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蛍袋を鳴らすため
首輪3
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セーラー服の女を追って高層ビルに入ると、やはり中は荒れ放題だった。ペットボトルや空き缶などのゴミが散乱し、数人分の布団が砂埃を被っている。
内輪揉めか、或いは新天地を求めてか。いずれにせよもう誰も住んで居ないのだろう。
彼女は見慣れているらしく、一瞥もせずに開け放たれたエレベーターへと入って行った。
「犯人って訳じゃ無いよね?」
嫌な考えを振り払ってそれに続くと彼女の姿は無く、代わりに足元に四角く切り取られた穴があった。
下を覗くと金色の揺れる何かが見え、少ししてさきほどの女が降りている事に気づく。
どうやら地下に案内されるようで、梯子を見つけて後を追った。
「蓋は閉めておけ」
「へいへい」
言われて床を見上げると、切り取られた部分が吊り下げられており、それをハメると、おどろくほど綺麗に穴は塞がった。
エレベーターの明かりが無くなったのにも関わらず、なぜか仄かに明るい。周囲を見渡すと蓄光テープが張り巡らされているのが見えたが、まさかそれが明かりになるとは思えない。しかし、実際になんとか見える程度には明るく、疑問のまま硬い音を響かせながら降りていく。
地面は思っていたよりも近く、どうやら地下一階が最下層らしい。女は出口に凭れており、こちらを見てはまた歩き出した。
「ちょっとちょっと。どこに行くかくらい教えてくれないかな?」
しかし、流石にもう着いて行くだけというのは不安がある。わざわざ力を見せつけ、その上で連れていかれるのだ。良い予感だけはしない。
「お前の職場だ。良かったじゃないか、無職住所不定から、宿付きの職場に就職だぞ?」
女は立ち止まらずに冗談を混ぜ、こちらはただ項垂れる。こんな世界に真っ当な仕事を貰えるとは思えない。相手が普通なら少しは期待できたが、出会って一分足らずで襲われてはそれも無理な話だ。
地下一階は真っ直ぐな廊下に等間隔に部屋があり、何を目的にした場所なのか見当も付かない。
いくつかある部屋を素通りして、一番奥にあった扉の前で女は立ち止まった。
「私だ。入るぞ」
女は一度声をかけてから中に入り、嫌な予感を振り払いながらそれに続く。
「はーい、いらっしゃぁい」
「っちょちょちょ!」
部屋に入ってすぐ、何かに抱きつかれ、そのまま部屋の外まで後退りをしてしまう。やけに角ばった身体つきで、筋肉質だと分かってしまったのは不幸な事だろう。
「あらあら、軍人さんとは珍しいじゃない?」
相手は部屋から出ないように立ち止まっており、その姿に思わず苦笑してしまった。
大きな目に小さな口で頭も小さいと、これまた可愛らしい女の子と呼ぶに相応しい顔つき。更に身長はこちらの胸くらいしかなく、床に届きそうなほどの黒髪でなおかつゴシックロリータな衣装だ。
昔のとあるイベントであったなら、写真の一つでもせがまれていそうなほど、完成された組み合わせだろう。
ただ、角ばった感触が確かなら、これは間違いなく男だ。しかし、そう思ってしまうほど完成された体つきなのかもしれない。
「とはいえ、その人に手も足も出ないような情けない奴ですよ」
今はただ、下手に答えるしかない。まさか性別を尋ねるなんてできるはずもなかった。
「あー、キンは仕方ないかな? 特別だし。それよりも、君はどんな魔具を使うの?」
こちらの答えにはさも当然と受け取られ、少しは安心して胸をなでおろす。どうやら、あの女はキンと呼ばれているらしい。
正直に話すべきか、或いは嘘をつくべきか。どう答えても好転するようには思えない。
「半ば強制的に連れてこられただけで、仲良くとはいけないかな」
