャラ」であり、そしてその事実に特に不満を抱いていなかった。
馬鹿にされたり、からかわれたりすることはしょっちゅうだったが、構ってもらえることが嬉しかったから特に気にしてなかった。こんなに皆に関心持って貰えてるなんて、私ってば愛されているっ!……と、本気で思っていた。……うん、なかなか痛いこなのは自覚している。若さって怖いね。うん。今世の私丁度同じ年頃だから、当時の私みたいな子には優しくしてやろうと思う……。
まぁ、そんなちょっと痛い子だった私は、自分はちょっとマゾッ気があるのだと、そう思い込んでいたのだ。
しかし、そんな私に、友は衝撃の事実を突きつけたのだった。
『このテストね、自分の隠れた性癖が分かるんだって。Aを選んだあなたは……サディストです! ぶはっ、あんた、実はあんたサディストらしーよ』
似合わねーと、笑う友人の声は私の耳には届かなかった。
まるで雷を受けたかのような衝撃に、暫し私は呆然とした。
サディスト。
人間を虐げることに、快感を見出す人。
いじめっ子。
私が、この私が、サディスト。普段弄られからかわれ、馬鹿にされているような、そんな私が。
(――そうか、今までの私は仮の姿だったのか。本当の私はサディストだったのだ……!)
眼からうろこが落ちるような衝撃だった。
そうだ、言われてみれば。まさにその通りではないだろうか。
本心では、今のような状況に甘んじていることに屈辱を感じていた……気がする。
馬鹿にしてくる奴らを、屈服させ、その顔を屈辱に歪ませたいと心の底ではずっと思っていた……に違いない。
泣き顔や怯える顔を想像すると、なんだか胸の奥がゾクゾクとしたものが湧き上がってくる……ような、しないような。
駄目だ、自分を偽ってはいけない。
今までは私は自分を偽って、無理にキャラを作って生きて来たのだ。これからは、素直に、ありのままの性癖に従って生きていこう。
高校生の私は、拳を握って、一人固く決意した。
私は今後サディズムを極めるっ!
全ては本当の私自身の為、抑圧され押し殺された、本来の自我を取り戻すためにっ!
しかし、そんな決心もむなしく、その後も不本意な弄られキャラのポジションで歳月を重ね、そのポジションのまま死んでしまった。なんということだろう。悲劇だ。
そんな私が前世の記憶を残したまま、自分がプレイしたことがある悪役令嬢キャラに転生した。
きっとこれは、前世で果たせなかった欲求を果たせという、神の御導きに違いない。いや、絶対そうだ。そうに違いない。
私が悪役令嬢の役割を果たすことは、ゲームの進行上不可欠なことであり、ヒロイン=エンジェの恋愛を促進させる重要な事柄である。つまりこれは、エンジェを幸せにするという人助けなのである。
人助けも出来て、自分の欲求も満たせる。実にすばらしい。一石二鳥。ウィンウィンの関係。
世界もまた、それを望んでいるのだ。
エンジェに出会い、そう確信した日、今世の私もまた前世の私同様、拳を握って、一人固く決意した。
世の為、人の為、ヒロインちゃんの為、私の為。徹底的にこなして見せようじゃねーか、悪役令嬢の役割って奴を!
全ては神の御導きのままにっ!
