最後の涙

水雲 寿々

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違う世界

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目を瞑った。
息を吸った。止めた。
吐いて、目を開けた。

そうしたら、全然知らない近未来のような景色が広がっていた。


なんだこれ。なんだこれなんだこれなんだこれ。

「え、どこ……ここどこ」

「違う世界、です!」

とんでもなくうざったいドヤ顔。
でも嫌な気持ちにはならない。お母さんの目みたいな。あの目で見られたみたいな、嫌な感じは全然しなかった。

「流石に信じます?信じますよね?」

ちょっとだけ眉を下げて私の顔をのぞき込む。そして手を引かれた。

「さ、行きましょう?どこでも好きなところにおうちをご用意いたしますよー!」

そんなことを言いながら、

あろうことか廃ビルみたいなところから飛び降りようとしてる。
ぐいと引かれて下をのぞくと、高い。めちゃくちゃ高い。

落ちたら死ぬでしょ、これ。

「おや?どうされましたか?行かないんですか?」

「いや死ぬでしょ」

「死にませんよ?落ちませんし」

そう言って思い切りつかんだ腕を引いて……

「落ちてるじゃあぁぁぁあぁん!!?」

ひゅおおっ、と耳元で風を切る音が鳴るくらいのスピードで落ちてる。
地面がどんどん近付く。

あ、私死ぬかな?

ぎゅぅっと目を閉じると、ふわっと落下感がおさまった。
風のクッションみたいな感じ。地面に当たった感じはしない。

目を開けるとすぐそばに地面。

「っっ!!!」

ばたばたともがいたせいでどさりと地面に倒れ込む。

「いっ…たぁ。てか、落ちてたじゃないですか!!」

「いえいえ、落ちてませんよ?だって地面に当たってないじゃないですかぁ」


落ちる落ちないの基準て、そこじゃないと思うけど……。

「さてっ!そろそろ行きますか?この街を案内しますよぉ」

しっかり手は握ったまま、にいっと笑う。やっぱりムカつく顔。

「……ん。行きます。これじゃ家にも帰れないですし」


こうなったらしょうがない。
流されるだけ流されてやろうじゃないの。
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