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第二十話
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勝吉は部屋を出て行った。
船の手配かなと吉川は思った。
大野修理の前に行く前に、早口で宗古が家康に聞いた。
「例の遠江分器稲荷神社で見つかった文書は、神社のどういう所で見つかったのですか」
すると小那姫が遮った。
「あれは、神社に奉納した囲碁盤の裏に紙に書かれた文書が張り付けられていたのです。
確か『江戸城大火で失われた月の能面は神の使いが導く。伏見と王子を結ぶ真ん中に月が現れる』と書いてありました。
私が今年分器稲荷神社に算砂様で将棋や囲碁のお好きな方をお連れした際に、私と算砂様が偶然本殿の裏の倉庫で見つけたものです」
「算砂様、確かですか。そのことをどなたかに話をしましたか」
「確かに私が見つけた。
遠江分器稲荷神社の倉庫に古いが格式のありそうな盤だなと調べたら、裏に何やら手紙のようなものが張り付けられていたのだ。
まるで盤に興味を持つ誰かがあの神社で発見するのを待っているかのような手紙だと思った。
例によって月にあん摩をしてもらって気持ちがよくなってきた時に月にもそのことを話したよ。
ただ判じ物なので二人とも何のことかよくわからなかった」
こいつか、こいつが月に話したのか。それで家康様以外の関係者にもあの文書が流れたのか。
吉川は、あの文書の文面は、令和の事件で刺された加納月のパソコンにあった文書と同じだと思ったが、続きの文面もあるはずと宗古の顔を見た。
宗古もどう答えたらいいか思案をしている風情だった。
「宗古様、さつき様。そろそろ大野様のところへ」
家来に呼ばれたので、宗古は立ち上がり吉川と部屋を出ようとした。
そのとき家康も立ち上がり、宗古の耳元で何か囁いた。
宗古は頷くと、大野修理に元に案内する家来の後をおった。
俺も慌てて宗古の後に付いて行った。
大野修理の部屋に入った。
宗古と俺は一応ひれ伏して座った。
吉川は歴史を振り返っていた。
今は1592年だが、大野修理は歴史上では十五99年に徳川家康暗殺未遂の科で家康に捕まり流罪の刑に処せられたはず。その後関ケ原の戦いでは家康の東軍に味方をして、家康に豊臣家に戻ることを許してもらったが、最終的には大坂夏の陣で淀君と共に自害した人物だ。当時の噂では淀君と関係して秀吉の子の秀頼の本当の父ではないかというものもあったはず。
「楽にしてくれ」
大野修理は難しい顔をして座っていた。
「私は太閤殿下、淀君様をはじめとする豊臣家の永遠の繁栄を心から強く思っている。
そのためにはあらゆる手段を取る覚悟がある。
どんな小さなことでもそれら脅かされないようにする必要がある。聞きたいことがある」
俺たちに何を聞きたいのか。
船の手配かなと吉川は思った。
大野修理の前に行く前に、早口で宗古が家康に聞いた。
「例の遠江分器稲荷神社で見つかった文書は、神社のどういう所で見つかったのですか」
すると小那姫が遮った。
「あれは、神社に奉納した囲碁盤の裏に紙に書かれた文書が張り付けられていたのです。
確か『江戸城大火で失われた月の能面は神の使いが導く。伏見と王子を結ぶ真ん中に月が現れる』と書いてありました。
私が今年分器稲荷神社に算砂様で将棋や囲碁のお好きな方をお連れした際に、私と算砂様が偶然本殿の裏の倉庫で見つけたものです」
「算砂様、確かですか。そのことをどなたかに話をしましたか」
「確かに私が見つけた。
遠江分器稲荷神社の倉庫に古いが格式のありそうな盤だなと調べたら、裏に何やら手紙のようなものが張り付けられていたのだ。
まるで盤に興味を持つ誰かがあの神社で発見するのを待っているかのような手紙だと思った。
例によって月にあん摩をしてもらって気持ちがよくなってきた時に月にもそのことを話したよ。
ただ判じ物なので二人とも何のことかよくわからなかった」
こいつか、こいつが月に話したのか。それで家康様以外の関係者にもあの文書が流れたのか。
吉川は、あの文書の文面は、令和の事件で刺された加納月のパソコンにあった文書と同じだと思ったが、続きの文面もあるはずと宗古の顔を見た。
宗古もどう答えたらいいか思案をしている風情だった。
「宗古様、さつき様。そろそろ大野様のところへ」
家来に呼ばれたので、宗古は立ち上がり吉川と部屋を出ようとした。
そのとき家康も立ち上がり、宗古の耳元で何か囁いた。
宗古は頷くと、大野修理に元に案内する家来の後をおった。
俺も慌てて宗古の後に付いて行った。
大野修理の部屋に入った。
宗古と俺は一応ひれ伏して座った。
吉川は歴史を振り返っていた。
今は1592年だが、大野修理は歴史上では十五99年に徳川家康暗殺未遂の科で家康に捕まり流罪の刑に処せられたはず。その後関ケ原の戦いでは家康の東軍に味方をして、家康に豊臣家に戻ることを許してもらったが、最終的には大坂夏の陣で淀君と共に自害した人物だ。当時の噂では淀君と関係して秀吉の子の秀頼の本当の父ではないかというものもあったはず。
「楽にしてくれ」
大野修理は難しい顔をして座っていた。
「私は太閤殿下、淀君様をはじめとする豊臣家の永遠の繁栄を心から強く思っている。
そのためにはあらゆる手段を取る覚悟がある。
どんな小さなことでもそれら脅かされないようにする必要がある。聞きたいことがある」
俺たちに何を聞きたいのか。
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