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微笑み65
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グレイが魔物を倒して騎士団に救援要請をお願いしている頃───
崖下では───
「うん………」
気を失っていたシオンが目を覚ました。
「ここは……私はどうなったの……」
崖下は日が当たらなく薄く暗かった。
シオンはすぐに自分の状況把握を行なった。
「擦り傷はあるけれど大きな怪我はなし」
よくあの高さから落ちて無事だったなぁ~
自分の幸運に感謝していると、足下からうめき声が聞こえた。
「ひゃっ!?ごめんなさい!」
シオンは隊長さんの上に座っていたのだ。
「ぐっ、ぶ、無事でよかった………」
慌てて飛び去るとすぐにライトの魔法で周囲を明るくした。
「そうか、隊長さんが助けてくれたんですね。ありがとうございます」
………隊長から返事がなかった。シオンが無事なのを知ってまた気を失ったようだ。
「早く回復魔法掛けないと。ちょっと兜とりますね~」
今まで頑なにフルフェイスの兜を取らなかったね。ちょっと気になっていたの。
傷の具合いを見るために外すと───
「えっ!?ウソでしょう!」
兜の下には見知った顔が…………
「なんで・・・・」
シオンは戸惑いを隠せなかった。
少し呆然としていたが、すぐに我に返ると回復魔法を掛けた。
「骨折しているわね。でも、命には別状なさそう」
目を覚ましたら聞きたいことがいっぱいあるの。早く目を覚ましてね。
シオンはそこまで考えて思い出した。
「あ・・・私、この前の海で足を──」
クラゲに刺されて足を吸われたことを思い出して、また真っ赤になるのだった。
それから間も無くして、傷を癒してくれた天使シオンを救おうと、騎士団の連中が崖からロープで次から次に飛び降りてきてびっくりするのはもう少し後の事であった。
隊長さんは目が覚める前に騎士団が連れて行ってしまった。
・
・
・
・
・
・
・
・
──冒険者ギルド──
「大変でしたね。お怪我は大丈夫ですか?」
「ええ、擦り傷です。それより依頼の品物です」
受付嬢さんがタネを受け取った。
「どうしたのリンちゃん?戻ってくるまで元気ないけど?」
「だってお姉様が死んじゃったかと思って・・・私が着いて行くなんて言わなければ・・・」
「最初から言っていたでしょう?冒険者はいつ死ぬかわからない危険な仕事だって。でもね、困っている人を助けるお仕事でもあるからやりがいはあるのよ?」
依頼達成の料金を貰うとシオンはリンとカイに渡した。
「こっちこそ心配かけてごめんね。はい、これが今回の報酬よ。簡単な依頼だから少ないけど、帰りに好きなパンケーキを色々買えるわよ」
「も、もらえません!私、何もしてないのに・・・」
「今回はパーティで話し合って決めていたの。初の冒険に出てからの依頼達成の報酬は『経験』を学んだリンちゃん達に渡すってね」
「そうよ。気にしないで。冒険にトラブルはつきものだけど、今回は怖い目に合わせてごめんね」
ナイカやグレイも軽く謝った。
「リン、これからはシオン姉に迷惑かけないようしっかり考えてからお願いしようね」
カイも思うところがあるのかリンの頭を撫でながら言った。
コソッ
「ねぇ、グレイさん。私たち今回の事で公爵様に殺されますかね?」
「言うな。良い感じで終わろうとしているんだから」
フレイムハート公爵家に雇われているメイドと私設騎士団の三人は聖女と呼ばれるほど人気の高いシオンがまさか死ぬところだったなどと、父親の公爵に報告すれば殺される未来しか見えないのであった。
そしてシオンは隊長の正体について学校で問い詰めようと心に決めた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「ついにバレちゃったなー!」
シオン
「まさか、隊長さんが………」
愚者の声
「そだねー」
シオン
「あんなに若い男性だったなんて!」
