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ルカ・ポアネスという不良
ルカ・ポアネスという不良3
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「……っ……そんな……嘘だろ……っ!!」
どうやら今回は気絶までは至らなかったらしいルカは、地に臥したまま悲痛な声をあげる。
完全に戦意喪失して、起き上がる気配も見せずに呆然と地面を見つめている。
そんなルカに、デイビッドは悪魔じみた笑みを湛えながら近づいて行く。
「これで二回目だな……残り一回か?」
ルカを見下ろしながら言った一言に、目を見開いたルカの顔から、サッと血の気が引いて行くのが見て取れた。
「っ!? お前、知って……!」
「いや、以前は全く知らなかったが、最近お前が必死に私を探していると噂で聞いてな。何故そこまで執拗に気にするのか気になって、ポアネス家について調べてみたんだ。……いや、獣人は種族ごとに独自の慣習があって興味深いな」
「……っ」
「さて、三戦目はどうする? このまま突入しても、私は全く構わんぞ?」
……?
獣人独自の慣習?
そんな慣習ゲームに出てきたっけ?全然記憶にないんだが。
やっぱりこれ、色々原作からかけ離れ過ぎちゃって、全くゲーム知識役に立たんわ。
誰か解説プリーズ。
完全についていけない私を置いてけぼりにして、ルカとデイビッドの話は勝手に進んでいく。
ルカは全身土塗れになりながら立ち上がると、険しい表情でデイビッドを睨み付けた。
「――半月後の武術大会で、決着をつける」
険しいルカの雰囲気に合わせて、ふさふさの狼尻尾もまた、威嚇するように直立に立ち上がる。
……あら、可愛い。
特に熱心な犬もといモフモフ好きというわけではないが(なんせ私の愛でる最大の対象はツンデレ精霊ズだ。もふもふ萌えに避ける愛情は少ない)私の中に存在するケモナー的部分が刺激され、きゅんと胸が高鳴る。
触りたいな。あの尻尾。でもおそらく急所か性感帯ってのが、お約束だよね、獣人の尻尾。触らせてくれんだろーなー。性感帯なら、ふつーに痴女だもんなー。
「武術大会か。……確か、有志の参加者による学園行事だったな。だが、必ずしもお前が対戦相手に当たるとは限らないのではないか?」
デイビッドの言葉に、ルカが低く唸る。
「……最後まで勝ち抜きさえすりゃ、当たんだろ。……万が一当たらなきゃ、その後で決着をつけてやるよ」
鼻の頭に皺を寄せて睨むその様は、まさに狼。
……やっぱり尻尾もふりたいなぁ。耳でもいい。
「――まぁ、いいだろう」
そんなルカに、デイビッドは口端を片側だけ吊り上げた。
「半月後の武術大会で決着をつけるぞ、ルカ・ポアネス。試合でお前がまた地に臥すことになれば……その時は覚悟をしておけ」
――そう言い放ったデイビッドは、なんだか、とても悪役面でした。
「……えと、デイビッド? え、と……」
苦々しげにデイビッドを睨み付けたルカが、舌打ちを一つ残してそのまま立ち去った後、私はデイビッドに状況説明を求めようとした。
「ルクレア。お前はルカに対して何もすんじゃねぇぞ」
だが疑問を口にする前に、やたら機嫌がよさそうなデイビッドから釘を刺された。
「あいつは俺が何とかする。……俺の獲物だ。手出しすんな」
ギラリと目を光らせて、舌なめずりをするデイビッド。
けれどその眼は、酷く真剣だった。
ひゅっ、と喉の奥が鳴ったのが分かった。
発しようとした疑問は、何故か言葉にならなずに口内で消えていった。
「それじゃあ、またな」
そう言って、話は終わりだというように背を向けてて立ち去るデイビッドを、私は呆然と眺めた。
え
あれ
もしかして、私、
使えなさすぎてデイビッドに見限られた?
オージンの時も、ダーザの時も、なんの役にも立てなかったから、攻略に失敗しちゃったから、デイビッドは今回は一人でルカのことを攻略しようと思った? 私に頼らないで?
