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微笑み66
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翌日になり学園に行くと───
「えっ?レオン王子が休み?」
「はい。少し体調を崩されたみたいで」
担任の教師から欠席と聞いてシオンは悶々とした。
『もう!なによ!せっかく今までの事を聞こうと、気合い入れてきたのに!?』
シオンはイライラしていた。
コソッ
「ねぇ、ユーリさん?シオン様の機嫌が悪いのだけれど?」
「そうね。珍しい事もあるのね?いったいレオン王子は何を仕出かしたのかしら?」
シオンの雰囲気で近寄り難い空気を感じていた。
「………ねぇ、セーラ様、本日学園が終わったらレオン王子に会いに行ってもいいかしら?」
!?
「は、はい!ぜひいらっして下さい!歓迎致しますわ♪」
「ありがとう」
シオンはふかぶかと頭を下げると席に着いた。
そして、放課後になりお城へと向かった。
「………ねぇ?どうしてユーリもいるの?」
「えっと、ちょっと用事があって………」
ジトーーーーと睨まれてユーリは冷や汗をかいていた。
「別に良いけど邪魔はしないでね?」
「酷い!私もいつも邪魔なんて───」
「しているよね?」
「はい。………すみません。本当に何もしませんので」
『うがーーーー!!!!信用ねぇーーーー!!!!私だってきたくなかったのよ!でも、腹黒王子達に見張っていろって賄賂を貰ったから仕方ないじゃない!!!?』
いや、賄賂をもらった時点で自業自得だろうに。
面白そうな事に目がないユーリは悪ノリしやすい欠点があった。自業自得である。
「まぁまぁ、それでお兄様に何の用があるのですか?」
「ごめんなさい。レオン王子と二人で話したい事があるの。今は話せない」
「そ、そうですか」
セーラ王女は空気を読んでそれ以上は聞かなかった。重苦しい空気の中、ようやくお城にたどり着いた。
「先触れでシオン様が来ることは伝えております。ではごゆっくり」
レオン王子の部屋に着くとセーラとユーリはその場を後にした…………と、見せかけて隣の部屋へ入った。
「さて、お兄様が暴走しないか聞き耳立てますわよ!」
「………本当に王女様なのかしら?」
ユーリも呆れながら壁に耳を当てるのであった。
「い、いらっしゃいシオン。どうしてここに?」
レオン王子は緊張していた。
『し、シオンが俺の部屋に!?どうすれば良いんだ!?』
平常心を心掛けながらすでにテンパっていた。
「突然の訪問ごめんなさい。怪我の具合いはどうですか?」
「ああ、もう大丈夫だ。大事を取って安んだだけで、明日には学園にいくよ。………うん?」
あれ?どうして怪我をしたことを知っているんだ?
「それは良かったです。私を庇って出来た傷が酷くなくて」
!?
「えっと、シオンさん?」
「ねぇ、隊長さん、どうして今まで秘密にしていたのかな?」
バレてる!?
「な、なんのこ───」
「もう知っているから。どうして今まで何度も会っていたのに教えてくれなかったの?」
ああ、もう隠すのは無理か………
レオン王子は観念して話した。
「そうか、今まで隠していてすまなかった」
「その理由を話して欲しいの」
レオン王子は少し考えながらこたえた。
「最初は本当に偶然だったんだ。王子の自分が小隊を率いて国中を見て回っているのは秘密だったし、2回目以降はなかなか正体を明かす機会がなくてな。それに………」
「それに?」
「ふ、フルフェイスの兜をしているとシオンと緊張せず話せるのが嬉しくて」
ボッとシオンの顔が赤くなった。
「港町の事覚えてる?いきなり私の足に………その……毒を吸い出そうとしたとき、凄く恥ずかしかったんだからね?」
「あの時は万が一の事があったらと気が動転して……ごめん………」
レオン思い出して赤くなった。
ああ、もうシオンに嫌われた。もう俺は終わりだ………
哀愁漂う顔でレオンはシオンを見つめた。
「私ね、最近変なの。この1年で婚約者を決めろと言われて、みんなと色々と一緒に過ごしたりして親睦を深めていたけど、いつも隊長さんの事を思い出していたの」
「えっ?」
「私も貴族だから家のために何処かに嫁がないといけないのはわかっているの。でも何だか実感がわかなくて、ここまでズルズルきてしまったわ」
レオンはシオンの言葉を真剣に聞いていた。
「でも、気付いたの。最近は顔も知らない隊長の事ばかり考えているって。私って聖女とか、なんだかんだで持ち上げられて、守って貰ったのって久しぶりだったの。いつもは私が魔物を倒したり守ったりするばかりだったから」
一区切り付いてシオンは続けた。
「でもよかった。隊長さんがレオン王子で」
「そ、それは一体………」
シオンは赤くなりながら言った。
「だって私、隊長さんの事が【好き】だったみたいだから。もし知らない人だったら婚約者候補のみんなに『ごめんなさい』を言わないといけなかったでしょう?」
イマナンテイッタ?
レオンの脳内はシオンの言葉を理解できなかった。
「あ、あのレオン王子は………私のこと好きですか?」
レオンの脳内パニックは最高潮を迎えようとしていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「よ、ようやくここまで書けたよ~この甘酸っぱい話を書きたかったのに!いつもいつも邪魔が入って話が逸れるし!」
シオン
ポッ~~~
愚者の声
「これで最後まで………クククッ」
はっ!?
シオン
「ハレンチいけないと思います!」
バチーーーーーン!!!!!
うぎゃー!?