そんなこんなで、私はゲーム内で行われていたルクレアによるヒロインちゃん虐めを、そのまま全力で楽しんで行ってきたのである。
それが正しい行為だと信じて疑っていなかった。
私は、知らなかったのだ。
私がエンジェを虐めることが、さながら悪魔の尻尾を、それと気づかず思いっきり弄り回している行為のようなものであったことを。
封印されていた悪魔を呼び覚ます、完全なる自殺行為だったということを。
知っていれば、虐め等絶対に行わないどころか、転校でも何でもして、自身を「エンジェ」と騙る悪魔から、全力で逃げ出したというのに。
知った時にはもう、全てが手遅れになってしまっていた――……。
きっかけは、友人のこんな一言だった。
『面白い心理テストを知っているんだけど』
当時の私はいわゆる「弄られキャラ」であり、そしてその事実に特に不満を抱いていなかった。
馬鹿にされたり、からかわれたりすることはしょっちゅうだったが、構ってもらえることが嬉しかったから特に気にしてなかった。こんなに皆に関心持って貰えてるなんて、私ってば愛されているっ!……と、本気で思っていた。……うん、なかなか痛いこなのは自覚している。若さって怖いね。うん。今世の私丁度同じ年頃だから、当時の私みたいな子には優しくしてやろうと思う……。
まぁ、そんなちょっと痛い子だった私は、自分はちょっとマゾッ気があるのだと、そう思い込んでいたのだ。
しかし、そんな私に、友は衝撃の事実を突きつけたのだった。
『このテストね、自分の隠れた性癖が分かるんだって。Aを選んだあなたは……サディストです! ぶはっ、あんた、実はあんたサディストらしーよ』
似合わねーと、笑う友人の声は私の耳には届かなかった。
まるで雷を受けたかのような衝撃に、暫し私は呆然とした。
サディスト。
人間を虐げることに、快感を見出す人。
いじめっ子。
私が、この私が、サディスト。普段弄られからかわれ、馬鹿にされているような、そんな私が。
(――そうか、今までの私は仮の姿だったのか。本当の私はサディストだったのだ……!)
眼からうろこが落ちるような衝撃だった。
そうだ、言われてみれば。まさにその通りではないだろうか。
本心では、今のような状況に甘んじていることに屈辱を感じていた……気がする。
馬鹿にしてくる奴らを、屈服させ、その顔を屈辱に歪ませたいと心の底ではずっと思っていた……に違いない。
泣き顔や怯える顔を想像すると、なんだか胸の奥がゾクゾクとしたものが湧き上がってくる……ような、しないような。
駄目だ、自分を偽ってはいけない。
今までは私は自分を偽って、無理にキャラを作って生きて来たのだ。これからは、素直に、ありのままの性癖に従って生きていこう。
高校生の私は、拳を握って、一人固く決意した。
私は今後サディズムを極めるっ!
全ては本当の私自身の為、抑圧され押し殺された、本来の自我を取り戻すためにっ!
しかし、そんな決心もむなしく、その後も不本意な弄られキャラのポジションで歳月を重ね、そのポジションのまま死んでしまった。なんということだろう。悲劇だ。
そんな私が前世の記憶を残したまま、自分がプレイしたことがある悪役令嬢キャラに転生した。
きっとこれは、前世で果たせなかった欲求を果たせという、神の御導きに違いない。いや、絶対そうだ。そうに違いない。
私が悪役令嬢の役割を果たすことは、ゲームの進行上不可欠なことであり、ヒロイン=エンジェの恋愛を促進させる重要な事柄である。つまりこれは、エンジェを幸せにするという人助けなのである。
人助けも出来て、自分の欲求も満たせる。実にすばらしい。一石二鳥。ウィンウィンの関係。
世界もまた、それを望んでいるのだ。
エンジェに出会い、そう確信した日、今世の私もまた前世の私同様、拳を握って、一人固く決意した。
世の為、人の為、ヒロインちゃんの為、私の為。徹底的にこなして見せようじゃねーか、悪役令嬢の役割って奴を!
全ては神の御導きのままにっ!
そんなこんなで、私はゲーム内で行われていたルクレアによるヒロインちゃん虐めを、そのまま全力で楽しんで行ってきたのである。
それが正しい行為だと信じて疑っていなかった。
私は、知らなかったのだ。
私がエンジェを虐めることが、さながら悪魔の尻尾を、それと気づかず思いっきり弄り回している行為のようなものであったことを。
封印されていた悪魔を呼び覚ます、完全なる自殺行為だったということを。
知っていれば、虐め等絶対に行わないどころか、転校でも何でもして、自身を「エンジェ」と騙る悪魔から、全力で逃げ出したというのに。
知った時にはもう、全てが手遅れになってしまっていた――……。
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