「……デイビッドは私のこと、役に立たないって、そう、思っている?」
思わず発した呟きは、そのまま私の胸に突き刺さった。
がらがらと足元が、崩れ去っていく感覚に襲われる。
唇が震え、目の前が真っ白になる。
――ああ、どうしよう。
泣きそうだ。
どうやら今回は気絶までは至らなかったらしいルカは、地に臥したまま悲痛な声をあげる。
完全に戦意喪失して、起き上がる気配も見せずに呆然と地面を見つめている。
そんなルカに、デイビッドは悪魔じみた笑みを湛えながら近づいて行く。
「これで二回目だな……残り一回か?」
ルカを見下ろしながら言った一言に、目を見開いたルカの顔から、サッと血の気が引いて行くのが見て取れた。
「っ!? お前、知って……!」
「いや、以前は全く知らなかったが、最近お前が必死に私を探していると噂で聞いてな。何故そこまで執拗に気にするのか気になって、ポアネス家について調べてみたんだ。……いや、獣人は種族ごとに独自の慣習があって興味深いな」
「……っ」
「さて、三戦目はどうする? このまま突入しても、私は全く構わんぞ?」
……?
獣人独自の慣習?
そんな慣習ゲームに出てきたっけ?全然記憶にないんだが。
やっぱりこれ、色々原作からかけ離れ過ぎちゃって、全くゲーム知識役に立たんわ。
誰か解説プリーズ。
完全についていけない私を置いてけぼりにして、ルカとデイビッドの話は勝手に進んでいく。
ルカは全身土塗れになりながら立ち上がると、険しい表情でデイビッドを睨み付けた。
「――半月後の武術大会で、決着をつける」
険しいルカの雰囲気に合わせて、ふさふさの狼尻尾もまた、威嚇するように直立に立ち上がる。
……あら、可愛い。
特に熱心な犬もといモフモフ好きというわけではないが(なんせ私の愛でる最大の対象はツンデレ精霊ズだ。もふもふ萌えに避ける愛情は少ない)私の中に存在するケモナー的部分が刺激され、きゅんと胸が高鳴る。
触りたいな。あの尻尾。でもおそらく急所か性感帯ってのが、お約束だよね、獣人の尻尾。触らせてくれんだろーなー。性感帯なら、ふつーに痴女だもんなー。
「武術大会か。……確か、有志の参加者による学園行事だったな。だが、必ずしもお前が対戦相手に当たるとは限らないのではないか?」
デイビッドの言葉に、ルカが低く唸る。
「……最後まで勝ち抜きさえすりゃ、当たんだろ。……万が一当たらなきゃ、その後で決着をつけてやるよ」
鼻の頭に皺を寄せて睨むその様は、まさに狼。
……やっぱり尻尾もふりたいなぁ。耳でもいい。
「――まぁ、いいだろう」
そんなルカに、デイビッドは口端を片側だけ吊り上げた。
「半月後の武術大会で決着をつけるぞ、ルカ・ポアネス。試合でお前がまた地に臥すことになれば……その時は覚悟をしておけ」
――そう言い放ったデイビッドは、なんだか、とても悪役面でした。
「……えと、デイビッド? え、と……」
苦々しげにデイビッドを睨み付けたルカが、舌打ちを一つ残してそのまま立ち去った後、私はデイビッドに状況説明を求めようとした。
「ルクレア。お前はルカに対して何もすんじゃねぇぞ」
だが疑問を口にする前に、やたら機嫌がよさそうなデイビッドから釘を刺された。
「あいつは俺が何とかする。……俺の獲物だ。手出しすんな」
ギラリと目を光らせて、舌なめずりをするデイビッド。
けれどその眼は、酷く真剣だった。
ひゅっ、と喉の奥が鳴ったのが分かった。
発しようとした疑問は、何故か言葉にならなずに口内で消えていった。
「それじゃあ、またな」
そう言って、話は終わりだというように背を向けてて立ち去るデイビッドを、私は呆然と眺めた。
え
あれ
もしかして、私、
使えなさすぎてデイビッドに見限られた?
オージンの時も、ダーザの時も、なんの役にも立てなかったから、攻略に失敗しちゃったから、デイビッドは今回は一人でルカのことを攻略しようと思った? 私に頼らないで?
「……デイビッドは私のこと、役に立たないって、そう、思っている?」
思わず発した呟きは、そのまま私の胸に突き刺さった。
がらがらと足元が、崩れ去っていく感覚に襲われる。
唇が震え、目の前が真っ白になる。
――ああ、どうしよう。
泣きそうだ。
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