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裏話
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シオンはお城の入口でお見送りされた。
「達者でな。身体に気を付けるんだぞ?」
「はい。ご迷惑をお掛けして申し訳御座いません」
シオンは父親に頭を下げて馬車に乗り込んだ。
護衛は最低限の5名で2台で向かう。後ろの馬車には『荷物』を積んである。
こうしてシオンは辺境の教会へ向かうのだった。
ガタゴト
ガタゴト
シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。
そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって──
「うふふ、計画通りですわ♪」
いなかった。
「これで上手くいきますか?」
シオンは誰も居ない馬車内で呟いた。
『ええ、きっと上手くいきますわ♪今回、シオンの絵を盗むよう依頼した本当の悪徳貴族が釣れるはずです』
クロウ王子が邪神と協力して王位簒奪を目論だ事は伏せられ、シオンの絵を盗むよう依頼した王子と言う汚名を軽くしたのだ。
そして、王都をパニックにさせた罰として、最低限の荷物で辺境へ行かされる。
如何にも襲ってくれと言わんばかりのシチュエーションである。
しばらく進んで山沿いに入ると突然盗賊が襲ってきた。
「いいか!シオン天才画伯には傷一つ付けるなよ!後ろの馬車にはシオン令嬢の作品が多数載っているはずだ!いけっ!!!」
釣れたわね!
シオンは馬車の中でニヤリッと悪役令嬢っぽく嗤った。
「馬鹿なヤツだ。怖気ついて自宅で震えておけばもう少し生きていられたものを」
「殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!」
ブツブツと呟いている危ないヤツがいた。
「さぁ!パーティの始まりだ!遠慮なく行くぞ!」
5人の護衛は分散して盗賊に飛び掛かっていった。
「邪神なんて面白い相手を出来なかったんだ。雑魚でもストレス発散に付き合ってもらうぜっ!」
「あっさり終わらせるなよ?うちの者に手を出した報いを受けさせるんだから」
護衛の二人はシオンの兄、ルークとレインであった。
「貴様らのせいで!俺は………俺は、シオンと婚約破棄する事になったんだぞ!!!!!」
泣きながら盗賊に斬りかかっているライトの姿はシュールであった。
「まったく、やれやれだな」
ジークは冷静に盗賊を相手していた。
そして当然、最後の1人はメリッサである。
今回の盗賊は数が多かったが、全然敵ではなかった。
ちなみに後方の馬車には紅さんや蒼さんが乗っていたが、出番がなかった。
「ば、バカな…………強すぎる……」
こうして盗賊に指示を出していた悪徳貴族はお縄に付いた。
そしてシオン達は少し後から来ている騎士団に盗賊達を引き渡した。
「これで事件は解決したな」
「そうだね。それで──」
本来であれば盗賊を釣り上げたら王都へ戻るはずだったが、シオンはこのまま辺境の教会へ行くと言い出した。
「どうしてだ!?」
「ごめんなさい。少し1人で考えたい事があるの。1ヶ月ほど辺境の教会で過ごさせて欲しいの」
シオンの稀にみる真剣な顔に、兄達が頭を撫でながら許可した。
「わかった。親父達にはうまく伝えておくから心配するな」
「シオン、辛くなったらすぐに迎えに行くからな」
シオンは頷くと、ジークとライトに言った。
「二人とも、助けてくれてありがとうね。もし可能なら1ヶ月後、二人で迎えに来てくれる?」
二人はお互いの顔をみながらシオンに視線を戻した。
「私も真剣に………考えてみるから」
シオンは顔を赤くしながら、はにかむように笑った。
!?
「し、シオン!?それって…………」
聞き返そうとしたがフィーネが邪魔をした。
「そこまでよ!レディ(笑)に恥を欠かせないの!」
護衛としてアクアだけシオンに同行し、残りは泣く泣く王都へ戻るのだった。
「達者でな。身体に気を付けるんだぞ?」
「はい。ご迷惑をお掛けして申し訳御座いません」
シオンは父親に頭を下げて馬車に乗り込んだ。
護衛は最低限の5名で2台で向かう。後ろの馬車には『荷物』を積んである。
こうしてシオンは辺境の教会へ向かうのだった。
ガタゴト
ガタゴト
シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。
そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって──
「うふふ、計画通りですわ♪」
いなかった。
「これで上手くいきますか?」
シオンは誰も居ない馬車内で呟いた。
『ええ、きっと上手くいきますわ♪今回、シオンの絵を盗むよう依頼した本当の悪徳貴族が釣れるはずです』
クロウ王子が邪神と協力して王位簒奪を目論だ事は伏せられ、シオンの絵を盗むよう依頼した王子と言う汚名を軽くしたのだ。
そして、王都をパニックにさせた罰として、最低限の荷物で辺境へ行かされる。
如何にも襲ってくれと言わんばかりのシチュエーションである。
しばらく進んで山沿いに入ると突然盗賊が襲ってきた。
「いいか!シオン天才画伯には傷一つ付けるなよ!後ろの馬車にはシオン令嬢の作品が多数載っているはずだ!いけっ!!!」
釣れたわね!
シオンは馬車の中でニヤリッと悪役令嬢っぽく嗤った。
「馬鹿なヤツだ。怖気ついて自宅で震えておけばもう少し生きていられたものを」
「殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!」
ブツブツと呟いている危ないヤツがいた。
「さぁ!パーティの始まりだ!遠慮なく行くぞ!」
5人の護衛は分散して盗賊に飛び掛かっていった。
「邪神なんて面白い相手を出来なかったんだ。雑魚でもストレス発散に付き合ってもらうぜっ!」
「あっさり終わらせるなよ?うちの者に手を出した報いを受けさせるんだから」
護衛の二人はシオンの兄、ルークとレインであった。
「貴様らのせいで!俺は………俺は、シオンと婚約破棄する事になったんだぞ!!!!!」
泣きながら盗賊に斬りかかっているライトの姿はシュールであった。
「まったく、やれやれだな」
ジークは冷静に盗賊を相手していた。
そして当然、最後の1人はメリッサである。
今回の盗賊は数が多かったが、全然敵ではなかった。
ちなみに後方の馬車には紅さんや蒼さんが乗っていたが、出番がなかった。
「ば、バカな…………強すぎる……」
こうして盗賊に指示を出していた悪徳貴族はお縄に付いた。
そしてシオン達は少し後から来ている騎士団に盗賊達を引き渡した。
「これで事件は解決したな」
「そうだね。それで──」
本来であれば盗賊を釣り上げたら王都へ戻るはずだったが、シオンはこのまま辺境の教会へ行くと言い出した。
「どうしてだ!?」
「ごめんなさい。少し1人で考えたい事があるの。1ヶ月ほど辺境の教会で過ごさせて欲しいの」
シオンの稀にみる真剣な顔に、兄達が頭を撫でながら許可した。
「わかった。親父達にはうまく伝えておくから心配するな」
「シオン、辛くなったらすぐに迎えに行くからな」
シオンは頷くと、ジークとライトに言った。
「二人とも、助けてくれてありがとうね。もし可能なら1ヶ月後、二人で迎えに来てくれる?」
二人はお互いの顔をみながらシオンに視線を戻した。
「私も真剣に………考えてみるから」
シオンは顔を赤くしながら、はにかむように笑った。
!?
「し、シオン!?それって…………」
聞き返そうとしたがフィーネが邪魔をした。
「そこまでよ!レディ(笑)に恥を欠かせないの!」
護衛としてアクアだけシオンに同行し、残りは泣く泣く王都へ戻るのだった。
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