愚者の声
「き、貴様はどこの委員長様なんだよ………ガクッ」
「えっ?レオン王子が休み?」
「はい。少し体調を崩されたみたいで」
担任の教師から欠席と聞いてシオンは悶々とした。
『もう!なによ!せっかく今までの事を聞こうと、気合い入れてきたのに!?』
シオンはイライラしていた。
コソッ
「ねぇ、ユーリさん?シオン様の機嫌が悪いのだけれど?」
「そうね。珍しい事もあるのね?いったいレオン王子は何を仕出かしたのかしら?」
シオンの雰囲気で近寄り難い空気を感じていた。
「………ねぇ、セーラ様、本日学園が終わったらレオン王子に会いに行ってもいいかしら?」
!?
「は、はい!ぜひいらっして下さい!歓迎致しますわ♪」
「ありがとう」
シオンはふかぶかと頭を下げると席に着いた。
そして、放課後になりお城へと向かった。
「………ねぇ?どうしてユーリもいるの?」
「えっと、ちょっと用事があって………」
ジトーーーーと睨まれてユーリは冷や汗をかいていた。
「別に良いけど邪魔はしないでね?」
「酷い!私もいつも邪魔なんて───」
「しているよね?」
「はい。………すみません。本当に何もしませんので」
『うがーーーー!!!!信用ねぇーーーー!!!!私だってきたくなかったのよ!でも、腹黒王子達に見張っていろって賄賂を貰ったから仕方ないじゃない!!!?』
いや、賄賂をもらった時点で自業自得だろうに。
面白そうな事に目がないユーリは悪ノリしやすい欠点があった。自業自得である。
「まぁまぁ、それでお兄様に何の用があるのですか?」
「ごめんなさい。レオン王子と二人で話したい事があるの。今は話せない」
「そ、そうですか」
セーラ王女は空気を読んでそれ以上は聞かなかった。重苦しい空気の中、ようやくお城にたどり着いた。
「先触れでシオン様が来ることは伝えております。ではごゆっくり」
レオン王子の部屋に着くとセーラとユーリはその場を後にした…………と、見せかけて隣の部屋へ入った。
「さて、お兄様が暴走しないか聞き耳立てますわよ!」
「………本当に王女様なのかしら?」
ユーリも呆れながら壁に耳を当てるのであった。
「い、いらっしゃいシオン。どうしてここに?」
レオン王子は緊張していた。
『し、シオンが俺の部屋に!?どうすれば良いんだ!?』
平常心を心掛けながらすでにテンパっていた。
「突然の訪問ごめんなさい。怪我の具合いはどうですか?」
「ああ、もう大丈夫だ。大事を取って安んだだけで、明日には学園にいくよ。………うん?」
あれ?どうして怪我をしたことを知っているんだ?
「それは良かったです。私を庇って出来た傷が酷くなくて」
!?
「えっと、シオンさん?」
「ねぇ、隊長さん、どうして今まで秘密にしていたのかな?」
バレてる!?
「な、なんのこ───」
「もう知っているから。どうして今まで何度も会っていたのに教えてくれなかったの?」
ああ、もう隠すのは無理か………
レオン王子は観念して話した。
「そうか、今まで隠していてすまなかった」
「その理由を話して欲しいの」
レオン王子は少し考えながらこたえた。
「最初は本当に偶然だったんだ。王子の自分が小隊を率いて国中を見て回っているのは秘密だったし、2回目以降はなかなか正体を明かす機会がなくてな。それに………」
「それに?」
「ふ、フルフェイスの兜をしているとシオンと緊張せず話せるのが嬉しくて」
ボッとシオンの顔が赤くなった。
「港町の事覚えてる?いきなり私の足に………その……毒を吸い出そうとしたとき、凄く恥ずかしかったんだからね?」
「あの時は万が一の事があったらと気が動転して……ごめん………」
レオン思い出して赤くなった。
ああ、もうシオンに嫌われた。もう俺は終わりだ………
哀愁漂う顔でレオンはシオンを見つめた。
「私ね、最近変なの。この1年で婚約者を決めろと言われて、みんなと色々と一緒に過ごしたりして親睦を深めていたけど、いつも隊長さんの事を思い出していたの」
「えっ?」
「私も貴族だから家のために何処かに嫁がないといけないのはわかっているの。でも何だか実感がわかなくて、ここまでズルズルきてしまったわ」
レオンはシオンの言葉を真剣に聞いていた。
「でも、気付いたの。最近は顔も知らない隊長の事ばかり考えているって。私って聖女とか、なんだかんだで持ち上げられて、守って貰ったのって久しぶりだったの。いつもは私が魔物を倒したり守ったりするばかりだったから」
一区切り付いてシオンは続けた。
「でもよかった。隊長さんがレオン王子で」
「そ、それは一体………」
シオンは赤くなりながら言った。
「だって私、隊長さんの事が【好き】だったみたいだから。もし知らない人だったら婚約者候補のみんなに『ごめんなさい』を言わないといけなかったでしょう?」
イマナンテイッタ?
レオンの脳内はシオンの言葉を理解できなかった。
「あ、あのレオン王子は………私のこと好きですか?」
レオンの脳内パニックは最高潮を迎えようとしていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「よ、ようやくここまで書けたよ~この甘酸っぱい話を書きたかったのに!いつもいつも邪魔が入って話が逸れるし!」
シオン
ポッ~~~
愚者の声
「これで最後まで………クククッ」
はっ!?
シオン
「ハレンチいけないと思います!」
バチーーーーーン!!!!!
うぎゃー!?
愚者の声
「き、貴様はどこの委員長様なんだよ………ガクッ」
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