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6章:スタンピード!
どっちの戦術が勝つのか!?
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吹き飛ばした先に、木にぶつかり倒れているタクシャカがいた。しかし様子がおかしかった。
「どういうことだ!?」
タクシャカの姿がどんどん変わっていき、ただのラミアの姿に変わった。
「ラミアになった?まさかっ!?」
何かに気付いた所で、声が響いた。
『まさか、妾の力を与えた分身体が殺られるとはのぅ?褒めて使わすぞえぃ!』
魔力のこもった声が拡声器のように響き渡る。
「やられたわ!自分の力を配下に与えて、第2の自分を作り上げたのだわ!」
ひかりさんの顔が歪む。そこに、二人係りで応戦していたシールとサクラ達も無事に倒して合流した。
「お待たせしました!」
「待たせたの!」
漸く全員が揃った所で、また声が聞こえてきた。
『だいぶんお疲れのようじゃが大丈夫かのぅ?本番はこれからじゃぞぇ?』
からかうような口調に、こちらをイラつかさせる。ここまで本物のタクシャカは力を温存しているのだ。こちらは、体力、魔力、気力共に減っている状態だ。かなり形勢は悪いのではないだろうか。
ヒソッ
「ここは早急に、撤退すべきだと思います」
「私も賛成です。相手の策略がすごい・・まだ何を仕掛けて来るのか読めません」
小声で撤退を進言する団長達にレインは悩む。撤退は1番ベストな選択だろう!しかし、それには殿を置かなければ後ろから襲われる危険があった。そして殿は生きて帰れる保証がないのだ。時間も無くすぐに決めなければ!
「ひかりさん!もう一度【ホーリー・フラッシュ・ライト】の魔法は使えますか?」
レインの言葉にひかりさんは察してすぐに魔法を放つ!発光弾に似た様な光の球体が空に浮かび、周囲を照らす。
「みんな!走れーーーー!!!」
「この魔法は通常の魔物にも多少効果があるわ!」
光魔法は全般的に、闇の魔物達に効果があるのだ。後ろから魔物が現れても、光魔法の為に苦しみ、動きが鈍るだろう。それが狙いである。
既に、冒険者達は城塞都市に撤退していた。しかし、一部の光の精霊王に恩義のある冒険者は城門前付近で、前線で戦っていたフィリアス騎士団達と救援に向かった精霊達の帰還を待ちわびていた。
「はぁはぁ!」
「走れ!大丈夫か!」
「リーゼンごめんね~」
「いえいえ!疲れているひかりさんを背負うぐらいわけないですよ!」
リーゼンは疲弊しているひかりさんを背負いながら走っていた。鍛えてあり支援魔法も掛かっているリーゼンにはわけ無かった。
一同は全速力で逃げていた。いや、戦略的撤退中である。
『クックックッ!ここまで読み通りじゃと嗤えてくるのぅ!光魔法は目障りじゃが、辺りが明るくなったことで丸見えじゃぞ?かっこうの的じゃ!』
タクシャカは配備していたラミア達に指示を出す。同族の配下には離れていても声を届けられるのだ。
『目標が予定地点に向かった。攻撃を開始するのじゃ!』
城塞都市の退路の途中で、ラミア達が10数体が地面から現れ一斉に炎の魔法を放った!
「「キィシャーーー!!!!」」
あの城塞都市の城門を破壊した時の魔法だ!
ラミアの一斉に放った火の魔法は融合し、一段階上の炎の魔法になり、更に複数からなる火の魔法で、もう一段階上の【爆炎魔法】になって襲いかかった!
ドッコーーーーン!
ドッコーーーーン!!
ドッコーーーーン!!!
1度では無く、何度も発せられた。
当たりは焼け野はらになり、フィリアス騎士団や精霊達がいた所は何も残っていなかった。爆発を逃れ、城塞都市の方にも逃げた形跡は無かった。
『ふむ・・・あの程度で死んだとは考えられんのじゃが?ダメージは与えてもトドメまでは刺せないと思ったのじゃがのぅ・・・次の手まで用意しとかなくても良かったかのぅ?』
タクシャカは注意深く光の精霊王のいた場所を見つめ、探していた。するとー
「またまたチャンスじゃ!ハイドロ・ブラストーーーー!!!!」
突然現れたスイレンに、隊列を組んでいたラミア達は纏めて吹き飛ばされた。
『ちっ!!!またかのぅ!?しかしどういうことじゃ!あのレインが魔法を使った形跡は無かったはずじゃが・・・?』
全てはレインのミスディレクションの力だった。ひかりさんに発光弾に近い魔法を使ってもらったと同時にレインもまた幻影魔法を使ったのだ。光魔法は真夜中には目立つし、一瞬とはいえタクシャカも目が眩んだ瞬間を狙ったのだ。強い光は濃い影も生む。幻影魔法で姿を【影】として認識させて暗闇に紛れ、遠回りに迂回して城塞都市を目指したのだ。因みにラミア達が本人と思って攻撃したのは水で作った人形である。
レインは短い時間で、最低限の言葉と指示でこの作戦を成功させたのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「レイン君、まじっぱねーわ!?」
シオン
「むふふふ!お兄様ですもの!」
愚者の声
「ナーガの手札と作戦を1つ潰したね!」
シオン
「ええ・・・これからですわ。ふふふ」
愚者の声
「な、なんか急に温度が下がって・・・」
「どういうことだ!?」
タクシャカの姿がどんどん変わっていき、ただのラミアの姿に変わった。
「ラミアになった?まさかっ!?」
何かに気付いた所で、声が響いた。
『まさか、妾の力を与えた分身体が殺られるとはのぅ?褒めて使わすぞえぃ!』
魔力のこもった声が拡声器のように響き渡る。
「やられたわ!自分の力を配下に与えて、第2の自分を作り上げたのだわ!」
ひかりさんの顔が歪む。そこに、二人係りで応戦していたシールとサクラ達も無事に倒して合流した。
「お待たせしました!」
「待たせたの!」
漸く全員が揃った所で、また声が聞こえてきた。
『だいぶんお疲れのようじゃが大丈夫かのぅ?本番はこれからじゃぞぇ?』
からかうような口調に、こちらをイラつかさせる。ここまで本物のタクシャカは力を温存しているのだ。こちらは、体力、魔力、気力共に減っている状態だ。かなり形勢は悪いのではないだろうか。
ヒソッ
「ここは早急に、撤退すべきだと思います」
「私も賛成です。相手の策略がすごい・・まだ何を仕掛けて来るのか読めません」
小声で撤退を進言する団長達にレインは悩む。撤退は1番ベストな選択だろう!しかし、それには殿を置かなければ後ろから襲われる危険があった。そして殿は生きて帰れる保証がないのだ。時間も無くすぐに決めなければ!
