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サティア姫の古城
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「えーと、あなたにお家を紹介する前に、ある方に挨拶しに行きましょうかぐぇ…!」
私に合わせてゆっくり歩きながらこちらを振り返って、柱にぶつかった。
「ある方?…大丈夫?前見ないと……」
「あぁ、私は平気です。この世界の長、サティア姫様に会いに行きませんか?」
かぶっていた擦り切れた帽子を直しながらにこりと微笑む。
「お姫様……どんな人なんですか?」
「家族思いで、この世界のことを一番に考えて下さる心優しいお方ですよ」
お姫様といえば横暴で傲慢な態度の大きな人というイメージがあったけれど、意外とそんなこともないのかも……。
実際にあってみると、そんな漫画みたいな先入観も崩れさることになった。
大きな古いお城。
そこの真ん中の部屋の大きな椅子に座っていた少女のような女の人。
「あら、そちらは?」
「この方は新しい住人です。今日からここで暮らす方ですよ」
相変わらず笑顔を崩さずにスラスラとしゃべる彼を少し尊敬した。
慣れてる…っていうのもあるんだろうけど、私だったら初対面のお姫様となんて会話もままならないほど緊張しているんだもん。
「そう。………私はこの国の新しい王の代わりを努めさせていただいておりますの。サティアと呼んでくださいね」
聞いていると思わず眠ってしまいそうな柔らかい声。
それに決して人を見下したような喋り方ではなく、いかにも完璧人間みたいな感じ。
「あ、よ、ろしくお願いします。サティア姫様」
「いいえ。どうぞ、サティアと」
「あっ、はい、………………サティア」
私が名前を呼ぶと、天使のような笑顔を向けられる。
思わず見とれてしまう、目が離せないくらい綺麗な容姿。
さすがお姫様だなぁ…地元ではこんなに綺麗な人見たことがない。
「では、私どもはこれで。彼女に住むところを案内してやらねばなりませんので」
「あぁ、待ちなさい。ジル…彼女にこれを渡しておやりなさい」
頭を下げた彼を呼び止め、何かを手渡す。
もう一度頭を下げてこちらを振り返った彼は、私の腕に何かを結んだ。
「証です。ここに住むために必要なもの」
さぁ、と私の手をとって後ろの大きな扉を開ける。
すごく重そうなのに、片手で軽々と開けてしまう。
男の人だからかな。
サティアの城を出た私は、私の手をつかむ彼の手を見つめながら言った。
「手。冷たい…」
「そちらの世界では冷え性というのでしょう?」
「……名前、ジルっていうの?」
「ええ、ジルとお呼びくださいね」
黙って頷く。疲れたからか、声を出す気にはならない。
それからはただ黙って、ジルの背中を追いかけた。
やがて見えた大きな空き地。
あの城と同じくらいだろうか。
そこに次の日私の家が建った。
私に合わせてゆっくり歩きながらこちらを振り返って、柱にぶつかった。
「ある方?…大丈夫?前見ないと……」
「あぁ、私は平気です。この世界の長、サティア姫様に会いに行きませんか?」
かぶっていた擦り切れた帽子を直しながらにこりと微笑む。
「お姫様……どんな人なんですか?」
「家族思いで、この世界のことを一番に考えて下さる心優しいお方ですよ」
お姫様といえば横暴で傲慢な態度の大きな人というイメージがあったけれど、意外とそんなこともないのかも……。
実際にあってみると、そんな漫画みたいな先入観も崩れさることになった。
大きな古いお城。
そこの真ん中の部屋の大きな椅子に座っていた少女のような女の人。
「あら、そちらは?」
「この方は新しい住人です。今日からここで暮らす方ですよ」
相変わらず笑顔を崩さずにスラスラとしゃべる彼を少し尊敬した。
慣れてる…っていうのもあるんだろうけど、私だったら初対面のお姫様となんて会話もままならないほど緊張しているんだもん。
「そう。………私はこの国の新しい王の代わりを努めさせていただいておりますの。サティアと呼んでくださいね」
聞いていると思わず眠ってしまいそうな柔らかい声。
それに決して人を見下したような喋り方ではなく、いかにも完璧人間みたいな感じ。
「あ、よ、ろしくお願いします。サティア姫様」
「いいえ。どうぞ、サティアと」
「あっ、はい、………………サティア」
私が名前を呼ぶと、天使のような笑顔を向けられる。
思わず見とれてしまう、目が離せないくらい綺麗な容姿。
さすがお姫様だなぁ…地元ではこんなに綺麗な人見たことがない。
「では、私どもはこれで。彼女に住むところを案内してやらねばなりませんので」
「あぁ、待ちなさい。ジル…彼女にこれを渡しておやりなさい」
頭を下げた彼を呼び止め、何かを手渡す。
もう一度頭を下げてこちらを振り返った彼は、私の腕に何かを結んだ。
「証です。ここに住むために必要なもの」
さぁ、と私の手をとって後ろの大きな扉を開ける。
すごく重そうなのに、片手で軽々と開けてしまう。
男の人だからかな。
サティアの城を出た私は、私の手をつかむ彼の手を見つめながら言った。
「手。冷たい…」
「そちらの世界では冷え性というのでしょう?」
「……名前、ジルっていうの?」
「ええ、ジルとお呼びくださいね」
黙って頷く。疲れたからか、声を出す気にはならない。
それからはただ黙って、ジルの背中を追いかけた。
やがて見えた大きな空き地。
あの城と同じくらいだろうか。
そこに次の日私の家が建った。
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