ならば、はぐらかすしかない。
そう思って苦笑いを浮かべて相手を見ると、まるで吸い込まれるような感触が顔を包んだ。
その正体が彼女の瞳だと分かるのに時間は掛からず、すぐに目を背ける。
「あらら、訓練されてるのは間違いないかぁ」
正体こそ分からなかったものの、対応としては正解だったらしい。対魔具の訓練をした記憶は無いが、過大評価というのは否定し難かった。
彼女の魔具は恐らく嘘を見抜けるか、或いは心を読む類いの物だろう。条件は目を見て話すといった所か。
「ま、いっか。ささ、どーぞどーぞ」
ようやく中に入れるようで、少女は先に中へと入り、自分もそれに続く。
部屋の中央には長机と六脚のキャリー付きの椅子が並び、それだけを避けて部屋中に私物らしき物が散乱していた。
その内の黒い二人がけソファにはいくつかのぬいぐるみが置いてあり、先ほどの子が寝転がってそれを抱きしめる。アレには近づかないように気を付けよう。
反対の位置には棚が置いてあり、ガラスの部分には飴の入った瓶が敷き詰められていた。このご時世にこれだけ集めたら、一年は交換物資だけで生活できそうだ。
それにもたれて座っているのはキンで、刀を抱えたまま片膝を立てている。よく見ると右の頰に小さな膨らみがあり、すぐに左の頰へと移された。
「好きにしてるといい」
彼女はこちらの視線に気付くと、それだけ言って壁を見つめ始める。しかし、飴はやらんと顔に書いてあり、本当に自由にしたら手痛いしっぺ返しがあるのだろう。
他にもエレキギターや床に積まれた本の山。しまいには脱ぎ散らかされた男物の服まである始末。
よく見たら本の表紙はいかがわしい物で、しっかりと頭に入れてから床に座り込んだ。
状況は依然として分からないが、誰も何もしていないせいか居心地が悪い。特に、ソファに横たわる双眸がこちらから離れない事には、抗議の一つも出そうだ。
それを我慢してどれほど経ったか。不意に硬質な音が聞こえて全員が扉に顔を向ける。
音はかなり遠く、エレベーターの蓋を開けた音が聞こえてきたのだろう。耳を澄ましてみたものの、流石に梯子を下る音までは拾えなかった。
「キンよろしくー」
「大人しくしていろよ」
キンは分かっていたように立ち上がり、告げてから部屋を出て行く。しかしながら、刃物すら持ってないのだから、暴れようにも良い結果が見えない。そんなに浅慮に見えるのだろうか。
「ふふん。今のうちに……」
そう思った矢先、ソファのぬいぐるみが放り出され、少女が悪戯な笑顔をしながら立ち上がる。まさかとは思うが、さきほどのはこちらに言った訳ではないのだろうか。
「大人しくしていろよ?」
「あーはいはい分かりましたとも」
それを見計らったように扉が開くと、念押しをされて渋々ソファに座りなおす。対等な立場のように見えるが、やはりカーストというのはどこにでもあるらしい。
扉はまた閉められ、パンプスの音が声高に離れていった。
「長生きしたかったら、飴には手を出しちゃダメだよ? これ、先輩からの教訓ね」
「はは……」
なんとも呑気な様子に、苦笑いしか出なかった。こちらはどう逃げ出すか考えているのに、まるで警戒している様子がない。
それどころか、当たり前のようにこちらを一員として扱ってきている。予め牽制はしておいたのに、もう忘れたというのか、或いは。
「まぁ、一個くらいならくすねてもバレないけどね」
本当に頭が緩いのか。
そんな事を思いながら、楽しげに笑う相手から視線を外すと、足音がして耳を澄ませる。
硬い音が二つに、何やら軽くて空気を含んだ音が一つ。それは真っ直ぐこちらへ進み、まもなくして扉が開かれた。
現れたのは、無精髭を蓄えた茶髪の中年のオッサンと、バンダナで目を覆った同年代らしき赤髪の若者だった。どうやら、軽い音は中年の履いているサンダルが原因らしい。その後ろにはキンが付いており、三人は部屋に入るとこちらを囲むようにして止まる。