愚者の声
「そっちーーー!!!?」
崖下では───
「うん………」
気を失っていたシオンが目を覚ました。
「ここは……私はどうなったの……」
崖下は日が当たらなく薄く暗かった。
シオンはすぐに自分の状況把握を行なった。
「擦り傷はあるけれど大きな怪我はなし」
よくあの高さから落ちて無事だったなぁ~
自分の幸運に感謝していると、足下からうめき声が聞こえた。
「ひゃっ!?ごめんなさい!」
シオンは隊長さんの上に座っていたのだ。
「ぐっ、ぶ、無事でよかった………」
慌てて飛び去るとすぐにライトの魔法で周囲を明るくした。
「そうか、隊長さんが助けてくれたんですね。ありがとうございます」
………隊長から返事がなかった。シオンが無事なのを知ってまた気を失ったようだ。
「早く回復魔法掛けないと。ちょっと兜とりますね~」
今まで頑なにフルフェイスの兜を取らなかったね。ちょっと気になっていたの。
傷の具合いを見るために外すと───
「えっ!?ウソでしょう!」
兜の下には見知った顔が…………
「なんで・・・・」
シオンは戸惑いを隠せなかった。
少し呆然としていたが、すぐに我に返ると回復魔法を掛けた。
「骨折しているわね。でも、命には別状なさそう」
目を覚ましたら聞きたいことがいっぱいあるの。早く目を覚ましてね。
シオンはそこまで考えて思い出した。
「あ・・・私、この前の海で足を──」
クラゲに刺されて足を吸われたことを思い出して、また真っ赤になるのだった。
それから間も無くして、傷を癒してくれた天使シオンを救おうと、騎士団の連中が崖からロープで次から次に飛び降りてきてびっくりするのはもう少し後の事であった。
隊長さんは目が覚める前に騎士団が連れて行ってしまった。
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──冒険者ギルド──
「大変でしたね。お怪我は大丈夫ですか?」
「ええ、擦り傷です。それより依頼の品物です」
受付嬢さんがタネを受け取った。
「どうしたのリンちゃん?戻ってくるまで元気ないけど?」
「だってお姉様が死んじゃったかと思って・・・私が着いて行くなんて言わなければ・・・」
「最初から言っていたでしょう?冒険者はいつ死ぬかわからない危険な仕事だって。でもね、困っている人を助けるお仕事でもあるからやりがいはあるのよ?」
依頼達成の料金を貰うとシオンはリンとカイに渡した。
「こっちこそ心配かけてごめんね。はい、これが今回の報酬よ。簡単な依頼だから少ないけど、帰りに好きなパンケーキを色々買えるわよ」
「も、もらえません!私、何もしてないのに・・・」
「今回はパーティで話し合って決めていたの。初の冒険に出てからの依頼達成の報酬は『経験』を学んだリンちゃん達に渡すってね」
「そうよ。気にしないで。冒険にトラブルはつきものだけど、今回は怖い目に合わせてごめんね」
ナイカやグレイも軽く謝った。
「リン、これからはシオン姉に迷惑かけないようしっかり考えてからお願いしようね」
カイも思うところがあるのかリンの頭を撫でながら言った。
コソッ
「ねぇ、グレイさん。私たち今回の事で公爵様に殺されますかね?」
「言うな。良い感じで終わろうとしているんだから」
フレイムハート公爵家に雇われているメイドと私設騎士団の三人は聖女と呼ばれるほど人気の高いシオンがまさか死ぬところだったなどと、父親の公爵に報告すれば殺される未来しか見えないのであった。
そしてシオンは隊長の正体について学校で問い詰めようと心に決めた。
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【後書き】
愚者の声
「ついにバレちゃったなー!」
シオン
「まさか、隊長さんが………」
愚者の声
「そだねー」
シオン
「あんなに若い男性だったなんて!」
愚者の声
「そっちーーー!!!?」
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