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ルカ・ポアネスという不良
ルカ・ポアネスという不良8
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「……まさか、お前知らないのか」
呆れたような表情を浮かべるマシェルに、ムッとする。
私だってルカ・ポアネスのことくらい知ってるさ。馬鹿にするない。
「――『銀狼の再来』がどうかされて?」
「何だ。知ってるじゃないか」
「それくらい、貴族の間では一般常識ですわ」
ルカ・ポアネスの通称は「銀狼の再来」
ルカは、かつてメトオーゲ王国の始祖ファストと共に魔王を討伐した、ポアネス家の始祖「銀狼」ことシルバ・ポアネスの色を継ぐ者として特別視されているのである。
ファストに忠誠を誓って生涯その牙を捧げたというシルバは、メトオーゲ王国歴史上最強の戦士と謳われる英雄である。
狼獣人でありながら獣の性を色濃く持ち、生涯の大半は人の姿であるよりも寧ろ狼の姿を取ることを好んだ。
一度の戦いに置いて、その牙は数十の魔の物を噛み殺し、その爪は数百の魔の物を切り裂いたと言われている。
その全身は銀色に輝く毛皮で覆われており、偶に人型をとった時も、その髪の毛と瞳は美しい銀色を保っていたという。
だが、ポアネス家はそんなシルバの子孫でありながら、その色を受け継ぐことは無かったのである。シルバと同じ色を宿すものは、シルバ亡き後、数百年間、一度も現れることは無かった。
黒髪、黒目。かつて日本人だった頃、私が当たり前に見ていた色こそが、ポアネス一族の色だ。他家の……それこそ、人族の様に、種族が異なる者と婚姻を結んでも、生れる子が獣人の場合は、黒以外の色を宿すことは無かった。
【英雄の色を継承出来ぬ一族】
ポアネス家は陰ではそう蔑まれ、遂にはシルバの血筋を疑われるという、辛酸を舐めて来た。
しかし、そんなポアネス家に、待望の銀の色を宿すものが生まれた。他でもない、ルカ・ポアネスその人である。
生まれながらにふさふさに生えたその銀の髪と、まだ何も見えていないままに、それでもしっかりと開かれた銀の瞳を確認した時、居合わせた一族の者は皆、滝の様な歓喜の涙を流し、神に祈ったという。
だが、ルカの誕生に歓声をあげたのは、一族だけではなかった。
ポアネス家に銀の色を受け継ぐものが現れないという、不可思議な遺伝現象は、いつしかこんな噂を生むようになっていた。
【ポアネス家に銀の色を纏う獣人の子供が生まれた時、それを従えたものこそ、次代の覇者になる】
なんの根拠もない噂だが、その噂は始祖ファストに傾倒する者の間達の間では、あたかも真実の様に広まっていった。
そして、ルカ・ポアネスは野心家の貴族たちに幼い頃からつけ狙われ、何度も何度も信じた人に騙されて、ルカは人間不信に陥る。
生れた時から科せられた、「銀狼の後継者」という立場と、一族から向けられる期待も、ルカには重荷だった。
自分はたまたま英雄の色を受け継いで生まれただけで、英雄になんか相応しい能力も何も持っていない。英雄になんかなれやしない。
そんな劣等感がルカを苛んだ。
その結果、ルカはやさぐれて不良化の一途を辿り堕ちていくものの、エンジェとの出会いを転機にして自らの運命を受け入れ、真の英雄になっていく…まぁ、これがルカルートの基本ストーリーだ。
……まぁ、心底苦しんでいるだろうルカには悪いが、ありがちって言ったらありがちな設定だよね。過度な期待から潰れて、不良になったヒーローを、ヒロインが救って更生させるっていう、お約束展開。
それなりに萌えたけど、ツボってわけでもなかったから、実はルカルートそこまでやり込んでないんだよな……だから特殊設定とか、実はそんな覚えていなかったり……。
……まぁ、この世界はゲームでなくて現実なのだから、そんなこと思ったらいけないかもしれないけど。
「――じゃあ、ルクレア。ルカ・ポアネスを掌握する術を知っているか?」
「?」
マシェルの問いに、首を傾げる。
え、普通に、忠誠を誓わせる以外になんか特殊な設定あったっけ?
呆れたような表情を浮かべるマシェルに、ムッとする。
私だってルカ・ポアネスのことくらい知ってるさ。馬鹿にするない。
「――『銀狼の再来』がどうかされて?」
「何だ。知ってるじゃないか」
「それくらい、貴族の間では一般常識ですわ」
ルカ・ポアネスの通称は「銀狼の再来」
ルカは、かつてメトオーゲ王国の始祖ファストと共に魔王を討伐した、ポアネス家の始祖「銀狼」ことシルバ・ポアネスの色を継ぐ者として特別視されているのである。
ファストに忠誠を誓って生涯その牙を捧げたというシルバは、メトオーゲ王国歴史上最強の戦士と謳われる英雄である。
狼獣人でありながら獣の性を色濃く持ち、生涯の大半は人の姿であるよりも寧ろ狼の姿を取ることを好んだ。
一度の戦いに置いて、その牙は数十の魔の物を噛み殺し、その爪は数百の魔の物を切り裂いたと言われている。
その全身は銀色に輝く毛皮で覆われており、偶に人型をとった時も、その髪の毛と瞳は美しい銀色を保っていたという。
だが、ポアネス家はそんなシルバの子孫でありながら、その色を受け継ぐことは無かったのである。シルバと同じ色を宿すものは、シルバ亡き後、数百年間、一度も現れることは無かった。
黒髪、黒目。かつて日本人だった頃、私が当たり前に見ていた色こそが、ポアネス一族の色だ。他家の……それこそ、人族の様に、種族が異なる者と婚姻を結んでも、生れる子が獣人の場合は、黒以外の色を宿すことは無かった。
【英雄の色を継承出来ぬ一族】
ポアネス家は陰ではそう蔑まれ、遂にはシルバの血筋を疑われるという、辛酸を舐めて来た。
しかし、そんなポアネス家に、待望の銀の色を宿すものが生まれた。他でもない、ルカ・ポアネスその人である。
生まれながらにふさふさに生えたその銀の髪と、まだ何も見えていないままに、それでもしっかりと開かれた銀の瞳を確認した時、居合わせた一族の者は皆、滝の様な歓喜の涙を流し、神に祈ったという。
だが、ルカの誕生に歓声をあげたのは、一族だけではなかった。
ポアネス家に銀の色を受け継ぐものが現れないという、不可思議な遺伝現象は、いつしかこんな噂を生むようになっていた。
【ポアネス家に銀の色を纏う獣人の子供が生まれた時、それを従えたものこそ、次代の覇者になる】
なんの根拠もない噂だが、その噂は始祖ファストに傾倒する者の間達の間では、あたかも真実の様に広まっていった。
そして、ルカ・ポアネスは野心家の貴族たちに幼い頃からつけ狙われ、何度も何度も信じた人に騙されて、ルカは人間不信に陥る。
生れた時から科せられた、「銀狼の後継者」という立場と、一族から向けられる期待も、ルカには重荷だった。
自分はたまたま英雄の色を受け継いで生まれただけで、英雄になんか相応しい能力も何も持っていない。英雄になんかなれやしない。
そんな劣等感がルカを苛んだ。
その結果、ルカはやさぐれて不良化の一途を辿り堕ちていくものの、エンジェとの出会いを転機にして自らの運命を受け入れ、真の英雄になっていく…まぁ、これがルカルートの基本ストーリーだ。
……まぁ、心底苦しんでいるだろうルカには悪いが、ありがちって言ったらありがちな設定だよね。過度な期待から潰れて、不良になったヒーローを、ヒロインが救って更生させるっていう、お約束展開。
それなりに萌えたけど、ツボってわけでもなかったから、実はルカルートそこまでやり込んでないんだよな……だから特殊設定とか、実はそんな覚えていなかったり……。
……まぁ、この世界はゲームでなくて現実なのだから、そんなこと思ったらいけないかもしれないけど。
「――じゃあ、ルクレア。ルカ・ポアネスを掌握する術を知っているか?」
「?」
マシェルの問いに、首を傾げる。
え、普通に、忠誠を誓わせる以外になんか特殊な設定あったっけ?
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