「ひかりさん!もう一度【ホーリー・フラッシュ・ライト】の魔法は使えますか?」
レインの言葉にひかりさんは察してすぐに魔法を放つ!発光弾に似た様な光の球体が空に浮かび、周囲を照らす。
「みんな!走れーーーー!!!」
「この魔法は通常の魔物にも多少効果があるわ!」
光魔法は全般的に、闇の魔物達に効果があるのだ。後ろから魔物が現れても、光魔法の為に苦しみ、動きが鈍るだろう。それが狙いである。
既に、冒険者達は城塞都市に撤退していた。しかし、一部の光の精霊王に恩義のある冒険者は城門前付近で、前線で戦っていたフィリアス騎士団達と救援に向かった精霊達の帰還を待ちわびていた。
「はぁはぁ!」
「走れ!大丈夫か!」
「リーゼンごめんね~」
「いえいえ!疲れているひかりさんを背負うぐらいわけないですよ!」
リーゼンは疲弊しているひかりさんを背負いながら走っていた。鍛えてあり支援魔法も掛かっているリーゼンにはわけ無かった。
一同は全速力で逃げていた。いや、戦略的撤退中である。
『クックックッ!ここまで読み通りじゃと嗤えてくるのぅ!光魔法は目障りじゃが、辺りが明るくなったことで丸見えじゃぞ?かっこうの的じゃ!』
タクシャカは配備していたラミア達に指示を出す。同族の配下には離れていても声を届けられるのだ。
『目標が予定地点に向かった。攻撃を開始するのじゃ!』
城塞都市の退路の途中で、ラミア達が10数体が地面から現れ一斉に炎の魔法を放った!
「「キィシャーーー!!!!」」
あの城塞都市の城門を破壊した時の魔法だ!
ラミアの一斉に放った火の魔法は融合し、一段階上の炎の魔法になり、更に複数からなる火の魔法で、もう一段階上の【爆炎魔法】になって襲いかかった!
ドッコーーーーン!
ドッコーーーーン!!
ドッコーーーーン!!!
1度では無く、何度も発せられた。
当たりは焼け野はらになり、フィリアス騎士団や精霊達がいた所は何も残っていなかった。爆発を逃れ、城塞都市の方にも逃げた形跡は無かった。
『ふむ・・・あの程度で死んだとは考えられんのじゃが?ダメージは与えてもトドメまでは刺せないと思ったのじゃがのぅ・・・次の手まで用意しとかなくても良かったかのぅ?』
タクシャカは注意深く光の精霊王のいた場所を見つめ、探していた。するとー
「またまたチャンスじゃ!ハイドロ・ブラストーーーー!!!!」
突然現れたスイレンに、隊列を組んでいたラミア達は纏めて吹き飛ばされた。
『ちっ!!!またかのぅ!?しかしどういうことじゃ!あのレインが魔法を使った形跡は無かったはずじゃが・・・?』
全てはレインのミスディレクションの力だった。ひかりさんに発光弾に近い魔法を使ってもらったと同時にレインもまた幻影魔法を使ったのだ。光魔法は真夜中には目立つし、一瞬とはいえタクシャカも目が眩んだ瞬間を狙ったのだ。強い光は濃い影も生む。幻影魔法で姿を【影】として認識させて暗闇に紛れ、遠回りに迂回して城塞都市を目指したのだ。因みにラミア達が本人と思って攻撃したのは水で作った人形である。
レインは短い時間で、最低限の言葉と指示でこの作戦を成功させたのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「レイン君、まじっぱねーわ!?」
シオン
「むふふふ!お兄様ですもの!」
愚者の声
「ナーガの手札と作戦を1つ潰したね!」
シオン
「ええ・・・これからですわ。ふふふ」
愚者の声
「な、なんか急に温度が下がって・・・」
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