何も話されなくても分かる。値踏みされるような視線に、威圧的な無言。こちらから口を開く事はできず、ただ黙ってそれが済むのを耐えるしかない。
「お前さん、胸派? 尻派?」
そう腹をくくった矢先、中年の言葉に意図せずこちらの口が開いた。
「虎さんそれはねぇって。こいつは面食いだ。じゃなきゃどっちも足りないキンに付いてくる訳が無い!」
「ちげぇねぇ!」
まるで酒でも入ってるかのような様子に、口を挟む事さえできなかった。隣ではこめかみを抑えてため息を吐いており、何も言われずともこれが当たり前な光景だと分かる。
「いや、俺は無理やり連れてこられただけだ。仲間になる気はないからな」
警戒心を惰性で維持しているものの、それも長くはもちそうにない。言葉とは裏腹に、自分の頰が緩んでいることはすぐに分かった。
「おいおい、ってーとお前さんもキンにボコられた口か?」
すると、バンダナの男が一歩出て、そんな事を口走る。
「お前さん、も?」
「あー懐かしいな。食料漁ってたら後ろから殴られて、目が覚めたらこんな状況。そりゃ信用なんかできないよなぁ」
どうやら、彼はもっと酷い目に遭っていたらしい。しかし、見るからに今はキンの仲間で、どう納得したのか非常に気になる所だ。
「違う。来いと伝えたら付いてきただけだ」
「いやいやいや!」
そう逡巡していると、あまりにも間違った話を聞かされ、思わず言葉を挟んでしまう。
とても大切な部分を切り取った、まるでゴシップ記事のような話だ。
「一言だけ交わしたら問答無用で斬りかかって来たんだぞ? 断ろう物なら殺されるかと思ったからな!」
「ふむ、覚えて無いな」
キンはあくまでもしらばっくれるつもりらしく、さも知らないと言いたげに首を傾げていた。やはり美人にろくな奴は居ない。心なしか顔が歪んで見える。
「とりあえずさ、そろそろ本題に入ろうか」
もう一言くらいと口を開けるより先に、ようやくソファの主が口を開いた。すると、三人共がそちらに顔を向け、仕方なくこちらもそれに従う。
「ようこそ、コロニーへ。一先ずは歓迎するよ」
内輪揉めか、或いは新天地を求めてか。いずれにせよもう誰も住んで居ないのだろう。
彼女は見慣れているらしく、一瞥もせずに開け放たれたエレベーターへと入って行った。
「犯人って訳じゃ無いよね?」
嫌な考えを振り払ってそれに続くと彼女の姿は無く、代わりに足元に四角く切り取られた穴があった。
下を覗くと金色の揺れる何かが見え、少ししてさきほどの女が降りている事に気づく。
どうやら地下に案内されるようで、梯子を見つけて後を追った。
「蓋は閉めておけ」
「へいへい」
言われて床を見上げると、切り取られた部分が吊り下げられており、それをハメると、おどろくほど綺麗に穴は塞がった。
エレベーターの明かりが無くなったのにも関わらず、なぜか仄かに明るい。周囲を見渡すと蓄光テープが張り巡らされているのが見えたが、まさかそれが明かりになるとは思えない。しかし、実際になんとか見える程度には明るく、疑問のまま硬い音を響かせながら降りていく。
地面は思っていたよりも近く、どうやら地下一階が最下層らしい。女は出口に凭れており、こちらを見てはまた歩き出した。
「ちょっとちょっと。どこに行くかくらい教えてくれないかな?」
しかし、流石にもう着いて行くだけというのは不安がある。わざわざ力を見せつけ、その上で連れていかれるのだ。良い予感だけはしない。
「お前の職場だ。良かったじゃないか、無職住所不定から、宿付きの職場に就職だぞ?」
女は立ち止まらずに冗談を混ぜ、こちらはただ項垂れる。こんな世界に真っ当な仕事を貰えるとは思えない。相手が普通なら少しは期待できたが、出会って一分足らずで襲われてはそれも無理な話だ。
