悪徳領主の娘に転生しました。貧乏領地を豊かにします!

naturalsoft

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蹂躙せよ!

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シオンが魔力を溜めている時、異変に気付いたのはイルミナ将軍であった。

「むっ?なんだ!?この膨大な魔力は!?」

副官がイルミナ将軍を心配そうに尋ねた。

「どうされました?将軍?」

「副官、すぐに軍事演習をやめ、王国側の向きで隊列を取らせろ!陣形は鉄壁の型でだ。急げ!!!」

イルミナ将軍のただならぬ気迫に、副官はすぐに走った。イルミナ将軍は額に汗を描きながら、王国側の国境を見据えた。

『なんだ?この馬鹿げた魔力は!?兵の中でも騒ぎ出したヤツがいるな。当然だ!魔法の得意な者なら王国側から発する、膨大な魔力を感じるだろう。まさか、大規模戦略魔法か?いや、王国が我々の事を知っても、援軍を連れてくるまでに3日ほどは掛かる。ではなんだ?これは!?』

聖堂聖騎士団の鉄壁の陣形とは、先頭が大きな鉄の盾を構えた重装歩兵、後ろに槍兵、弓兵が控える陣形である。敵の猛攻を防いだのち、槍兵が後ろから刺して、さらに弧を描くように弓兵が攻撃する陣形であった。

聖堂聖騎士団はよく訓練されていて、俊敏に陣形を組む事ができた。そして、少しして眩い光が王国側から発せられた。

眩い光と同時に、多数のゴーレムが現れたのだ!

!?

「あれは………ゴーレムか!?各自、戦闘態勢!!!!」

イルミナ将軍が叫ぶと同時にウッドゴーレム達が動き出した。

ウッドゴーレムは全部で約300体召喚され、200体は槍(木製)を装備していた。槍の先端は丸い玉状になっており、打撃攻撃となっている。残りの100体は剣(木製)と盾(木製)を装備していた。

そして少数ではあるが、水のゴーレムが1体と岩でできたゴーレムが10体存在していた。これは指揮官でボスクラスの強さである。(いえ、ウッド君一体一体も強いですが!?)

ウッドゴーレム部隊が聖堂聖騎士団へ攻撃を仕掛けた!!!

鉄の大盾を前に重装歩兵達はウッド君の槍(木製)を防ごうとしたが─

ガキッーーーーーーン!!!!

ウッド君の一撃で鉄の盾が凹んだり、盾そのものを吹き飛ばされたりした。

「うわぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」
「なんて馬鹿力なんだ!?」
「化物かっ!!!?」

早々に陣形が崩れ掛かった所を、後ろから槍兵の攻撃が入った。

ザック!!!

木製であるウッド君ではあったが、鉄の槍は表面を傷付けるだけで、大きなダメージを与えるほどには至らない!?弓兵の弓矢も同様であった。どんな近距離からでも矢がウッド君に刺さることはなかった。

「なんだ!?こいつは!?」
「木のゴーレムだよな?メチャクチャ硬いんだが!?」
「バカな!矢が刺さらない!?」
「一体一体がもの凄く強いぞ!!!」

ゴーレムの快進撃が止まらず、聖堂聖騎士団はすぐに陣形が崩れ蹂躙されていった。

ウッド君の一突きで鎧がへこみ、殴打されて倒される。
逆に騎士団側はウッド君を倒せないでいたのだ。
あっと言う間に、多くの騎士達が打ちのめされて倒れていった。

「これほどとは……………陣形の指示も間に合わないほどに崩れるのが早い!?」

イルミナ将軍は建て直しを放棄して、撤退命令を出した。

「撤退せよ!!!!」

将軍の叫び声に、伝令係が撤退の笛を鳴らした。
撤退を開始しても、その後を追うようにウッド君が追撃し、騎士団達を倒していった。

しかし、そのウッド君も無敵ではなかった。
前衛にいたウッド君が魔法の炎で焼かれたのだ。

「そこまでだ!例え強大なゴーレムとて、一矢報いてやる!我が愛刀『レーヴァテイン』の焔で消し炭にしてくれる!」

イルミナ将軍は刀身に炎を纏わせた魔剣で、ウッド君へ斬り掛かった!

ザシュッ!!!

あれほど、騎士達が傷を付けるのがやっとだったウッド君を一刀両断にした。
そして素早い動きでどんどんウッド君を屠っていった。

それをみていたシオン達は─

「…………強いですね。あれがイルミナ将軍ですか?」

シオンの問い掛けにグランが答えた。

「ああそうだ。法王国軍でも最強と呼ばれている者だな。あのウッドゴーレムを一撃で倒すとは流石だな」

他の者も、目の前の戦いに目が放せないでいた。すでに1000人ほどは骨折などで動けない状態になって倒れていた。ここまでで作戦は成功したと言って良いだろう。
この蹂躙は法王国への警告でもあったのだ。今度、手を出せば軍を使わなくとも貴様らを倒せるのだぞっ!と、言うメッセージが込められていた。

しかし、シオンはとある事情からイルミナ将軍への攻撃を止めなかった。
シオンの目には見えていたのだ。

『鑑定』によって、イルミナ将軍の状態がどうなっていたのか─




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