悪徳領主の娘に転生しました。貧乏領地を豊かにします!

naturalsoft

文字の大きさ
96 / 104

王子達も頑張る!

しおりを挟む
シオン達が張り切ってドンパチしていると─

イルミナ達は転移で封印の間に飛んだ。

「これが封印の扉……」

扉と言っているが、巨大な岩が奥への入口を塞いでおり、大きな魔方陣で封印されていた。

「これは凄いな……」
「この向こうにイフリートが!」

圧倒されていたメンバーは気を取り直して、当初の予定通り、封印の間を後にした。

封印の間の周辺には魔物が居なかった。まぁ行き止まりだしね。

王子達二人が先頭を行き、後ろからイルミナやノーム、リヴィがフォローできるように歩いていた。

!?

「ようやくでてきたぞ!」

全身が溶岩でできたゴーレムだった。明らかに、山の入口にいた魔物とレベルが違うとわかる出で立ちであった。

「穿て!水の龍よ!『水龍波』!」

溶岩ゴーレムにリヴィが速攻で放った水の龍が一直線に向かっていき、溶岩ゴーレムを一撃で粉々にした。ジューーーーーー!!!!!と、水が熱っせられて水蒸気が起こった。

「ちょっと!リヴィさん、俺達でやらせて下さいよ!」

アースが獲物を取られて抗議した。

「すまぬな。御主達のレベルでは難しい相手と思って先に倒した。今度から気を付けるとしよう」

『う~む。クリス殿を守ると言ったが、敵を先に倒すのはまずいのか?どうする?………そうだ!』

「では、こうしよう。剣を前に出してみよ」

クリスとアースは言われた通りにした。

「我が力よ宿れ!エンチャント!」

リヴィは二人の剣に水属性を付加した。

「これで戦い易くなるだろう。思いっきりやるがいい」
「おおっ!リヴィさんありがとう!」

火山に生息する魔物に、水属性は絶大な威力を発揮し、まだ二人には難しい魔物も倒していった。

「ハァハァ………なんとかやれてるな?」
「そうだな。まだいけるか?」

第二チームは、ダンジョンで例えるなら最下層のボス手前から入口に戻っている状態であり、魔物のレベルが高かった。剣術はアースの方が上であったが、魔法と剣術を組み合わせた戦い方はクリスが上であった。二人はお互いのレベルが近く、息のあったコンビネーションで戦っていた。

そして─

「二人とも、ここまで良く頑張った。だが、ここまでだ!」

リヴィが二人を止めた。

「どういう事ですか?」
「二人とも、もう限界だろう?無理をするな。まだ先は長い」

リヴィの言葉にクリスは反論した。

「ま、まだやれます!戦わせて下さい!」
「クリス君、どうしてそこまで頑張るのだ?」

イルミナは不思議そうに尋ねた。

「………シオンはどんどん凄くなっていく。俺も追いつかないといけないんだ!」

手を強く握り締め、叫ぶように言い放った!

「そうか。でも、しばらく休め!」
「そんなっ!」

リヴィとイルミナが前にでて前衛を交代した。

「「くそっ!」」

自分の不甲斐なさに憤る二人に、ノームがフォローした。

「こらこら。不貞腐らないの!それより、見て?」

前方でリヴィとイルミナが魔物と戦っていた。

「ねぇ?イルミナはともかく、リヴィが水の『剣』で、どうして戦っていると思う?」

はっ!?

二人は頭のよい持ち主である。ノームの言いたい事が瞬時にわかった。

「俺達に戦い方を見せている?」

ノームは満足そうに頷いた。

「自分より、レベルの高い人物の戦いをゆっくりみられるなんて早々ないわよ?ここが狭い洞窟の中だから周りを気にせず、目の前に集中できるでしょう?」

二人はそう言われて再度、リヴィとイルミナをみた。

「また体力が回復したら戦って貰うから、今は先輩達の戦い方を学びなさい」

「「はいっ!」」

ノームが二人を説得したことに、口元を緩めるリヴィとイルミナであった。

コソコソッ
「ノーム殿が上手く説得してくれたか」
「うむ!助かったな。お互いに」

「「違いない!!!」」

そう!この二人、良い感じにまとろうとしていたが、実は!ただ戦いたいだけだったのだ!

王子達が戦っているのを後ろから見ていて、うずうずしていたのだ。ノームの言った良い話しなどでは決してなかった!

「「リヴィさんイルミナさん、生意気言ってごめんなさい!」」

王子達はキラキラした目で二人を後ろから見つめていた。

グサグサッ!!!
グサグサッ!!!

「な、なんかやりづらいな?」
「確かに………」

若干の後ろめたさを受けつつ、リヴィとイルミナは魔物を華麗に倒していった。

「凄い!俺達より数段上の戦い方だ」
「うん。剣と魔法の運用が上手い。瞬時に切り替えしているよ」

こうして王子達の経験を積むのに大いに役立ったのであった。



しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』

ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています この物語は完結しました。 前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。 「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」 そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。 そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さくら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

処理中です...