地下一階は真っ直ぐな廊下に等間隔に部屋があり、何を目的にした場所なのか見当も付かない。
いくつかある部屋を素通りして、一番奥にあった扉の前で女は立ち止まった。
「私だ。入るぞ」
女は一度声をかけてから中に入り、嫌な予感を振り払いながらそれに続く。
「はーい、いらっしゃぁい」
「っちょちょちょ!」
部屋に入ってすぐ、何かに抱きつかれ、そのまま部屋の外まで後退りをしてしまう。やけに角ばった身体つきで、筋肉質だと分かってしまったのは不幸な事だろう。
「あらあら、軍人さんとは珍しいじゃない?」
相手は部屋から出ないように立ち止まっており、その姿に思わず苦笑してしまった。
大きな目に小さな口で頭も小さいと、これまた可愛らしい女の子と呼ぶに相応しい顔つき。更に身長はこちらの胸くらいしかなく、床に届きそうなほどの黒髪でなおかつゴシックロリータな衣装だ。
昔のとあるイベントであったなら、写真の一つでもせがまれていそうなほど、完成された組み合わせだろう。
ただ、角ばった感触が確かなら、これは間違いなく男だ。しかし、そう思ってしまうほど完成された体つきなのかもしれない。
「とはいえ、その人に手も足も出ないような情けない奴ですよ」
今はただ、下手に答えるしかない。まさか性別を尋ねるなんてできるはずもなかった。
「あー、キンは仕方ないかな? 特別だし。それよりも、君はどんな魔具を使うの?」
こちらの答えにはさも当然と受け取られ、少しは安心して胸をなでおろす。どうやら、あの女はキンと呼ばれているらしい。
正直に話すべきか、或いは嘘をつくべきか。どう答えても好転するようには思えない。
「半ば強制的に連れてこられただけで、仲良くとはいけないかな」
ならば、はぐらかすしかない。
そう思って苦笑いを浮かべて相手を見ると、まるで吸い込まれるような感触が顔を包んだ。
その正体が彼女の瞳だと分かるのに時間は掛からず、すぐに目を背ける。
「あらら、訓練されてるのは間違いないかぁ」
正体こそ分からなかったものの、対応としては正解だったらしい。対魔具の訓練をした記憶は無いが、過大評価というのは否定し難かった。
彼女の魔具は恐らく嘘を見抜けるか、或いは心を読む類いの物だろう。条件は目を見て話すといった所か。
「ま、いっか。ささ、どーぞどーぞ」
ようやく中に入れるようで、少女は先に中へと入り、自分もそれに続く。
部屋の中央には長机と六脚のキャリー付きの椅子が並び、それだけを避けて部屋中に私物らしき物が散乱していた。
その内の黒い二人がけソファにはいくつかのぬいぐるみが置いてあり、先ほどの子が寝転がってそれを抱きしめる。アレには近づかないように気を付けよう。
反対の位置には棚が置いてあり、ガラスの部分には飴の入った瓶が敷き詰められていた。このご時世にこれだけ集めたら、一年は交換物資だけで生活できそうだ。
それにもたれて座っているのはキンで、刀を抱えたまま片膝を立てている。よく見ると右の頰に小さな膨らみがあり、すぐに左の頰へと移された。
「好きにしてるといい」
彼女はこちらの視線に気付くと、それだけ言って壁を見つめ始める。しかし、飴はやらんと顔に書いてあり、本当に自由にしたら手痛いしっぺ返しがあるのだろう。
他にもエレキギターや床に積まれた本の山。しまいには脱ぎ散らかされた男物の服まである始末。
よく見たら本の表紙はいかがわしい物で、しっかりと頭に入れてから床に座り込んだ。
状況は依然として分からないが、誰も何もしていないせいか居心地が悪い。特に、ソファに横たわる双眸がこちらから離れない事には、抗議の一つも出そうだ。
それを我慢してどれほど経ったか。不意に硬質な音が聞こえて全員が扉に顔を向ける。
音はかなり遠く、エレベーターの蓋を開けた音が聞こえてきたのだろう。耳を澄ましてみたものの、流石に梯子を下る音までは拾えなかった。
