31 / 104
話し合いです!
しおりを挟む
次の日─
シオンはグランが来る時間がわからないため、朝から準備に追われていた。
「皆さん!本日のお客様は最上位の『おもてなし』をしてください!粗相すると戦争になるかも知れません!」
「「「はい!シオンお嬢様!!!」」」
シオンの『屋敷』はシルクード領が発展しても、防犯上の設備を少し増設したくらいで、内部は前とほとんど変わっていない。それは、余り大きいと掃除が大変で、メイドや執事をたくさん雇わないといけないという理由からであった。
しかし、シオンの魔術とウンディーネのお陰で、外見は新築のように綺麗になっていた。
ただ、待ち人はなかなか現れなかった。
「…………あれ?」
「来ませんね~?」
グランがやって来たのは午後になってからであった。
「………すまぬ。少々遅れてしまった」
顔色の悪いグランを見て、シオンはびっくりした。昨日と別人である!そして、何故か国王様も一緒に来ていたのだ。
「どうしたんですか!?大丈夫ですか!」
「あ、頭が…………」
「ただの二日酔いだ。気にしないでくれ………」
コテンッ!
「何をやっているんですか~」
シオンは盛大にずっこけた!
屋敷へ入ると冷たい水を用意し、ようやく話し合いの席に着いた。
ゴグゴクッ!!!
「ぷはー!助かった。さっきよりマシになった!」
「本当になー」
一体何があったのか、ずいぶんと打ち解けているようだ。
「ごほんっ!それで、私にどのようなご用件でしょうか?」
グランも先ほどとは違い、背筋を伸ばしてシオンと向き合った。
「ウンディーネ殿に用がある。会わせてくれぬか?」
「待て!」
そこに国王様が待ったを掛けた。
「まずは理由を話して貰いたい。四大精霊であるウンディーネに何か危害を加えられても困る!」
「国王様、グランさんなら大丈夫ですよ?」
「シオン君はコイツが何者か知らないからそんな事が言えるのだ!」
「いえ、知っていますよ?詳しくは言えませんが、私はある程度相手が何者かわかるのです。だから朝から最上位のおもてなしの用意をしてたんですよ!」
国王は驚いた顔でシオンを見た。
「知っていて屋台の手伝いをさせたのか?」
えっ?そこですか!?
「違いますよ!グランのお爺さんが手伝いを申し出てくれたからです!」
おっと、話が逸れましたね。本題に戻りましょう。
「そ・れ・よ・り!どうしてウンディーネに会いたいのですか?」
少しの沈黙の後、グランは重たい口を開いた。
「ノームの居場所が知りたいのだ」
!?
「「「ノーム!!!」」」
その場にいた皆が驚いた。
「ノームって誰?」
ズコーッ!!!
「何で驚いたんだ!?」
「ごめんなさい!ノリで………」
はぁ~とため息を吐かれて続けました。
『ノームとは妾と同じく四大精霊の一柱である』
部屋の隅から水が滴り落ちてウンディーネが現れた。
「ディーネ!?もうっ!勝手に出てきちゃダメでしょう!」
「すまぬな主殿よ。しかし、同じ四大精霊の話題が出たのじゃ。話ぐらいは聞いてみようではないか?」
ウンディーネはグランに向き合いそう言った。
「して、どうしてノームの居場所が知りたいのじゃ?」
「ワシは昔、ノームに会った事があるのだ」
!?
「それは本当か!?」
「うむ、我が帝国の王族は強さが求められるのじゃ。若き日には、ダンジョンに潜りレベルを上げたものじゃのぅ。そんな時じゃった。ダンジョンで魔物に襲われ、深手を負った時にノームが現れて魔物を倒し、ワシの手当てをしてくれたのじゃ」
「ノームがそんな事を………」
「ノームは褐色のスレンダーな『美女』じゃった。北の部族の様な民族衣装を着ていたのぅ………」
グランは遠い日の想い出を思い出すように目を瞑りしみじみしていた。
「それで?まだ明確な回答を貰っていないけど?」
「そうじゃな。あれ以来、ノームの目撃情報はない。ワシはあの時の礼が言いたいのだよ」
もしそれが本当なら問題ないのだけれど………
「それだけではあるまい?リュミナス王国だけ四大精霊を囲っているのが面白くないのだろう?」
「それはそうじゃ。一国のみ強大な力を手に入れては他国には脅威じゃ。特にアーデン法王国は何か企んでおるようじゃしの?」
悪びれもなく、別の目的もサラッというグランは流石であった。
「ノーム…………ね?」
「ディーネは他の四大精霊の居場所を知っているの?」
シオンの問い掛けにウンディーネは少し困ったように答えた。
「妾達は、この世界の自然界のバランスを保つ為に、それぞれの地域に存在しているのじゃ。昔は自由に動けたのじゃが、いつの間にかその地域から移動が出来なくなっておった。故に、近付けばある程度の場所はわかるが、ここからだと正確な場所はわからぬ」
ウンディーネの言葉にグランは落胆した。
「でも、近くに行けばわかるんだよね?ウンディーネが帝国に行けば分かるって事だよね?」
!?
