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王家では──
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王国の王城にて──
「クソが!!!」
ようやく顔の包帯がとれた第一王子のライト・イーストは苛立っていた。
それと言うのも、国王である父親と王妃である母親が自分の見舞いに来た時の事であった。
「ライトよ。具合はどうだ?」
ベッドで寝たきりのライトは大丈夫ですと答えて、自分をボコボコにしたシオンの事を尋ねた。
「気になるだろうが、その前に答えてもらう事がある。………どうしてシオン令嬢を殴った?」
???
ライトは不思議そうな顔をして答えた。それがさも当然と言うように。
「それはせっかく、お母様がお願いして私の婚約者になる名誉を与えるとおっしゃったのに、それを断りお母様に恥を欠かせたのです。当然ではありませんか!」
その言葉に王妃は顔を青くした。
「ほぅ?王妃がお願いして………な?」
国王は王妃に一瞬目をやったが、すぐに息子のライトに視線を戻した。
「少なくとも、あのお茶会に参加した者から婚約者を選ぶと通達を出したと言ったはずだが?どうしてシオン令嬢で決まったと思った?」
「こ、国王様!?ライトはまだ傷が癒えておりません。詳しい話は後日…………」
「お前は黙っていろ!私はライトに聞いているんだ!!!」
王妃はひぃっと一歩引いた。
「な、何を怒っていらっしゃるのですか?お母様があのお茶会は建前で、資産のあるバーニングハート公爵家が内定していて、王家の為に多額の持参金を持って来させると言ったから私は──」
バンッ!!!
ビクッ!?
国王は力いっぱいテーブルを叩いた。
「…………王妃よ。ライトの言った事は本当か?」
「お、お許し下さい………」
「私は本当かと尋ねたのだ!!!!」
これ以上はライトに聞かせられないと、部屋を移動して王妃を問い詰めると、自分が主導で行った事業が失敗して多額の借金を作ってしまったことで、資産家であるバーニングハート家からお金を出して貰おうとしたのが発端だったらしい。
「バカ者が!その事は私も把握している!お前が良かれと思って行った事業だ。失敗は誰にでもある。私だってそうだ。だから宰相と一緒に相談して、国庫から分割で補填して、利益が出たら少しずつ返していくよう調整をしていたと言うのに…………」
!?
「そ、そんな………だって、貴女はそんなこと一度も………」
「プライドの高いお前を、傷つけないように内々に進めていたのだ。私利私欲の為に行ったのならともかく、国の為に、私の為に行った事に対して、どうして愛する妻を怒れる?」
「あ、あなた……………申し訳ありません」
王妃は土下座をするように、地面に座り込み国王に何度も頭を下げた。
「しかし、息子のライトの教育については叱らねばならない。今のあれは国王としての器ではない」
「………はい、全ては私の教育の間違いです」
王妃も、最近の息子の態度に思う所があったらしく、素直に頭を下げた。
「公爵に言われたよ。今から性格を直そうにも、難しいだろうとな」
「それでは!?」
国王も疲れた顔で首を振った。
「まだやり直せると思っている。ただ当面は王太子を決めずに、二人の成長を見て決めるとしよう」
「わかりました」
王妃は力なく同意した。
「それと話は変わるが、アークモン侯爵家には一層気を付けろ!婚約者候補だとしても、決してライトやクロウと二人切りにするな!」
「なにかあったのですか?」
国王は公爵家での事を話した。そして護衛騎士を増員する事を決めるのだった。
そして、冒頭に遡る。
国王から事情を聞いて、今の性格を改めないと王太子にしない事を告げられたからだ。
さらに、シオンの事を処刑しろと懇願しても、こちらから殴ったのが悪いと言われ、さらに令嬢に負けるライトが弱いのが悪いと言われて苛立ったのだった。
「今に見ていろよ!!!!」
ライトはシオンに仕返ししようと画策するのだった。
「クソが!!!」
ようやく顔の包帯がとれた第一王子のライト・イーストは苛立っていた。
それと言うのも、国王である父親と王妃である母親が自分の見舞いに来た時の事であった。
「ライトよ。具合はどうだ?」
ベッドで寝たきりのライトは大丈夫ですと答えて、自分をボコボコにしたシオンの事を尋ねた。
「気になるだろうが、その前に答えてもらう事がある。………どうしてシオン令嬢を殴った?」
???
ライトは不思議そうな顔をして答えた。それがさも当然と言うように。
「それはせっかく、お母様がお願いして私の婚約者になる名誉を与えるとおっしゃったのに、それを断りお母様に恥を欠かせたのです。当然ではありませんか!」
その言葉に王妃は顔を青くした。
「ほぅ?王妃がお願いして………な?」
国王は王妃に一瞬目をやったが、すぐに息子のライトに視線を戻した。
「少なくとも、あのお茶会に参加した者から婚約者を選ぶと通達を出したと言ったはずだが?どうしてシオン令嬢で決まったと思った?」
「こ、国王様!?ライトはまだ傷が癒えておりません。詳しい話は後日…………」
「お前は黙っていろ!私はライトに聞いているんだ!!!」
王妃はひぃっと一歩引いた。
「な、何を怒っていらっしゃるのですか?お母様があのお茶会は建前で、資産のあるバーニングハート公爵家が内定していて、王家の為に多額の持参金を持って来させると言ったから私は──」
バンッ!!!
ビクッ!?
国王は力いっぱいテーブルを叩いた。
「…………王妃よ。ライトの言った事は本当か?」
「お、お許し下さい………」
「私は本当かと尋ねたのだ!!!!」
これ以上はライトに聞かせられないと、部屋を移動して王妃を問い詰めると、自分が主導で行った事業が失敗して多額の借金を作ってしまったことで、資産家であるバーニングハート家からお金を出して貰おうとしたのが発端だったらしい。
「バカ者が!その事は私も把握している!お前が良かれと思って行った事業だ。失敗は誰にでもある。私だってそうだ。だから宰相と一緒に相談して、国庫から分割で補填して、利益が出たら少しずつ返していくよう調整をしていたと言うのに…………」
!?
「そ、そんな………だって、貴女はそんなこと一度も………」
「プライドの高いお前を、傷つけないように内々に進めていたのだ。私利私欲の為に行ったのならともかく、国の為に、私の為に行った事に対して、どうして愛する妻を怒れる?」
「あ、あなた……………申し訳ありません」
王妃は土下座をするように、地面に座り込み国王に何度も頭を下げた。
「しかし、息子のライトの教育については叱らねばならない。今のあれは国王としての器ではない」
「………はい、全ては私の教育の間違いです」
王妃も、最近の息子の態度に思う所があったらしく、素直に頭を下げた。
「公爵に言われたよ。今から性格を直そうにも、難しいだろうとな」
「それでは!?」
国王も疲れた顔で首を振った。
「まだやり直せると思っている。ただ当面は王太子を決めずに、二人の成長を見て決めるとしよう」
「わかりました」
王妃は力なく同意した。
「それと話は変わるが、アークモン侯爵家には一層気を付けろ!婚約者候補だとしても、決してライトやクロウと二人切りにするな!」
「なにかあったのですか?」
国王は公爵家での事を話した。そして護衛騎士を増員する事を決めるのだった。
そして、冒頭に遡る。
国王から事情を聞いて、今の性格を改めないと王太子にしない事を告げられたからだ。
さらに、シオンの事を処刑しろと懇願しても、こちらから殴ったのが悪いと言われ、さらに令嬢に負けるライトが弱いのが悪いと言われて苛立ったのだった。
「今に見ていろよ!!!!」
ライトはシオンに仕返ししようと画策するのだった。
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