「キンよろしくー」
「大人しくしていろよ」
キンは分かっていたように立ち上がり、告げてから部屋を出て行く。しかしながら、刃物すら持ってないのだから、暴れようにも良い結果が見えない。そんなに浅慮に見えるのだろうか。
「ふふん。今のうちに……」
そう思った矢先、ソファのぬいぐるみが放り出され、少女が悪戯な笑顔をしながら立ち上がる。まさかとは思うが、さきほどのはこちらに言った訳ではないのだろうか。
「大人しくしていろよ?」
「あーはいはい分かりましたとも」
それを見計らったように扉が開くと、念押しをされて渋々ソファに座りなおす。対等な立場のように見えるが、やはりカーストというのはどこにでもあるらしい。
扉はまた閉められ、パンプスの音が声高に離れていった。
「長生きしたかったら、飴には手を出しちゃダメだよ? これ、先輩からの教訓ね」
「はは……」
なんとも呑気な様子に、苦笑いしか出なかった。こちらはどう逃げ出すか考えているのに、まるで警戒している様子がない。
それどころか、当たり前のようにこちらを一員として扱ってきている。予め牽制はしておいたのに、もう忘れたというのか、或いは。
「まぁ、一個くらいならくすねてもバレないけどね」
本当に頭が緩いのか。
そんな事を思いながら、楽しげに笑う相手から視線を外すと、足音がして耳を澄ませる。
硬い音が二つに、何やら軽くて空気を含んだ音が一つ。それは真っ直ぐこちらへ進み、まもなくして扉が開かれた。
現れたのは、無精髭を蓄えた茶髪の中年のオッサンと、バンダナで目を覆った同年代らしき赤髪の若者だった。どうやら、軽い音は中年の履いているサンダルが原因らしい。その後ろにはキンが付いており、三人は部屋に入るとこちらを囲むようにして止まる。
何も話されなくても分かる。値踏みされるような視線に、威圧的な無言。こちらから口を開く事はできず、ただ黙ってそれが済むのを耐えるしかない。
「お前さん、胸派? 尻派?」
そう腹をくくった矢先、中年の言葉に意図せずこちらの口が開いた。
「虎さんそれはねぇって。こいつは面食いだ。じゃなきゃどっちも足りないキンに付いてくる訳が無い!」
「ちげぇねぇ!」
まるで酒でも入ってるかのような様子に、口を挟む事さえできなかった。隣ではこめかみを抑えてため息を吐いており、何も言われずともこれが当たり前な光景だと分かる。
「いや、俺は無理やり連れてこられただけだ。仲間になる気はないからな」
警戒心を惰性で維持しているものの、それも長くはもちそうにない。言葉とは裏腹に、自分の頰が緩んでいることはすぐに分かった。
「おいおい、ってーとお前さんもキンにボコられた口か?」
すると、バンダナの男が一歩出て、そんな事を口走る。
「お前さん、も?」
「あー懐かしいな。食料漁ってたら後ろから殴られて、目が覚めたらこんな状況。そりゃ信用なんかできないよなぁ」
どうやら、彼はもっと酷い目に遭っていたらしい。しかし、見るからに今はキンの仲間で、どう納得したのか非常に気になる所だ。
「違う。来いと伝えたら付いてきただけだ」
「いやいやいや!」
そう逡巡していると、あまりにも間違った話を聞かされ、思わず言葉を挟んでしまう。
とても大切な部分を切り取った、まるでゴシップ記事のような話だ。
「一言だけ交わしたら問答無用で斬りかかって来たんだぞ? 断ろう物なら殺されるかと思ったからな!」
「ふむ、覚えて無いな」
キンはあくまでもしらばっくれるつもりらしく、さも知らないと言いたげに首を傾げていた。やはり美人にろくな奴は居ない。心なしか顔が歪んで見える。
「とりあえずさ、そろそろ本題に入ろうか」
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