「シオン君!何を言うんだ!」
「そうですよシオンお嬢様!ウンディーネ様がここから居なくなりますと、温泉街などに支障がでますよ!」
国王様とアンさんが反論した。
「でもね。ウンディーネと会ったとき、寂しそうだったから………他の精霊さんも1人で寂しいかなって思ったの………」
シオンの一言にその場が静かになった。
シオンはグランが来る時間がわからないため、朝から準備に追われていた。
「皆さん!本日のお客様は最上位の『おもてなし』をしてください!粗相すると戦争になるかも知れません!」
「「「はい!シオンお嬢様!!!」」」
シオンの『屋敷』はシルクード領が発展しても、防犯上の設備を少し増設したくらいで、内部は前とほとんど変わっていない。それは、余り大きいと掃除が大変で、メイドや執事をたくさん雇わないといけないという理由からであった。
しかし、シオンの魔術とウンディーネのお陰で、外見は新築のように綺麗になっていた。
ただ、待ち人はなかなか現れなかった。
「…………あれ?」
「来ませんね~?」
グランがやって来たのは午後になってからであった。
「………すまぬ。少々遅れてしまった」
顔色の悪いグランを見て、シオンはびっくりした。昨日と別人である!そして、何故か国王様も一緒に来ていたのだ。
「どうしたんですか!?大丈夫ですか!」
「あ、頭が…………」
「ただの二日酔いだ。気にしないでくれ………」
コテンッ!
「何をやっているんですか~」
シオンは盛大にずっこけた!
屋敷へ入ると冷たい水を用意し、ようやく話し合いの席に着いた。
ゴグゴクッ!!!
「ぷはー!助かった。さっきよりマシになった!」
「本当になー」
一体何があったのか、ずいぶんと打ち解けているようだ。
「ごほんっ!それで、私にどのようなご用件でしょうか?」
グランも先ほどとは違い、背筋を伸ばしてシオンと向き合った。
「ウンディーネ殿に用がある。会わせてくれぬか?」
「待て!」
そこに国王様が待ったを掛けた。
「まずは理由を話して貰いたい。四大精霊であるウンディーネに何か危害を加えられても困る!」
「国王様、グランさんなら大丈夫ですよ?」
「シオン君はコイツが何者か知らないからそんな事が言えるのだ!」
「いえ、知っていますよ?詳しくは言えませんが、私はある程度相手が何者かわかるのです。だから朝から最上位のおもてなしの用意をしてたんですよ!」
国王は驚いた顔でシオンを見た。
「知っていて屋台の手伝いをさせたのか?」
えっ?そこですか!?
「違いますよ!グランのお爺さんが手伝いを申し出てくれたからです!」
おっと、話が逸れましたね。本題に戻りましょう。
「そ・れ・よ・り!どうしてウンディーネに会いたいのですか?」
少しの沈黙の後、グランは重たい口を開いた。
「ノームの居場所が知りたいのだ」
!?
「「「ノーム!!!」」」
その場にいた皆が驚いた。
「ノームって誰?」
ズコーッ!!!
「何で驚いたんだ!?」
「ごめんなさい!ノリで………」
はぁ~とため息を吐かれて続けました。
『ノームとは妾と同じく四大精霊の一柱である』
部屋の隅から水が滴り落ちてウンディーネが現れた。
「ディーネ!?もうっ!勝手に出てきちゃダメでしょう!」
「すまぬな主殿よ。しかし、同じ四大精霊の話題が出たのじゃ。話ぐらいは聞いてみようではないか?」
ウンディーネはグランに向き合いそう言った。
「して、どうしてノームの居場所が知りたいのじゃ?」
「ワシは昔、ノームに会った事があるのだ」
!?
「それは本当か!?」
「うむ、我が帝国の王族は強さが求められるのじゃ。若き日には、ダンジョンに潜りレベルを上げたものじゃのぅ。そんな時じゃった。ダンジョンで魔物に襲われ、深手を負った時にノームが現れて魔物を倒し、ワシの手当てをしてくれたのじゃ」
「ノームがそんな事を………」
「ノームは褐色のスレンダーな『美女』じゃった。北の部族の様な民族衣装を着ていたのぅ………」
グランは遠い日の想い出を思い出すように目を瞑りしみじみしていた。
「それで?まだ明確な回答を貰っていないけど?」
「そうじゃな。あれ以来、ノームの目撃情報はない。ワシはあの時の礼が言いたいのだよ」
もしそれが本当なら問題ないのだけれど………
「それだけではあるまい?リュミナス王国だけ四大精霊を囲っているのが面白くないのだろう?」
「それはそうじゃ。一国のみ強大な力を手に入れては他国には脅威じゃ。特にアーデン法王国は何か企んでおるようじゃしの?」
悪びれもなく、別の目的もサラッというグランは流石であった。
「ノーム…………ね?」
「ディーネは他の四大精霊の居場所を知っているの?」
シオンの問い掛けにウンディーネは少し困ったように答えた。
「妾達は、この世界の自然界のバランスを保つ為に、それぞれの地域に存在しているのじゃ。昔は自由に動けたのじゃが、いつの間にかその地域から移動が出来なくなっておった。故に、近付けばある程度の場所はわかるが、ここからだと正確な場所はわからぬ」
ウンディーネの言葉にグランは落胆した。
「でも、近くに行けばわかるんだよね?ウンディーネが帝国に行けば分かるって事だよね?」
!?
「シオン君!何を言うんだ!」
「そうですよシオンお嬢様!ウンディーネ様がここから居なくなりますと、温泉街などに支障がでますよ!」
国王様とアンさんが反論した。
「でもね。ウンディーネと会ったとき、寂しそうだったから………他の精霊さんも1人で寂しいかなって思ったの………」
シオンの一言にその場が静かになった。
1
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さくら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる